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速さと温度に注目 おいしく食べるための解凍のメカニズム

冷凍品を調理するときに起こりがちなのが解凍の失敗。色が悪くなったり、ドリップが出たり、臭いがしたり、食べてみるとあまりおいしくなかったり。そんな失敗が起こるときに食材には何が起こっているのでしょうか。温度と食材の変化という視点から科学的に解説します。また、自然解凍、流水解凍、冷蔵庫解凍、氷水解凍、加熱調理・電子レンジ加熱などの解凍法の上手な使い分け方についても説明します。

解凍の失敗はなぜ起こる?

せっかく買ってきた冷凍食品や冷凍品の解凍に失敗してしまったという経験はないでしょうか。
ドリップが出てしまったり、食材の歯ごたえが悪くなってしまったり、味が悪くなったように感じたり、と解凍に失敗するとさまざまな悪影響が及びます。
解凍の際にどんなことをしてしまうと食材に悪影響が及んでしまうのか、一つひとつ考えていきましょう。

 
 

マイナス5℃〜マイナス1℃と約10℃~40℃の温度帯に要注意

まずは、解凍の際に食材が<マイナス5℃〜マイナス1℃>、<約10℃~40℃>の温度に長くさらされていないか確認してみましょう。
 
凍った食材が冷蔵庫などでマイナス5℃からマイナス1℃の環境下に長時間さらされると、食材の内部にできた氷結晶が大きくなってしまいます。
生魚や野菜、フルーツなど、組織が繊細な食材は、冷蔵庫内で解凍すると大きくなった氷結晶が組織を傷つけて、食感が悪くなったりドリップが出てしまったりします。舌触りを重視する組織が繊細な食材を解凍するときは、冷蔵庫解凍は避けるようにしましょう。
ケーキなどの生菓子は、氷結晶が食材に与える影響が少なく、解凍中の腐敗を避ける必要があるため、冷蔵庫解凍で問題ありません。
 
また、凍った食材を約10℃~40℃の常温の環境に置くと、食材の酵素反応が活発になってしまいます。
生魚や生肉、生野菜、加熱調理をしていない惣菜など、食材が酵素によって変化しやすいものは、常温での解凍は避けましょう。
加熱調理を済ませた肉や魚、野菜、惣菜は加熱により食材内の酵素が失活しているので、常温での解凍を行っても問題ありません。
 
加えて、食品がさらされている温度を気にする際には、食品の温度が表面と中心部では違うことにも注意する必要があります。食品の温度はその表面から外気や冷媒の温度に合わせて変化し、中心部は遅れてその温度に近づきます。
表面と中心では別々の温度でそれぞれの変化が起こっていることを考慮しながら、食品のなかで問題ない温度変化が起こっているかを気にするようにしましょう。

 
 

温度帯を通り抜ける速度を利用して上手に解凍しよう

ここまでで説明したマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯を最大氷結晶生成帯、約10℃~40℃を常温と呼びます。
食材をおいしく解凍するには、食材がこの2つの温度帯に適さないかを見分け、適さない場合はこの温度帯を避けるか、すばやく通過する必要があります。
 
ここでは、5つの解凍法を紹介し、それぞれの特徴と解凍スピード、長く留まる温度帯について紹介していきます。

 

解凍方法と解凍時の品温の推移

 

①自然解凍

常温の環境に凍った食材を置いて解凍をする方法です。
食材の温度はゆっくりと常温に近づいて変化します。食材の中心部はなかなか解凍されず、表面から先にどんどん周囲の温度に近づいて上がっていき、遅れて中心部の温度も上がっていきます。
解凍が完了するまでに約10℃~40℃の常温にさらされる時間が長くなってしまう表面部分は、酵素反応が活発になり、色が悪くなったり臭いが出やすくなったりしてしまいます。
 
この解凍方法は、一度加熱をして食品の酵素を失活させている食材にのみ、適した解凍法といえます。
【関連記事】常温保存可の調理品の解凍に! 自然解凍の方法と特徴

 

②流水解凍

食材を流水にさらして解凍する方法です。
食材を水に漬けると、食材の表面に熱伝導の高い水がまんべんなく接するため、食材に熱が伝わりやすく、解凍スピードが速くなります。
また、水を流し続けると、流速が加わることでさらに熱の伝達が早くなるため、貯めた水に漬け置くよりも解凍スピードが上がります。
 
この方法で解凍すると、食材の温度は流水の温度に速く近づくため、マイナス温度帯から約10℃~40℃の温度帯へと早いスピードで変化します。
そのため、氷結晶が大きくなる温度帯のマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯には長く留まりません。
 
一度加熱をしていて酵素が失活しており、氷結晶による組織へのダメージが気にかかる食材には適した解凍方法といえます。また、解凍スピードも速いので、急いでいるときには便利な解凍方法でしょう。
加熱前の食材については、表面部分に酵素反応が起こってしまうため、おすすめできません。特に夏場は水道水の水温が高くなるため、避けたほうがよいでしょう。
【関連記事】調理済食品の解凍に最適!流水解凍の方法と特徴

 

③冷蔵庫解凍

冷蔵庫内に食材を置いて解凍する方法です。
食材の温度は表面から順に冷凍のマイナス温度帯から、冷蔵庫内の温度である約マイナス1℃〜6℃の温度帯に向かってゆっくり変化します。
この場合、食材の中心部はマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯に長く留まりながら解凍されるため、氷結晶が大きくなることによって食材組織にダメージが発生してしまいやすくなります。
 
組織の粗いスポンジケーキなど、氷結晶が食品内で大きくなっても問題ない食品や、未加熱の食材の解凍には適した方法といえます。
【関連記事】解凍後の冷蔵が必要な冷凍品に! 冷蔵庫解凍の方法と特徴

 

④氷水解凍

食材を氷水に漬けこんで解凍する方法です。
食材を氷水に漬けると、食材の表面に液体がまんべんなく接するため、食材に熱が伝わりやすく、解凍スピードが速くなります。
また、氷水に漬け込むことで、食材の温度上昇を0℃前後にとどめ、酵素反応による食材の変化を防ぐことができます。
 
この方法で解凍すると、食材の温度は表面から順にマイナス温度帯から0℃前後に向かって速いスピードで変化します。その後、0℃に温度が到達すると、その温度に長く留まります。
 
このため、氷結晶が大きくなるマイナス5℃からマイナス1℃の温度帯を速く通過することができ、酵素反応が活発な約10℃~40℃の温度帯には到達しないため、食材の変化を最小限にとどめることができます。
 
生食する食材など食感が重視されるもので、組織へのダメージを避けたほうがよい食材の解凍に適した方法といえます。
【関連記事】生食用の冷凍品の解凍に最適! 氷水解凍の方法と特徴

 

⑤加熱調理・電子レンジ加熱

食材に高温の熱を与えて、解凍と調理を一度にしてしまう方法です。
高温で加熱するため、解凍スピードが速く、マイナス5℃~マイナス1℃、約10℃~40℃の温度帯を速いスピード通過するため、食材の変化が起こりにくいのが特徴です。
加熱をしても問題ない食材であれば、解凍を経ず、いきなり加熱を行うと食材の変化の影響を少なく抑えられるでしょう。
 
ただし、冷凍した食材が固まって塊になってしまっていたり、厚さがあって中心部に熱が伝わりづらかったりする場合は注意が必要です。
周囲ばかり加熱されてしまって焦げやすくなったり、中心部に熱が伝わらず生焼けになったり、中心部がゆっくりと温度変化したりすることで食材にダメージが発生しやすくなります。
 
その場合は、一度解凍を経るか、凍ったまま細かく刻むなどしてから、加熱調理を行いましょう。
 
また、電子レンジによる加熱も加熱調理と同様の効果が得られますが、モードの選択と加熱の方法に注意が必要です。
電子レンジを使う際には、解凍モードを使って一度解凍してから加熱するのではなく、一気に加熱モードで温めるようにしましょう。
 
電子レンジはマイクロ波で水分子を振動させてエネルギーを生成し、食材を溶かす仕組みになっています。凍っている水分子よりも液体になった水分子に振動が吸収されやすい性質があるため、先に溶けた箇所にマイクロ波が集中してしまい、解凍むらが発生しやすくなっています。
 
このことから、電子レンジで生の状態に解凍することは大変難しいことが分かります。
電子レンジで解凍は行わず、あくまで加熱用に使うようにしましょう。
【関連記事】加熱モードを使おう! 電子レンジ解凍の方法と特徴
【関連記事】冷凍食品を解凍しない⁈ 加熱調理で本格的な味を楽しもう!

 
 

食材に合った解凍方法を選ぼう

このように、解凍にはさまざまな方法があり、それぞれにメリットデメリットがあります。
食材をおいしく便利に食べるには、それぞれの解凍方法の特性と食材の性質を把握したうえで、適切な方法を選ぶ必要があります。
 
食材に適した解凍方法をよく理解したうえで、希望の調理法に最も合った解凍方法を選び、食材を便利においしく使えるようになりましょう。

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