常温保存可の調理品の解凍に! 自然解凍の方法と特徴
常温の中でゆっくり解凍
常温の中でゆっくり解凍される自然解凍を行うと、食品の温度は常温の温度帯に向かってゆっくり変化していきます。
最初に溶ける食品の表面は、解凍中ずっと常温にさらされた状態になるため、自然解凍を行う食材は、常温保存が可能なものを選びましょう。
自然解凍の手順
凍った食品を自然解凍する際の手順は以下のとおりです。
解凍時間は食品の大きさや厚さにもよりますが、おおむね3~4時間程度はかかると見積もっておきましょう。
①凍った食品を常温に置く
凍った食品を常温の場所に出しておきます。
食品がむき出しの場合は、空気中の菌が付着したり、乾燥したりするおそれがあるため、ラップ等で周囲を覆うとよいでしょう。
②解凍状況を確認し、問題なければ解凍完了
3~4時間程度経ったら、解凍状況を確認します。
食品の中心部まで柔らかくなっていたら、解凍完了です。
適しているのは、加熱調理と衛生管理が行われた食品
自然解凍は常温の環境で解凍するため、解凍過程で食品の酵素が反応し、変色や臭いの変化、ドリップの発生が起こりやすくなっています。
そのため、一度加熱調理を行って酵素を失活させているか、調味液による味付けが行われて酵素反応が抑えられている食品が自然解凍に適しているといえます。
ただし、加熱済みのものでも、こんにゃく、豆腐、かまぼこ、寒天、ゼラチンなどのゲル状の食品は避けた方がよいでしょう。
自然解凍では、食品の温度が最大氷結晶生成帯(マイナス5〜マイナス1℃)に長くとどまるため、解凍過程で食品内の氷結晶が大きくなってしまいます。そのため食品に「す」が入ってスポンジ化しやすく、食感が悪くなってしまうことがあります。
生ものと衛生管理が不十分な食品は要注意
加えて、加熱をしていない生ものは、常温では腐敗してしまう可能性があります。腐敗したり菌が増殖したりした食品を食べると、食中毒が起こる可能性もあるので、加熱していない冷凍品を自然解凍することは避けましょう。
同様に、加熱をしていても冷凍するまでの衛生管理がずさんな場合は、自然解凍後にそのまま食べてしまうと危険です。冷凍をすると、食品内の微生物や菌は活動を止めるため長期保存ができるようになりますが、常温に戻すと再び活動を始めます。
常温解凍の最中に菌や微生物が増殖することで、食品が傷むこともありますので、衛生管理に自信がない場合は、解凍後に必ず加熱して食べるようにしましょう。
解凍だけでなく衛生管理が必要な自然解凍
お弁当のおかずや、調理の際に活用すれば便利な方法である自然解凍は、解凍工程だけでなく、衛生管理にも気を配る必要があります。
市販の自然解凍可の冷凍食品は、製造時に微生物が付着しないように徹底した衛生管理の下で生産が行われています。
家庭で調理した食品を冷凍する場合は、市販のものと比較するとどうしても微生物がつきやすく、自然解凍を行うと、加熱調理が済んだ食品といえども解凍後に傷みやすくなっている点には注意しましょう。
衛生面が不安な食品を自然解凍した場合は、後で加熱を行うなど食中毒の予防を常に意識して使う必要があります。衛生面のリスクと手軽さのメリットをうまく調整して、日常生活に上手く自然解凍を取り入れられるようにしましょう。