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正しい冷凍知識

「凍結」技術は、冷凍ビジネスの一部でしかありません。重要なのは「素材・前処理」や「保管・輸送」「解凍・食べ方」など一連の流れをトータルで考えて、全体最適を目指すことです。私たちはこの考え方を「システム冷凍」と呼んでいます。システム冷凍の考え方を持つことで、消費者のおいしさや安全を本質的に考え、ビジネス的には予算の最適配分を行えます。

おいしい冷凍食品を作るための4つの要件とは?システムで考える正しい冷凍

よい冷凍食品を作るにはどのようなことが必要でしょうか。冷凍の場合、急速凍結すればそれだけで解決すると勘違いされている人もいますが、それは大きな間違いです。

品質の良い冷凍食品を作るには4つの要件「素材/前処理」「凍結」「貯蔵/輸送」「解凍/調理」を考えて、適切に最適化、さらには組み合わせ方を考える、いわばシステムとしての考え方が重要になります。

ここでは冷凍の基本となる【システム冷凍】について紹介します。

システム冷凍とは?おいしい冷凍食品を作るための4つの要件

[システム冷凍の4要件]

1.よい素材を冷凍に適した方法で調理すること

2.素材に合った適切な凍結を行うこと

3.適切な品温と環境で貯蔵すること

4.適切な方法で解凍・調理すること

近年、急速凍結機の製造技術の向上により、高性能な凍結機を使う凍結技術に大きな期待が注がれてきました。しかし、品質の良い冷凍食品を製造するには、「凍結」だけでは解決できません。冷凍食品を製造するには「素材/前処理→凍結→貯蔵/輸送→解凍/調理」とい各工程、プロセスを通ります。それぞれの各プロセスをしっかり深掘りして最適化すること、そしてそれぞれのプロセス同士の組み合わせを考えて、プロセス全体を「システム」として考えることが重要です。冷凍食品の製造・流通・消費の過程でなんらかの問題が発生した場合は、このプロセスのどこかに問題があることが少なくありません。課題を発見した際には、まずはこのプロセスそれぞれを見直すことが必要になります。

①素材/前処理〜素材に合わせた前処理方法や調理方法を考えましょう〜

素材に関しては新鮮で、おいしいものを冷凍することが重要です。冷凍はもとの状態をキープするための技術ですので、もとの品質をより高い状態で冷凍する必要があります。生鮮品(野菜や魚介類など)に関しては、取れたての新鮮さをいかに保ったまま工場で加工、凍結できるかが大事になります。

さらに食材ごとに適した凍結前の前処理を行うことで、冷凍保存や解凍調理後の品質を高めることができます。

例えば野菜は冷凍によるダメージを非常に受けやすい食材です。冷凍を行うと、野菜の水分の保持力が失われてしまうため、生の食感は維持することができません。さらに野菜は酵素反応が強いものが多いため、解凍後に変色や臭いの発生など品質を落としてしまうこともあります。そのため野菜を冷凍する際によく用いられる方法は、冷凍前にさっと加熱して酵素を失活させる「ブランチング」です。ブランチングを行うことで、解凍時の食感や色の変化、臭いの発生を抑えることができます。多くの市販冷凍野菜で使われている事前処理方法です。また、肉や魚は冷凍保存中に乾燥しやすいため、乾燥対策が必須になります。肉の場合は調味料などで下味をつける、または真空パックなどがされます。魚介類の場合も同じく下味や真空パック、さらには氷の膜をはる(グレージング)という手法も用いられます。

②凍結〜おいしい冷凍食品をつくるために必要な急速凍結とは〜

食品を凍結すると、食品内の水分が氷結晶になることで、食品の温度が下がります。これにより食品の長期保存や品質保持を実現することができます。凍結時には食品組織中の水分が集まって凍り、氷結晶となります。組織中に大きな氷結晶が発生すると、周囲の組織が氷結晶によって圧迫され、組織に影響を与えてしまいます。この氷結晶が大きくなればなるほど、組織破壊が大きくなり、食品の食感の悪さや、ドリップの流出などの問題が起きてしまいます。

この氷結晶の肥大化を抑えるには急速凍結が必要になります。氷結晶はその生成過程で組織中の水分を吸収し肥大化しますが、どの温度帯でも等しく肥大化するわけではありません。特に氷結晶が肥大化しやすい温度帯を「最大氷結晶生成温度帯(ー1〜ー5℃)」と呼ばれており、この温度帯に長く留まることで氷結晶の肥大化が進行してしまいます。この温度帯に30分以上留まる凍結を緩慢凍結と呼び、反対に30分以下の時間でこの温度帯を通過する凍結を急速凍結と呼びます。

そのため、冷凍食品は急速凍結機を利用することで、最大氷結晶生成温度帯を早く通過させ、氷結晶の肥大化を防ぐ工夫がなされています。

食品などの急速凍結に用いられる凍結機は、大きく以下の4つの方式に基づいて製造されています。

(急速凍結機の種類)

◯エアブラスト凍結

◯ブライン凍結

◯液化ガス凍結

◯コンタクト凍結

食品の種類や形状、生産効率や設備投資予算などに合わせて、適切な凍結機を選定することが重要です。

③貯蔵/輸送〜意外と重要な冷凍保存中に起こる問題〜

冷凍により食品の長期保管が可能になりますが、保管中も徐々にではありますが、食品内に変化は起こります。例えば、凍結の際にできた氷結晶は貯蔵中に徐々に結晶が肥大化するという性質を持っています。アイスクリームを用いた保管実験では、ー30℃以下の低温下では氷結晶の肥大化はそれほど起こらなかったものの、一般的な保管温度の基準とされるー18℃の環境下では氷結晶が3ヵ月経つうちに徐々に大きくなりました。一方、ー30℃以下の環境では、水分の移動が減少したため、肥大化が抑えられている状態です。

霜は凍結した食品の周囲の温度が、冷凍庫の扉を開けるなどして一度上昇し、冷凍庫を閉めるなどにより再度周囲の温度が下がることで発生します。

凍結した食品の周囲の温度が上がると、食品の品温も徐々に上がります。その後、周囲の温度が下がると、食品の品温は遅れて下がるため、周囲の温度よりも食品の品温の方が高い状態になります。その状態になると、食品から水分が蒸発し、パッケージと食品の間に空間がある場合は、パッケージ内に霜がついてしまいます。霜が出ているということは、食品自身の水分が飛んでいることになるので、乾燥が大きく進んでいる状態になります。

食品の周囲の温度変化による乾燥を防ぐためには、大きく分けて以下の3つの方法があります。

①冷凍庫の温度変動を小さくする(平均温度を下げるなど)

②凍結した食材を断熱材で包む

③食材の周辺の隙間を少なくする(真空包装など)

これらの対策は霜の発生を抑えることで食品の乾燥を防ぎ、長期間冷凍食品の品質を維持するために大事なことです。

④解凍/調理〜おいしい冷凍食品に不可欠な適切な解凍方法〜

システム冷凍を理解した上で考える商品開発

スーパーやコンビニなどでお惣菜の肉じゃがはよく見かけますが、冷凍の肉じゃがはほとんど見かけません。冷凍の玉子焼きも同様にほとんど見かけません。それは何故でしょうか。

お惣菜や料理の冷凍食品は、その料理によっては出来上がったものをそのまま急速凍結をしたとしても凍結前と同じような状態に戻るとは限りません。肉じゃがや玉子焼きは、単に急速凍結だけしても、元の料理にはもどらないのです。

解凍した時に、出来立てと同じようなおいしさを再現するためには、①どのような解凍方法で食べてもらいたいか、どのような解凍方法で食べるのが良いか、②そのために素材・料理の特性を理解して、どのような下処理、調理で解決した方が良いか、という「商品開発」が非常に重要になります。

冷凍するということは、仮に急速凍結をしたとしても素材や料理の味、食感は凍結前より良くなることはありません。どうしても凍結前と比べると劣ってしまうことは避けられませんが、解凍した時に最低限その変化を感じさせないように前処理や調理で工夫する必要があります。冷凍食品の商品開発はそのような「逆算計算」なのです。

よって単純に急速凍結機を購入すれば、おいしい冷凍食品が出来るとは限りません。冷凍食品の商品開発につきましては、経験豊富で沢山の知見を有する「えだまめ」に是非、ご相談ください。