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ドリップなしでおいしく! 刺身用の生魚にぴったりな解凍法

鮮魚の冷凍技術は格段に進歩しており、飲食店では冷凍技術を活用してこれまで生食できなかった魚が鮮度のいい刺身として提供できるようになりました。味も生の状態と遜色がないほど再現性が高くなっています。同様に家庭で冷凍の魚介類を購入しおいしい刺身を食べることはできないのでしょうか。本記事では冷凍の魚介類を使って刺身やカルパッチョを楽しむための解凍のポイントを解説します。ドリップや色の変化、臭みを出さない解凍方法を習得して生の魚介類を楽しみましょう。

生魚も注意点を守ればプロ並みに解凍できる

刺身用のさくや生魚の解凍に失敗すると、ドリップがでたり、色が悪くなったり、食感が悪くなったり、臭いが発生したりと、せっかくの食材が台無しになってしまうことがあります。
 
鮮度や食感がおいしさに直結する生魚を上手に解凍するには、いくつかの注意点を守る必要があります。
 
冷凍された魚介類を刺身用やカルパッチョ用として解凍するために、気を付けたいポイントを以下で説明します。

 
 

品質のよい冷凍品を購入したか確認を

解凍した食品の色や食感、味が落ちてしまった点については、解凍のプロセスだけが問題とは限りません。
冷凍する前の食品の鮮度や状態がよいものでなければ、解凍しても元の状態に戻るだけでおいしさは増すことはありません。
 
冷凍品を購入する際には、その旬の時期に冷凍されたものを選ぶようにし、可能であれば冷凍される工程を調べるようにしましょう。
よい時期によい鮮度で適切に冷凍されたものであれば、適切に解凍すれば素材の良さをぞんぶんに味わえるはずです。
 
また、商品として販売されている状態にも注意を払いましょう。素材を真空パッケージせずにむき出しで打っているものや、グレーズがかかっていないものは、保存・販売をしているあいだに乾燥・酸化している可能性があります。
また、パッケージに入ったものであっても、素材が変色していたり、乾燥していたりするように見えるものはいわゆる「冷凍焼け」を起こしている可能性があります。
【関連記事】乾燥しているサイン!冷凍食品の霜・冷凍焼けを防ぐ方法
 
保存状態のよいものを選ぶことで、はじめて素材の味を存分に味わえるのです。

 
 

生の魚は氷水解凍で解凍する

生の状態で冷凍された魚は、解凍時に組織の酵素反応を起こしやすい状態になっています。そのため、酵素反応が起こりやすい約10~40℃の常温温度帯に長くさらされる解凍方法を避ける必要があります。
 
そこで、氷水にさらす氷水解凍か、低温下でゆっくり解凍する冷蔵庫解凍が選択肢として挙がります。
【関連記事】生食用の冷凍品の解凍に最適! 氷水解凍の方法と特徴
【関連記事】解凍後の冷蔵が必要な冷凍品に! 冷蔵庫解凍の方法と特徴

しかし、冷蔵庫解凍では酵素反応は避けられますが、解凍の過程でマイナス5℃からマイナス1℃の最大氷結晶生成帯の温度にも長く留まってしまいます。
そのため、魚の組織内で氷結晶が大きくなり、組織にダメージが発生してしまいます。魚はダメージを受けやすい食材であるため、ダメージを受けるとドリップが出たり食感が悪くなったりしてしまいます。
 
食感が悪くなることを避けるためは、冷蔵庫解凍ではなく、氷水解凍でマイナス5℃〜マイナス1℃の温度帯を速く通過させましょう。
氷水解凍は0℃の水に食品をさらす解凍法で、水と食品が接するため熱伝達が高くなり、冷蔵庫解凍より早く解凍できます。

 
 

丸のままの冷凍された魚は凍ったまま氷水へ

丸ごと冷凍されている生食用の魚は、氷水に沈めて解凍しましょう。漬け込む際に魚が浮いてしまう場合は、重りとなるものを載せて沈め、魚の表面全体に氷水が触れるようにしましょう。
 
ただし、既に内臓の処理をするなど、魚に包丁が入っているものについては、そのまま氷水に漬け込まないようにしましょう。内臓部分に水が入るなどして身がふやけてしまうことがあります。
丸のまま氷水に直接漬け込めるのはあくまで処理前の魚のみです。
 
水に入れる氷の量は、1時間経っても氷が残っている程度入れれば十分です。すべて溶けてしまいそうな場合は、途中で足せば問題ありません。水温は0℃~4℃くらいが目安です。

 
 

刺身用のさくや処理後の魚は袋に入れて空気を抜いて氷水へ

刺身用のさくや既に内臓の処理をしてある刺身用の魚は、袋に入れ、周囲の空気を抜いた状態で氷水に漬け込みましょう。
 
1時間か2時間ほど漬け込んで、さくや魚に少し芯が残っているくらいで解凍をやめてかまいません。

 
 

大型の魚の刺身用冷凍さくは必ず氷水解凍しよう

マグロやカツオなど、大型の魚の刺身用冷凍さくは、必ず氷水解凍しましょう。
大型の魚は漁獲してから死後硬直が始まるまで時間がかかるため、死後硬直前に冷凍されているものがほとんどです。死後硬直前に冷凍された切り身を流水で解凍すると、酵素反応が起こるだけでなく、身が収縮して大量にドリップが出てしまいます。
氷水解凍であれば、流水解凍よりも解凍のスピードが遅いため、身の収縮はさほど起こりません。
 
なお、小型の魚は漁獲してすぐ死後硬直が起こるので、ほとんどが死後硬直後に冷凍されています。そのため、大型魚のような解凍時の身の収縮は起こる心配はありません。

 
 

よい素材の冷凍品を正しく解凍しておいしく食べよう

このように、品質の良い冷凍品を選び、正しい解凍法に沿って解凍すれば、冷凍品も生と遜色のないおいしさで食べることができます。
生食用の魚は鮮度がおいしさの重要な要素となるため、新鮮な状態で長く保管できる冷凍技術を活用すれば、いつでも便利においしい食材を味わうことができます。
 
冷凍品の選定の方法、解凍のプロセスを理解することで、生食用の冷凍素材を使いこなしましょう。

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