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目安は? 冷凍食品の保存中の劣化と賞味期限の設定

冷凍食品や冷凍品の賞味期限は、製造者が保存試験を行ったうえで決定しますが、食材や包装形態から大まかに見積もることが可能です。大まかな賞味期限を予測する場合には、どのような点を考慮すればよいのでしょうか。 本記事では、食品の冷凍保存中に変化をもたらす要素について説明するとともに、代表的な冷凍食品や冷凍品の保存期間の目安について紹介します。

冷凍食品の賞味期限は「約1年」だけど

食品を冷凍すると、食品が持つ運動エネルギーが低下するため、酸化などの化学反応の速度を遅くすることができ、食品内に存在する微生物の活動と増殖を止めることができます。
 
そのため、マイナス18℃以下の環境で冷凍食品を保存すると、食品の変化がほぼ起こらなくなるため、1年程度は品質を良好に保っていられると考えらえています。
 
しかし、実際には商品によって賞味期限の設定は「半年」「180日」などバラバラです。
なぜこのような差が出てしまうのでしょうか。

 
 

賞味期限は製造者が設定する

食品の賞味期限は、製造者が保存試験を実施したうえで、科学的・合理的根拠に基づいて決定することになっています。
また、「冷凍食品」として認定を受ける場合には、一般社団法人日本冷凍食品協会が期限表示のガイドラインを定めているため、その実施要綱に従って保存試験を行い、賞味期限を設定しなければなりません。
 
保存試験では、腐敗や劣化の有無など衛生的な観点はもちろん、製造者の求める品質が保てるか否かについても、官能検査を通じて確認され、期限の判断が行われているため、製造者の基準によっては期間が短くなってしまうのです。

 
 

食品の品質劣化の基準となるポイント

冷凍食品の品質をチェックする際の味や食感、外観に影響を及ぼす変化として、代表的なものは以下のとおりです。
 

食品の乾燥

冷凍食品を保存する際に、最も課題になるのが食品の乾燥をいかに防ぐかでしょう。
冷凍した食品を冷凍庫に入れて保存しておくと、冷凍庫の開け閉めなどによる温度変化によって食品から水分が蒸発してしまいます。
 
食品から水分が蒸発すると、表面が乾燥してしまって食感が悪くなるほか、ひび割れなどが起こって外観も悪くなります。
加えて、蒸発した水分が食品を包んでいるパッケージの中で結露し、霜だらけになってしまうため、販売に適さない状態になってしまいます。
【関連記事】乾燥しているサイン!冷凍食品の霜・冷凍焼けを防ぐ方法
 

食品の酸化

食品をマイナス18℃以下の環境で保存すると、食品の化学反応はゆるやかになりますが、止まるわけではありません。
長期保存をすると、徐々には化学反応が進行するため、食品は少しずつ酸化してしまいます。
また、食品が乾燥して水分が失われてしまうと脂質を中心に酸化が進行しやすくなります。
 

タンパク質の変性

食品の酸化と同様、化学変化であるタンパク質もマイナス18℃以下でゆっくりと変性します。タンパク質の変性も、食品が乾燥して水分が失われてしまうと進行しやすくなってしまいます。
タンパク質が変性すると、食品の保水能力が低下して歯ごたえが悪くなったり、ドリップが出たりしてしまいます。

 
 

パッケージによって保存中の食品の変化のスピードが違う

食品の乾燥や酸化、タンパク質の変性が起こるスピードは、食品の特性だけでなく、食品のパッケージによっても変わってきます。
 
食品の乾燥を防ぐには、空気に触れないように包装する必要があるため、真空包装やラップ等で空隙がないように包装をしておくことが有効です。この包装を行うことで、乾燥によって促進される酸化やタンパク質変性も防ぐことができるため、品質を長く保つことができます。
【関連記事】冷凍焼けを防いで保存性アップ! 真空包装のメリット
 
一方で、商品の特性から袋の中に空間がある形でしか包装ができない場合は、食品が霜だらけになりやすく、食品の乾燥、酸化、タンパク質変性が起こりやすくなってしまいます。
この場合は、乾燥防止の効果をもつ食品添加物を加え、乾燥を抑制する対策などがとられますが、その効果は限定的です。
 
このため、空隙のある袋に入った冷凍食品の場合は、賞味期限が短く設定され、早めの消費が促されていることもあります。
 
一方で、空隙のある袋の中に食品とともにシートを入れることで、食品の乾燥を防止する商品などもあります。賞味期限を長くしたい場合は、こうした方法を試してみてもよいでしょう。

 
 

食品の性質によって酸化・タンパク質変性のスピードが違う

また、食品の特性に応じて、酸化やタンパク質変性に代表される化学反応のスピードも変わってきます。
 
加熱されている食品は、化学反応を促す食品内の酵素が失活しているため、酸化やタンパク質変性が抑えられており、比較的長く品質を保つことができます。冷凍食品の代表例であるコロッケやしゅうまい、からあげなどは加熱調理済のため、食品の品質が劣化しにくくなっています。
 
加えて、塩や砂糖、タレなどで味付けされている食品は、塩分や糖分などが食品の水分を引き付けることで、乾燥と化学反応を防ぐ性質をもっています。また、調味料が水分を引き付けるので、味付けがされていない食品よりも乾燥しにくくなっています。
味付けされた生肉や生魚、干物、漬物などの冷凍品は、品質を長く良好に保ちやすいといえます。
 
注意すべきは、酸化しやすい脂質を含んでいる食品です。
魚は肉と比べ、酸化しやすい性質の脂である不飽和脂肪酸を多く含んでいます。なかでも、赤身魚は脂の量が多く、冷凍した場合に酸化しやすいため、早めに消費することが必要です。

 
 

冷凍食品の保存期間の目安

また、冷凍食品を販売する場合は、保存試験を経て賞味期限を設定する必要がありますが、おおまかな期限を事前に予測することも可能です。
さまざまな機関が保存試験をもとに、目安を参考として公表しているため、参考にするとよいでしょう。
 
該当する食品がリストにない場合は、ここまでの内容を元に大まかな目安がどれくらいかを考えてみるとよいでしょう。
 

冷凍食品の貯蔵期間の目安(保存温度:マイナス18℃)

【国際冷凍協会による調査結果より作成】
牛肉(生) 12か月
ラム肉(生) 9か月
豚肉(生) 6か月
鶏肉(生) 12か月
 
多脂肪魚(生) 4か月
少脂肪魚(生) 8か月
ヒラメ・カレイの類(生) 10か月
イセエビの類・カニ(生) 6か月
エビ(生) 6か月
真空包装したエビ(生) 12か月
二枚貝・カキ(生) 4か月

 
【一般社団法人日本冷凍食品協会の保存試験結果により作成】
魚フライ 12~18か月
コロッケ(油ちょう前) 8~12か月
油ちょう済コロッケ 12~18か月
ハンバーグ 10~12か月
しゅうまい、春巻 10~12か月
米飯類 12~15か月
うどん 10~12か月
グラタン 15~18か月
中華丼の具 15~18か月

 
 

食品の性質と包装形態から賞味期限は大まかに見積もれる

このように、食品の保存期間は食品の性質と包装形態に大きく影響されるため、「冷凍食品=約1年」として一括りに賞味期限を決めることはできません。
 
一方で、特定の食品の賞味期限を設定するうえで、保存試験を行った結果が想定や期待と違っていた場合は、食品の加工や包装形態を調整することによって保存期間を伸ばす工夫をすることも可能です。
 
自社の新しい冷凍商品を販売する際には、食品の製造・出荷・販売計画を元に必要な賞味期限を想定し、その理想に合うように商品設計を調整したうえで、保存試験を経て適切な賞味期限を設定しましょう。

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