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冷凍食品の賞味期限の目安は?保存中の劣化と賞味期限の設定

冷凍食品の賞味期限の目安は?保存中の劣化と賞味期限の設定


株式会社えだまめでは、冷凍食品の賞味期限設定についてサポートを実施しています。
ご相談は以下までご連絡ください。



この記事のポイント



  • マイナス18℃以下で温度変化を少なく保存した冷凍食品は、品目にもよりますが概ね1年は最初の品質が保たれるとされています。ただし家庭の冷凍庫は開け閉めで温度が変わりやすいため、購入後2~3か月が使い切りの目安です(日本冷凍食品協会)。

  • 賞味期限は国が一律に決めるものではなく、製造者など表示に責任を持つ事業者が、保存試験(官能検査・微生物試験・理化学試験など)の結果をもとに科学的・合理的に設定します。

  • 冷凍食品の業界の実施要領では、保存試験で品質を保てた期間に1未満の「安全係数」(一般の冷凍食品で0.7~0.8程度)をかけて賞味期限を決めます。2025年3月改正の国のガイドラインは、安全係数をできるだけ1に近づけることが望ましいとしています。設定手順は後半の「賞味期限の決め方」で解説します。


冷凍食品の賞味期限は「約1年」だけど


食品を冷凍すると、食品が持つ運動エネルギーが低下するため、酸化などの化学反応の速度を遅くすることができ、食品内に存在する微生物の活動と増殖を止めることができます。

そのため、マイナス18℃以下の環境で冷凍食品を保存すると、食品の変化がほぼ起こらなくなるため、1年程度は品質を良好に保っていられると考えられています。


日本冷凍食品協会も、マイナス18℃以下の冷凍庫で温度変化をできるだけ少なくして保存した場合、品目にもよりますが概ね1年間は最初の品質が保たれることがこれまでの研究や実験で明らかになっている、と説明しています。同協会が1994年に策定した「冷凍食品の期限表示の実施要領」も、マイナス18℃以下の保存条件下で1年程度を目安としていました(日本冷凍食品協会「冷凍食品産業の歩み、食品安全に向けた対応と認定制度」)。一方で、家庭の冷凍庫は開閉が頻繁で温度変化が起きやすいため、購入後2~3か月を目安に使い切るよう呼びかけています(日本冷凍食品協会「よくあるご質問」)。マイナス18℃という温度の意味は冷凍食品の保存温度「マイナス18℃」で解説しています。

しかし、実際には商品によって賞味期限の設定は「半年」「180日」などバラバラです。
なぜこのような差が出てしまうのでしょうか。


賞味期限は製造者が設定する


食品の賞味期限は、製造者が保存試験を実施したうえで、科学的・合理的根拠に基づいて決定することになっています。また、一般社団法人日本冷凍食品協会は冷凍食品向けに「冷凍食品の期限表示の実施要領」を定めており、保存試験の方法と、その結果から賞味期限を決める手順を示しています。

保存試験では、腐敗や劣化の有無など衛生的な観点はもちろん、製造者の求める品質が保てるか否かについても、官能検査を通じて確認され、期限の判断が行われているため、製造者の基準によっては期間が短くなってしまうのです。


食品表示基準では、賞味期限を「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日」と定義し、「当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるもの」としています。安全性を欠くおそれがない期限を示す「消費期限」とは別のもので、消費者庁のガイドラインは、消費期限は微生物試験など安全性の試験結果を、賞味期限は理化学試験や官能検査など品質の試験結果を優先して設定する期限だと整理しています。期限を決めるのは、その食品を最も理解している製造業者・加工業者・販売業者(輸入食品は輸入業者)で、表示責任者が責任を持って設定・表示します(消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月))。用語の整理は用語集「賞味期限」もご覧ください。


食品の品質劣化の基準となるポイント


冷凍食品の品質をチェックする際の味や食感、外観に影響を及ぼす変化として、代表的なものは以下のとおりです。


食品の乾燥


冷凍食品を保存する際に、最も課題になるのが食品の乾燥をいかに防ぐかでしょう。冷凍した食品を冷凍庫に入れて保存しておくと、冷凍庫の開け閉めなどによる温度変化によって食品から水分が蒸発してしまいます。

食品から水分が蒸発すると、表面が乾燥してしまって食感が悪くなるほか、ひび割れなどが起こって外観も悪くなります。加えて、蒸発した水分が食品を包んでいるパッケージの中で結露し、霜だらけになってしまうため、販売に適さない状態になってしまいます。
【関連記事】乾燥しているサイン!冷凍食品の霜・冷凍焼けを防ぐ方法


食品の酸化


食品をマイナス18℃以下の環境で保存すると、食品の化学反応はゆるやかになりますが、止まるわけではありません。長期保存をすると、徐々には化学反応が進行するため、食品は少しずつ酸化してしまいます。
また、食品が乾燥して水分が失われてしまうと脂質を中心に酸化が進行しやすくなります。


タンパク質の変性


食品の酸化と同様、化学変化であるタンパク質もマイナス18℃以下でゆっくりと変性します。タンパク質の変性も、食品が乾燥して水分が失われてしまうと進行しやすくなってしまいます。タンパク質が変性すると、食品の保水能力が低下して歯ごたえが悪くなったり、ドリップが出たりしてしまいます。


パッケージによって保存中の食品の変化のスピードが違う


食品の乾燥や酸化、タンパク質の変性が起こるスピードは、食品の特性だけでなく、食品のパッケージによっても変わってきます。

食品の乾燥を防ぐには、空気に触れないように包装する必要があるため、真空包装やラップ等で空隙がないように包装をしておくことが有効です。この包装を行うことで、乾燥によって促進される酸化やタンパク質変性も防ぐことができるため、品質を長く保つことができます。
【関連記事】冷凍焼けを防いで保存性アップ! 真空包装のメリット



一方で、商品の特性から袋の中に空間がある形でしか包装ができない場合は、食品が霜だらけになりやすく、食品の乾燥、酸化、タンパク質変性が起こりやすくなってしまいます。この場合は、乾燥防止の効果をもつ食品添加物を加え、乾燥を抑制する対策などがとられますが、その効果は限定的です。

このため、空隙のある袋に入った冷凍食品の場合は、賞味期限が短く設定され、早めの消費が促されていることもあります。

一方で、空隙のある袋の中に食品とともにシートを入れることで、食品の乾燥を防止する商品などもあります。賞味期限を長くしたい場合は、こうした方法を試してみてもよいでしょう。


なお、消費者庁のガイドラインは、賞味期限を延ばす取り組みとして真空包装や脱酸素を行う場合には、嫌気性菌や耐熱性芽胞菌が危害要因となる場合があるため、必要に応じて分析し、期限設定の指標とすることが有益だとしています(消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」期限(事)-6)。


食品の性質によって酸化・タンパク質変性のスピードが違う


また、食品の特性に応じて、酸化やタンパク質変性に代表される化学反応のスピードも変わってきます。

加熱されている食品は、化学反応を促す食品内の酵素が失活しているため、酸化やタンパク質変性が抑えられており、比較的長く品質を保つことができます。冷凍食品の代表例であるコロッケやしゅうまい、からあげなどは加熱調理済のため、食品の品質が劣化しにくくなっています。

加えて、塩や砂糖、タレなどで味付けされている食品は、塩分や糖分などが食品の水分を引き付けることで、乾燥と化学反応を防ぐ性質をもっています。また、調味料が水分を引き付けるので、味付けがされていない食品よりも乾燥しにくくなっています。味付けされた生肉や生魚、干物、漬物などの冷凍品は、品質を長く良好に保ちやすいといえます。

注意すべきは、酸化しやすい脂質を含んでいる食品です。魚は肉と比べ、酸化しやすい性質の脂である不飽和脂肪酸を多く含んでいます。なかでも、赤身魚は脂の量が多く、冷凍した場合に酸化しやすいため、早めに消費することが必要です。


日本冷凍食品協会の実施要領でも、油脂の酸化が品質に影響すると考えられる食品については、保存試験で酸価(AV)と過酸化物価(POV)を測ることとしています(詳しくは「賞味期限の決め方」)。


冷凍食品の保存期間の目安


また、冷凍食品を販売する場合は、保存試験を経て賞味期限を設定する必要がありますが、おおまかな期限を事前に予測することも可能です。さまざまな機関が保存試験をもとに、目安を参考として公表しているため、参考にするとよいでしょう。

該当する食品がリストにない場合は、ここまでの内容を元に大まかな目安がどれくらいかを考えてみるとよいでしょう。


なお、冷凍食品の出荷・輸送に関しては、冷凍に特化した配送支援サービスを展開する専門家への相談がおすすめです。例えば、オープンロジ社では、冷凍・冷蔵倉庫物流代行サービスを提供しており、EC事業者様に拡張性と柔軟性の高いフルフィルメントサービスを提供しています。


参考:冷凍配送について | 株式会社オープンロジ


冷凍食品の貯蔵期間の目安(保存温度:マイナス18℃)


【国際冷凍協会による調査結果より作成】
牛肉(生) 12か月
ラム肉(生) 9か月
豚肉(生) 6か月
鶏肉(生) 12か月
多脂肪魚(生) 4か月
少脂肪魚(生) 8か月
ヒラメ・カレイの類(生) 10か月
イセエビの類・カニ(生) 6か月
エビ(生) 6か月
真空包装したエビ(生) 12か月
二枚貝・カキ(生) 4か月

【一般社団法人日本冷凍食品協会の保存試験結果により作成】
魚フライ 12~18か月
コロッケ(油ちょう前) 8~12か月
油ちょう済コロッケ 12~18か月
ハンバーグ 10~12か月
しゅうまい、春巻 10~12か月
米飯類 12~15か月
うどん 10~12か月
グラタン 15~18か月
中華丼の具 15~18か月

2つの表は、いずれも日本冷凍食品協会「冷凍食品の期限表示の実施要領」の参考資料(協会の保存試験結果/国際冷凍協会の実用貯蔵期間)によるものです。協会の試験は保存温度マイナス18℃を基準とし、直冷式横型冷凍庫を使ったため、検体の採取時や自動霜取り時の温度変化が品質に若干影響したと考えられる、と注記されています。国際冷凍協会の資料は、マイナス25℃・マイナス30℃では同じ品目でもより長い期間を示しており(例:牛肉はマイナス25℃で18か月、マイナス30℃で24か月)、保存温度が低いほど品質を保てる期間が長くなることがわかります。いずれも目安であり、自社商品の賞味期限は保存試験で確かめる必要があります。


食品の性質と包装形態から賞味期限は大まかに見積もれる


このように、食品の保存期間は食品の性質と包装形態に大きく影響されるため、「冷凍食品=約1年」として一括りに賞味期限を決めることはできません。

一方で、特定の食品の賞味期限を設定するうえで、保存試験を行った結果が想定や期待と違っていた場合は、食品の加工や包装形態を調整することによって保存期間を伸ばす工夫をすることも可能です。

自社の新しい冷凍商品を販売する際には、食品の製造・出荷・販売計画を元に必要な賞味期限を想定し、その理想に合うように商品設計を調整したうえで、保存試験を経て適切な賞味期限を設定しましょう。


賞味期限の決め方(事業者向け):設定方法・根拠・保存試験


ここからは、冷凍食品を製造・販売する事業者向けに、賞味期限の決め方を国のガイドラインと業界の実施要領に沿って整理します。賞味期限の設定に、品目横断で「必ず実施しなければならない検査」は定められていません。表示責任者が食品の特性や保存状態を踏まえて、期限を決めるための客観的な項目(指標)と基準を自ら決め、科学的・合理的な根拠に基づいて設定する、というのが基本の考え方です(消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」)。


国のガイドライン(2025年3月改正)の考え方



  • 指標を決める:客観的な項目(指標)とは、理化学試験・微生物試験・官能検査などで数値化できる項目です。官能検査も、適切にコントロールされた条件下で適切な被験者が的確な手法で評価すれば客観的な指標にできます。

  • 安全係数をかける:一般には、試験で得られた期限に1未満の係数(安全係数)をかけるか、特定の日数を差し引いて期限を設定します。改正後のガイドラインは、食品の特性等によるとしつつ、安全係数は1に近づけること、差し引く日数は0に近づけることが望ましいとしています。改正前のQ&Aにあった「0.8以上を目安」という示し方は、安全係数を0.8未満に設定している品目が約40%あったという実態調査を受けて見直されました(消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会 取りまとめ」)。

  • 類似品の結果を使える:個々の食品ごとに試験をすることが現実的でない場合、特性が類似している食品の試験結果を参考に期限を設定することもできます。ただし期限を延ばす場合は、科学的・合理的な根拠が必要です。

  • 根拠を残す:表示責任者は期限設定の根拠資料を整備・保管し、消費者等から求められたときは情報提供に努めるものとされています。


冷凍食品の保存試験の進め方(日本冷凍食品協会の実施要領)


日本冷凍食品協会の「冷凍食品の期限表示の実施要領」は、冷凍食品の賞味期限を設定する際には保存試験を行い、官能試験と衛生試験、必要に応じて理化学試験を実施して品質を評価したうえで期限を設定する、としています。手順の骨子は次のとおりです。
















項目実施要領の内容
試験する製品流通実態に応じた包装形態の製品
保存温度冷凍食品の保存流通に適応した、自ら設定した温度(例:マイナス18℃、マイナス23℃)
試験区(取り出す時期)製品ごとに複数の保存期間を設定(例:2か月・3か月ごと)。長持ちが見込まれる製品は初期の間隔を長く、終盤に近づくほど短くする
検体数試験区ごとに3検体
官能試験訓練を受けた試験員3名が色沢・香味・食感を5点評価。1点の項目がある、または3項目の平均点が3.0に達しない場合は不適格。3名中2名以上が不適格なら総合判定は不適格
衛生試験細菌数。試験方法と判定基準は食品衛生法の冷凍食品の成分規格による
理化学試験油脂の酸化が品質に影響するものは酸価(判定基準3以下)と過酸化物価(同30以下)を測定
期限の決め方いずれかの試験項目で不適格となった試験区の、1つ前の試験区の経過月数(保存可能期間)に安全係数1未満(一般の冷凍食品では0.7~0.8程度)をかける

たとえば、保存試験で12か月目までは全項目が適格で、その次の試験区で不適格になった場合、保存可能期間は12か月です。これに安全係数0.8をかけると9.6か月となります(計算例)。実施要領は1994年に策定されたもので、2025年改正の国のガイドラインは安全係数をできるだけ1に近づけることが望ましいとし、業界団体にもマニュアルの見直しを期待しています。安全係数をいくつにするかは、微生物が増えやすいか、品質のばらつきが大きいかといった食品の特性を踏まえて表示責任者が判断することになります。官能評価の設計についてはおいしさは測定できる!「官能評価」とは何か?で解説しています。


表示するときの注意点



  • 年月表示:製造から賞味期限までが3か月を超える場合は、年月で表示できます。その場合は期限日が属する月の前月を表示します(例:4月10日製造で品質保持期間100日なら期限は7月18日となり、表示は「6月」。期限日が月末の場合を除く)。

  • 流通途中で冷凍する場合:流通段階で保存方法を変更し、期限表示の変更が必要になる場合は、変更後の保存方法と新たな期限を改めて設定し、表示し直す必要があります。

  • 販売店で解凍して売る商品:販売店で冷蔵状態の期限を表示することを理由に、製造者が冷凍状態での賞味期限の表示を省略することはできません。


(出典:消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」期限(事)-10・11・29)


まとめ



  • マイナス18℃以下で温度変化を少なく保存すれば、冷凍食品は概ね1年は最初の品質を保てるとされますが、実際の賞味期限は食品の性質と包装形態で大きく変わります。

  • 賞味期限は表示責任者が保存試験などの根拠に基づいて決めます。冷凍食品では、官能・衛生(細菌数)・必要に応じて理化学試験で品質を確かめ、保てた期間に安全係数をかけるのが業界の実施要領の方法です。

  • 2025年3月改正の国のガイドラインは、安全係数を1に近づけることが望ましいとし、根拠資料を整備・保管して情報提供に努めるよう示しています。期限を延ばしたい場合は、加工・包装の見直しと保存試験をセットで考えましょう。


保存試験の設計や、商品設計から見直して賞味期限を延ばしたい場合は、冷凍新規事業コンサルティングでもご相談を承っています。