生食用の冷凍品の解凍に最適! 氷水解凍の方法と特徴
0℃近くの水で品質を保ちながらスピード解凍
氷水解凍は0℃近くの水で食品へのダメージを抑えながら、高い熱伝導がある水の力を活用して、冷蔵庫解凍よりも速く、食品を冷たい状態のまま溶かす方法です。
氷水解凍は特に生食用の食材を解凍する際に効果を発揮します。
その正しい方法と特性を知ることで、生食用の冷凍食材を適切においしく扱えるようになりましょう。
氷水解凍の手順
凍った食品を氷水解凍する際の手順は以下のとおりです。
解凍時間は食品の大きさや厚さにもよりますが、おおむね2~3時間を見積もっておきましょう。
①凍った食品を漬け込める大きさの容器に水を張り、氷を入れる
氷水解凍を行うには、食品にまんべんなく水をあてることが必要です。食品表面がすべて水に沈む程度の大きさの容器を用意しましょう。
水は氷を入れることで0℃前後の温度を保つようにします。
氷の量は水が冷たくなる程度で構いません。途中で氷が溶けてなくなりそうな場合は、足してください。
②冷凍状態の食品を氷水の中に沈める
食品を氷水の中に沈めます。食品の表面に袋の外から0℃近くの水が接することで、食品から熱を移動させ、解凍します。
こうすることで、0℃の空気中と比べて10倍以上の速さで解凍することができます。
③食品が浮いてくる場合は、皿などでおさえて沈むようにする
食品が氷水の上に浮かぶ場合は、皿などを食品の上に置いて必ず食品のすべての面が氷水に触れるようにしましょう。こうすることで解凍スピードが上がります。
また、袋に空気が入っていると浮いてきてしまうので、空気を抜くようにしましょう。
④食品の解凍具合を確かめ、氷水から取り出す
食品に少し芯が残る程度まで解凍できたら、氷水から取り出して調理します。
また、氷が水の中に残っている場合は、氷水の温度が0℃近辺で保たれているため、解凍してすぐ取り出すことができなかったとしても食品が変化してしまう心配はありません。
刺身用の魚など生食用食品に最適な解凍法
0℃近くの水で食品を解凍する氷水解凍は、鮮度や状態がおいしさに直結する生食用の食品に最適な解凍法です。
0℃近くの水が袋の外から食品に触れる状態で解凍をするため、解凍中の食品温度も0℃付近に留まります。また、熱伝導のよい水が食品にまんべんなく触れることで、食品の品温を早いスピードで0℃に近づけることができます。
氷水解凍を行うことで、食品の組織に発生している氷結晶が粗大化する最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃の温度帯)に留まる時間が短くて済み、食品表面の酵素反応が活発になる常温温度帯(約10~40℃)には達することなく解凍することができます。
繊細な舌触りが重視され、ドリップの発生を抑えなければならない生食用の食品において、解凍時の氷結晶の粗大化を抑えられる解凍法はぴったりといえるでしょう。
また、酵素反応を抑えることで、変色や臭いの発生を抑えることができるため、鮮度の良い生と変わらない状態に解凍することができます。
パウチされていない食品は、袋に入れ空気を抜いて氷水解凍を
冷凍された生食用の素材を解凍する際には、パウチされた食品であれば、そのまま氷水に漬けて解凍します。
また、刺身用のさくや塊肉などパウチをされていない商品については、冷凍のまま必要な量を切り分けて袋に入れ、空気を抜いて氷水に漬け込んで解凍しましょう。
魚や貝類が丸のまま冷凍されている場合は、そのまま袋などには入れず氷水に漬け込んでも構いません。
ただし、冷凍保存用に包丁が入れられ、内臓が取り除かれている場合などは、内臓部分に水が入り込み素材がふやけてしまうおそれがあるので、一度袋に入れて空気を抜いたうえで解凍しましょう。
パウチされた生食用の食品は、解凍にも保管にも適した冷凍品
パウチされた生食用の食品は、簡単に氷水解凍ができるため大変便利だといえるでしょう。
また、パウチ加工がされていることで、冷凍保存中の食品の乾燥を防ぐことができるため、食品の冷凍焼けを防ぎ、食品の品質を良い状態で保てます。
刺身用のさくや生肉の塊は、切り分ける際の扱いやすさのため、むき出しの状態で販売されてることが大半です。購入した後は冷凍用の袋に入れて空気を抜いて保存すると、乾燥による品質の劣化を防ぐことができるうえ、解凍の際に便利です。
消費者用にパッケージされた生食用の商品を販売する場合は、パウチ加工をしたうえで氷水解凍をするよう説明書きを添えれば、製造した時の品質を保ったままで食卓にのぼりやすくなるでしょう。
氷水解凍を活用して廃棄ロスを抑え、おいしく生食用の冷凍品を食べよう
氷水解凍は、繊細な生食用の素材を冷凍前と変わらない品質で解凍することができる方法です。この解凍方法を使うことができれば、足の速い生食用の食材のロスを抑え、長くおいしく楽しむことができます。
氷水解凍を活用することで、生食用の食材を便利に活用できるようにしましょう。