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種類に合わせて冷凍・解凍を|魚の冷凍・解凍・保存方法

肉に比べて組織が繊細な魚は、冷凍・保存・解凍の過程でダメージを受けやすい食材です。一方、正しく冷凍・保存・解凍をすれば、冷凍前のおいしさを維持したまま食べることができる食材でもあります。本記事では、魚の冷凍・保存・解凍方法について紹介します。

肉と比べて冷凍・解凍のダメージを受けやすい

魚は肉と比べ、冷凍と解凍による組織ダメージを受けやすいため、注意が必要な食材です。
 
魚の組織は肉よりもやわらかくダメージを受けやすい性質を持ち、冷凍により食感の変化が起きやすくなっています。
また、魚の脂質は酸化しやすい不飽和脂肪酸を多く含んでいるため、長く冷凍保存をすると、乾燥にともなう脂質の酸化が起こりやすくなっています。
 
しかし一方で、魚を冷凍すると組織内に氷結晶ができて細胞膜が壊れるものの、解凍をすると細胞内の筋線維が水分を再吸収し、その筋線維が食感を維持する性質をもっています。細胞膜が壊れると水分が流出し、食感が落ちてしまう野菜などと比較すると冷凍・解凍を経ても元の食感に復元しやすい食材といえるでしょう。
 
そのため、組織のダメージを最小限に抑えるための急速冷凍を行なったり、保存中の乾燥防止対策を行ったりするなど、冷凍・解凍・保存において厳密に品質の管理をすれば、高い品質を維持できる食材であるともいえます。

 
 

魚を冷凍する際は急速冷凍を

魚は組織のダメージを受けやすい食材であるため、冷凍する際には「急速冷凍」を行いましょう。
 
急速冷凍により組織の中に発生する氷結晶を小さくすると、組織へのダメージが抑えられ、解凍時の食感の変化や酵素反応を少なくすることができます。
氷結晶は、冷凍のスピードを上げれば小さくなります。そのため、冷凍のスピードを上げるために低い温度と強い風速や流速を使って冷凍できる急速冷凍機を用いると、食品の解凍時の変化はより少なくなります。
 
しかし一方で、急速冷凍機の能力や性能を上げると、電気料金などのランニングコストも上がってしまうことには注意が必要です。加えて、エアブラスト冷凍機など風を吹かせて冷凍するタイプの急速冷凍機では、強い風を未包装の食品に当てると、食品が乾燥してしまう場合があります。
 
氷結晶を小さくすることによる品質の向上だけに着目せず、生産する商品に最も適した冷凍法や製造原価ついても目を向けることが必要です。

 
 

保存時の乾燥予防は冷凍魚介類の品質の鍵

魚介類の脂質には酸化しやすい不飽和脂肪酸が多く含まれており、組織が乾燥することで食感が落ちるだけでなく味が変化しやすい性質を持っています。そのため、冷凍保存中の乾燥予防が品質を維持するうえで大変重要です。
 
氷の膜で食品の表面を覆う「グレーズ」や、包装材を用いて食品の周囲に空間ができることを防ぐ、または、調味料で味付けをし乾燥や組織の変性を防ぐといったことが必要です。

 
 

魚の調理状態に合った解凍法を選択することが必要

魚介類は解凍の際の酵素反応にも注意が必要な食材です。
特に生食をするものについては、酵素反応により食感や味が変化したり、ドリップが発生したりすると、魚介類独特のおいしさが損なわれてしまいます。
 
魚介類の適切な解凍法は生や味付け、加熱の有無など、食材がどう調理加工されているかによって変わってきます。
最も適切な解凍方法を選択するようにしましょう。

 
 

調理加工状態別の魚介類の冷凍・保存・解凍法

ここでは、これまで説明されてきた内容をもとに魚の加工別の冷凍・保存・解凍方法について説明していきます。
 

丸ごと冷凍する

魚や貝類を調理加工せずそのまま冷凍する方法です。
 
魚や貝類を内臓やえら、殻の処理をせずに丸のまま袋や容器に入れ、その上から水を注ぎ入れます。
魚や貝の周囲を水が覆ったら、空気を抜いて封をするか、蓋をして凍らせます。
こうすることで、食品の周囲を氷で覆う状態で冷凍を行うことができ、冷凍保存中に食品が空気に触れさせないことで乾燥を防止することができるのです。
この方法は「氷漬け冷凍」や「注水冷凍」と呼ばれます。
 
解凍する場合は、氷ごと容器から取り出して、水を張った容器の中に入れる「氷水解凍」を行いましょう。
【関連記事】生食用の冷凍品の解凍に最適! 氷水解凍の方法と特徴

 
一般的に、魚介類を保存する際には腐敗防止のために内臓の処理などを行いますが、この方法で冷凍・保存・解凍をする場合は、内臓やえらの処理をしないようにしてください。処理をしてしまうと、組織に傷がついて、その箇所から傷みやすくなってしまいます。
氷で覆うとかさが増して冷凍庫に収納できないなど、氷漬け冷凍が難しい場合は、凍結前または凍結後にラップ等の包装材で魚を密閉包装することでも冷凍をすることができます。
 
解凍を行う場合は、氷水を張った容器の中に漬け込んで解凍しましょう。
氷水解凍を行うことで、解凍中に酵素反応による味や食感の変化を少なくすることができます。
 
ただし、ラップ等で外側を密閉するだけの場合は、貝などの場合はどうしても殻の中に空間ができてしまうため、身の乾燥が起こりやすくなってしまいます。
魚の場合も氷漬け冷凍と比較して、やや乾燥しやすいことは頭に置いておき、早めに解凍をして調理に使うようにしましょう。
 

フィレやむき身の状態で冷凍する

魚介類を加工してフィレやむき身の状態で保存する場合は、フィレやむき身が乾燥しないように包装を行い、冷凍する必要があります。
 
袋に入れて脱気包装をするか、ラップ等の包装材で隙間なく密着した包装を行うなど、冷凍保存中に食材が空気に触れないようにしましょう。
包装は、冷凍前と後のどちらで行っても問題ありません。
脱気包装をする場合は、強く脱気をしすぎると身からドリップが発生してしまうので、空気をほどよく抜く程度にとどめましょう。
 
解凍する際は、解凍中に魚の酵素が反応し、組織が変化してしまうことを防ぐため、氷水解凍を行いましょう。
 
フィレやむき身は乾燥を予防する包装を行うことで、品質を長く良好に保つことができますが、調理加工により組織がダメージを受けているため、丸ごと冷凍する場合に比べ、品質が劣化しやすい状態になっています。
丸ごと冷凍する場合よりも、早めに解凍し、調理に使うことを心がけましょう。
 

下味をつけて冷凍する

フィレやむき身に下味をつけて冷凍をすると、魚介類の品質をより良好に保って冷凍・保存・解凍をしやすくなります。
 
食品に調味料で下味をつけると、食品中の水分が調味液に引き寄せられたり、調味液自体が膜の役割を果たしたりすることで、乾燥・酸化が起こりにくくなり、酵素反応も抑えられます。
加えて、解凍中の酵素反応も抑えられるため、冷凍・保存・解凍を通じて品質を高く保ちやすくなり、長期間の保存もしやすくなります。
 
食材の特性から濃い味付けが難しい場合には、薄い砂糖水や油を塗っておくだけでも保存性が上がります。
 
解凍する際には、濃い味付けをしている場合は流水解凍でも問題ありません。
薄い味付けの場合は、氷水解凍を行いましょう。
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干物の状態で冷凍する

干物は、以前は常温で保存するための加工方法でしたが、近年は塩分を減らした加工が主流となっており、常温では日持ちがしなくなったため冷凍されて流通することが一般的です。
塩水に漬け込んで乾燥させた調理品であるため、既に下味がついており、冷凍には向いている食品といえます。
 
干物を冷凍する場合は、冷凍保存中の乾燥・酸化を避けるため、冷凍の前後どちらかで、袋に入れて脱気包装を行うか、ラップ等で空気に触れないように密閉包装を行いましょう。
 
解凍する場合は、解凍せずに凍ったまま焼いて調理をすることができます。
また、身が厚い場合は凍ったまま焼いてしまうと、周囲が焦げて中まで火が通らないことがあります。その場合は、包装材ごと流水解凍を行って、干物がある程度柔らかくなってから焼きましょう。
ラップ等の隙間のある資材で包装をされている場合は、袋に入れて空気を抜いて流水解凍を行いましょう。
 

加熱調理された魚介類を冷凍する

加熱調理された魚介類は冷凍・保存・解凍によるダメージを受けにくい食材です。
加熱により酵素が失活しているうえ、味付けにより乾燥・酸化が起こりにくくなっています。
 
冷凍を行う際は、冷凍の前後で食品を袋に入れて脱気包装を行うか、ラップ等の包装材で隙間なく密閉包装を行いましょう。
 
解凍する際には、自然解凍、流水解凍、加熱調理のどの解凍法を行っても問題ありません。
ただし、自然解凍は食品が傷みやすい常温での解凍になるため、気温が高いときに長時間放置しないなど、食品の衛生面に注意したうえで行いましょう。
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魚の状態に合わせて、適切な冷凍法を選ぼう

このように、魚を冷凍する際には調理の状態に合わせてさまざまな注意点がありますが、適切な冷凍・保存・解凍方法を選ぶことで、食材の品質を長期間高く保ったまま保存をすることが可能になります。
 
冷凍技術をうまく活用すれば、魚介類の日持ちを伸ばし、広い範囲で長期間流通させることもできます。
食材の可能性を高める冷凍技術を使って、食品のロスを少なくするだけでなく、地域ならではの食材をどのように加工し、商品化することが適切か、考えてみるとよいでしょう。

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