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冷凍すると「す」が入る食材|豆腐、こんにゃくなどは要注意

寒天、こんにゃく、かまぼこ、豆腐など、液体が固まってできたゲル状の食品は、冷凍するとスカスカになってしまうことがあります。これを一般的には「す」が入るといいます。本記事ではゲル状の食品に「す」が入る理由について説明すると共に、食品に応じた変化の特性や、変化を活用して作られた食品についても紹介します。

寒天、こんにゃく、かまぼこ、豆腐などの冷凍には要注意!

寒天、こんにゃく、かまぼこ、豆腐など、液状の食品を固めて作ったゲル状の食品を冷凍・保存・解凍する際には注意が必要です。
これらの食品を冷凍すると、食品内にできた氷結晶の大きさに沿って組織が変形してしまい、元に戻らなくなってしまうからです。このようにして食品の内部にボコボコ穴が空いた状態を、一般的には「す(鬆)」が入ると呼びます。

 
 

「す」が入ると水分が抜けて食感とおいしさが落ちる

食品の内部に「す」が入ると、食品の内部から水分が脱水されてしまい、食品がスカスカになってしまいます。
この仕組みを、少し詳細に確認してみましょう。
 
ゲル状の食品は長い分子鎖(細胞同士が接着物質で連なっている状態のもの)が糸まり状になって結合しており、その糸まりのなかを水が満たす構造になっています。
ここに氷結晶ができると、氷結晶に押しのけられて分子鎖が密集し、化学結合を起こします。一度発生した化学結合は解凍された後も元に戻らないため、食品に穴が空いたような状態になります。
また、分子鎖が元に戻らないため、糸まりが水を保持できなくなり、氷結晶として集まった水分はそのまま流れ落ちて脱水されてしまいます。
 

 
 

急速冷凍をすれば「す」の大きさが小さくなる

それでは、ゲル状の食品は冷凍することができないのでしょうか。
大きな「す」が入ってしまうと、食品の食感が大きく損なわれてしまいますが、「す」を小さくすることで、食感の変化や水分の脱水を少なく抑えることは可能です。
 
「す」を小さくするためには、氷結晶を小さくする必要があります。
そのため、冷凍する際には急速冷凍を行い、食品内部の氷結晶を小さく保ちましょう。
冷凍したゲル状の食品を長期保存する場合は、保存中に氷結晶が大きくならないように、冷凍庫内の温度を低く保つ必要があります。食品の周囲を断熱材で巻いたり、冷凍庫の扉の開け閉めを少なくしたりして、品温を低く維持しましょう。
 

また、解凍の際は、最大氷結晶生成帯(マイナス5℃~マイナス1℃)の温度に長く留めない解凍方法を選ぶ必要があります。この温度帯の通過速度が速い、流水解凍、氷水解凍、加熱調理のいずれかのうちから、食材や調理方法に合ったものを選びましょう。冷蔵庫解凍と自然解凍は、この温度帯に長く留まる解凍法なので、避けるようにしましょう。
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食材によって「す」のでき方は違う

また、冷凍したゲル食品の種類によって、解凍後の「す」のでき方は違います。
 
たとえば、かまぼこは分子結合が強くないため、常温に戻した後でしばらく時間を置くと、水分を食品の組織が再吸収します。
ゼラチンの場合は、常温に戻すと食品の組織が氷結晶の水分を再吸収し、ほぼ元の食感に戻ります。
 
また、ごはん、おかゆ、うどんなど、デンプンゲルが含まれた食品も冷凍をすると「す」が入ってしまいます。しかし、デンプンゲルは化学結合が弱いため、加熱することで組織を元に戻すことができます。
 
一方、分子結合の強い寒天、こんにゃくや豆腐は水分を再吸収しにくいので、「す」がはっきりとできてしまいます。

 
 

高野豆腐は「す」を活用した食品

「す」ができる仕組みを利用した加工食品もあります。
 
高野豆腐や凍みこんにゃくなどの伝統食材は、ゲル状の食品に「す」が入ることを利用して、食品を冷凍・解凍を行うことで脱水し、乾燥を効率的に行うことで作られています。

 
 

寒天、こんにゃく、かまぼこ、豆腐の冷凍には急速冷凍の活用を

寒天、こんにゃく、かまぼこ、豆腐などのゲル状の食品を冷凍すると「す」が入ってしまう性質は避けられません。
そのため、急速冷凍機で冷凍し、その解凍後の食品が希望の品質に見合っているかを確かめたうえで冷凍を活用する必要があります。
 
既に多くの企業では、生産調整や通信販売、業務用食品の製造の用途でゲル状の食品の冷凍が行われています。
希望の品質との兼ね合いを確かめながら、ゲル状の食品に急速冷凍技術を活用するようにしましょう。

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