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アルミホイルを使えば、家庭用冷蔵庫でも急速冷凍できる?

なぜアルミホイルを使った冷凍が推奨されているのか


近年、インターネットメディアを中心に、アルミホイルを使って冷凍すると急速冷凍ができると発信されています。これは本当なのでしょうか。また、なぜ「アルミホイルを使うと急速冷凍できる」という主張がなされているのでしょうか。さまざまな記事の内容を確認してみると、「アルミホイルは冷気が伝わりやすい、熱伝導率が高い」という理由から、急速冷凍ができると思われているようです。

確かに、金属は熱伝導がよい物質ではありますが、その点だけで急速冷凍ができるのでしょうか。以下で検証していきます。

アルミホイルを巻くだけではかえって冷気が伝わらなくなる


アルミは金属なので熱伝導がよい物質ではありますが、冷凍庫内の冷気を食品に伝える助けになるのでしょうか。答えは「いいえ」です。

冷凍庫の冷気で食品から熱を奪うためには、直接冷気が食品に触れたほうが効果的です。アルミホイルを巻いてしまうと、冷気と食品の接触の間にアルミホイルが入ることになってしまいます。いくら熱伝導のよい物質とはいえ、せっかくの冷気や風を妨げてしまうため、冷凍効率がかえって悪くなってしまいます。

金属が食品に触れて冷凍効率がよくなるのは、金属板の中にマイナス30℃程度の低温の不凍液を流し、金属の温度を下げたうえで食品に押しつけるなど、極端に金属を冷却した場合です。この仕組みは、コンタクト冷凍機として業務用に開発されていますが、家庭で再現するのは難しいでしょう。

これらのことから、アルミホイルを使った急速冷凍は「できない」ことが分かります。

急速冷凍にこだわらなくても食品はおいしく冷凍できる


それでは、家庭用冷蔵庫では急速冷凍を行うことができず、食品をおいしく冷凍することはできないのでしょうか。
確かに、急速冷凍を行うと食品内にできる氷結晶を小さくすることができ、食品へのダメージを少なくすることができます。しかし、氷結晶を小さくすることが重要な食品はさほど多くありません。

氷結晶による組織ダメージで「す」が入ってしまう豆腐やこんにゃく、寒天などの食材を除けば、急速冷凍をしなくても十分おいしく食べることができます。むしろ、家庭で食材を冷凍する際に注意すべきは、食品を凍らせる速さではなく、食材の保存や解凍過程で失敗してしまうことです。

冷凍して保存している最中に、食材が乾燥してしまうと、冷凍焼けが起こったり、食感が悪くなってしまったりします。それを避けるためには、ラップ等で空気が入らないように密閉して冷凍しましょう。

これに加えて、塩や砂糖・調味液などで味を付けたり、液体に浸した状態で冷凍すると、乾燥による食品の変化を防ぐことができます。
【関連記事】乾燥しているサイン!冷凍食品の霜・冷凍焼けを防ぐ方法

また、食材を解凍する際には、自然解凍、冷蔵庫解凍、流水解凍、氷水解凍、加熱調理のなかから食材の性質や調理に合った解凍方法を選択し、解凍による食材の変化を抑えましょう。
【関連記事】速さと温度に注目 おいしく食べるための解凍のメカニズム

この2つの点に注意すれば、家庭用冷蔵庫で冷凍した食品についても、風味や食感をさほど損なうことなく、おいしく冷凍・解凍できるはずです。アルミホイルなどを使った「急速冷凍」にこだわりすぎず、正しく冷凍を行うことで上手に食材を活用しましょう。