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セントラルキッチンとは?仕組み・許可・導入の進め方をわかりやすく解説

セントラルキッチンとは?仕組み・許可・導入の進め方をわかりやすく解説

セントラルキッチンとは、飲食店や病院・学校・福祉施設など複数の食事提供先の調理(仕込み・加熱・冷却・盛り付けなど)を1か所に集約して行い、各店舗・施設へ配送する調理施設のことです。店舗や施設は、配送された料理を再加熱・盛り付けするだけで提供できるようになります。


この記事では、セントラルキッチンの仕組みを、調理方式と温度管理、必要な営業許可と衛生管理、冷凍を使った計画生産、導入の進め方の順に解説します。


この記事のポイント



  • 調理方式はクックサーブ・クックチル・クックフリーズ・真空調理の4つが代表的で、方式ごとに冷却の速さと保存温度(チルドは0〜3℃、冷凍は-18℃以下が目安)を守ることが仕組みの中心です。

  • 事業としてセントラルキッチンを運営する場合は、原則として食品衛生法の営業許可が必要です(学校・病院などが自ら運営する営業以外の集団給食施設を除く)。2021年6月1日に許可業種が32業種に再編され、同じ日からHACCPに沿った衛生管理が原則すべての食品等事業者に求められています。

  • 急速冷凍を組み合わせると、作り置きできる期間が延びるため、製造日と提供日を切り離した計画生産ができるようになります。


セントラルキッチンとは?基本の仕組み


セントラルキッチンのイメージ

セントラルキッチンは、飲食店や病院、学校、福祉施設など複数の食品提供先の調理を一手に引き受ける調理施設です。調理・製造する食品は精肉やカット野菜など原料に近いものから、弁当・惣菜などの完成品までさまざまです。業態や施設の衛生管理基準に最も適した調理工程をセントラルキッチンが担うことで、効率化が行われています。


業態によって手法は異なりますが、一般的にセントラルキッチンは、セントラルキッチンそのものと、食品を提供する複数の店舗や学校・病院・福祉施設など遠隔のキッチンで成り立っています。


セントラルキッチンを利用することで、店舗や学校・病院・福祉施設などでは配送された加工・調理食品を加熱や盛り付けするのみで提供することができます。つまり、セントラルキッチンは各店舗それぞれで行っていた仕込み・調理を簡略化もしくは省略するための仕組みなのです。


病院の給食では、病院の外の調理加工施設で調理する「院外調理」が国の通知で認められており、この場合も喫食直前の再加熱は病院内の給食施設で行うこととされています(厚生省健康政策局長通知「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」(健政発第98号・埼玉県掲載))。介護施設でセントラルキッチンを使う場合の注意点は介護施設におけるセントラルキッチン導入のメリット・デメリット・検討ポイントで詳しく解説しています。


セントラルキッチンの調理方式と温度管理



セントラルキッチンの調理方式と温度管理

セントラルキッチンの仕組みとして欠かせない視点が、「調理してから食べるまでの温度と時間をどう管理するか」です。病院給食についての国の通知では、病院外で調理する場合の調理加工方式としてクックチル、クックフリーズ、クックサーブ、真空調理(真空パック)の4方式が挙げられ、料理に合わせて組み合わせることが望ましいとされています(健政発第98号)。病院向けに限らず、セントラルキッチン全般でこの4つが基本の考え方になります。












方式流れ温度・時間の目安
クックサーブ加熱調理した料理を、冷却・保存せずに当日のうちに提供する調理後2時間以内に喫食する場合は65℃以上を保って運搬してよいとされています
クックチル加熱調理→急速冷却→チルド保存・配送→提供先で再加熱加熱終了後30分以内に冷却を始め、90分以内に0〜3℃まで冷却。0〜3℃で保存・配送し、消費期限は調理日と消費日を含めて5日以内
クックフリーズ加熱調理→急速冷凍→冷凍保存・配送→提供先で解凍・再加熱急速冷凍機に入れてから90分以内に中心温度-5℃以下、その後-18℃以下で保存。保存期間は8週間までなら栄養や食味に目立った損失はないとされています
真空調理食材を調味料とともに真空包装→低温で加熱→急速冷却→チルド保存→必要に応じて再加熱50〜95℃で一定時間加熱し、90分以内に芯温3℃以下まで急速冷却

出典:クックサーブは健政発第98号、クックチル・クックフリーズは日本医療福祉セントラルキッチン協会「医療・福祉施設を対象とするセントラルキッチンにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書」(2020年6月改訂・厚生労働省掲載)が引用する英国保健局ガイドライン、真空調理は日本食生活学会誌 第36巻第2号「真空調理法を用いただいこんならびにさといもの煮物の品質評価」。


なお、同手引書によると、日本国内にはクックチルに関する食品衛生法上の規制がないため、多くのセントラルキッチンが英国保健局のクックチル・クックフリーズガイドラインのうち、クックチルに関する温度と時間のルールを採用しています。急速冷却には、ブラストチラーなど短時間で中心温度を下げられる機器が必要です(急速冷凍機と何が違う?ブラストチラーとは)。


チルド(クックチル)が用いられる例


同時に大量の配膳が必要で、厳密な衛生管理が求められる病院や介護施設への食事提供の手法として広く用いられています。手引書でも、セントラルキッチンから提供される食品は調理1日〜4日後に消費されることになるため、当日の調理提供を前提とした温度管理では不十分だとしています。



  • メリット:衛生管理状態が良ければ数日の保存が可能/解凍する必要がない/盛り付けまでセントラルキッチンで完了できる場合もある

  • デメリット:調理、保存、配送、提供の各工程で厳密な温度・時間管理と対応設備が必要


冷蔵が用いられる例


仕込みや半調理・調理を完了させた食品を、10℃以下の温度帯で保存・配送します。厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」でも、調理後直ちに提供しない食品は10℃以下または65℃以上で管理し、配送も同じ温度で行うこととされています(厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」)。


飲食店やキッチンカーで販売する食品の仕込み品や半調理品、完成調理品に用いられることが多い手法です。消費期限が短いので、多品種の食品を製造する場合は、セントラルキッチンでの調理と配送の負担が重くなります。冷蔵の場合は、同一商品を大量に配送・販売できる場合のほうが用いやすいでしょう。



  • メリット:冷凍や解凍工程が不要/盛り付けまでセントラルキッチンで完了できる場合もある

  • デメリット:消費期限が短い/ロスが出やすい/頻繁に配送をする必要がある/消費される直前に製造シフトを組む必要があり、早朝・深夜勤務が発生しやすい


冷凍(クックフリーズ)が用いられる例


仕込みや半調理・調理を完了させた食品を急速冷凍し、-18℃以下の温度帯で保存・配送します。食品衛生法の保存基準では冷凍食品は-15℃以下ですが(大量調理施設衛生管理マニュアル 別添1)、業界団体の日本冷凍食品協会は生産から販売まで一貫して-18℃以下に保つことを冷凍食品の条件としています(日本冷凍食品協会「冷凍食品とは」)。


調理器具の発達や手法の開発によって、近年は冷凍保存を行っても冷凍前と遜色のない品質を保てることから、大手の居酒屋チェーンやファミリーレストランチェーンを中心に活用が広がっています。



  • メリット:長期保存が可能/在庫管理がしやすい/少量多品種の製造・配送を効率的にできる/セントラルキッチンの製造計画が立てやすい/セントラルキッチンが遠方でもよい/チルドより保存期間の余裕が大きく、時間管理の負担が軽い

  • デメリット:冷凍工程が増える/冷凍に不向きな食材や調理法が一部ある


※学校給食や弁当、仕出し料理など、当日の消費が前提のものは常温管理されている場合もあります。調理から提供までの日数や、提供する施設の性質、調理品を食べる対象に合わせて適切な温度帯を選択し、調理、保存、流通、提供のために適切な設備を備えるようにしましょう。


セントラルキッチンに必要な営業許可と衛生管理(HACCP)



セントラルキッチンの営業許可と衛生管理

営業許可:2021年6月に業種区分が見直されました


調理加工を専門に行うセントラルキッチンを設立するためには、製造する食品に応じて保健所から食品衛生法の営業許可を取得しなければなりません。病院給食の通知でも、病院外の調理加工施設で患者給食を調理する場合は営業許可の対象になると明記されています(健政発第98号)。


営業許可の業種は、2021年6月1日の改正食品衛生法の施行で、それまでの34業種から32業種に再編されました(厚生労働省「営業届出制度の創設と営業許可制度の見直し」)。セントラルキッチンに関係しやすい許可業種には、次のようなものがあります(厚生労働省「営業許可業種の解説」)。



  • 飲食店営業:食品を調理し、または設備を設けて客に飲食させる営業。ここでいう「調理」は、その場で飲食させるか、短期間のうちに消費されることを前提としたものです。

  • そうざい製造業:煮物・焼物・揚物・蒸し物・酢の物・あえ物などの副食物や、これらを米飯などと組み合わせた食品を製造する営業。最終的な調理が必要な「そうざい半製品」も含まれます。

  • 冷凍食品製造業:そうざい製造業に係る食品を製造し、その冷凍品を製造する営業。

  • 複合型そうざい製造業・複合型冷凍食品製造業:HACCPに基づく衛生管理を行うことを条件に、食肉処理業・菓子製造業などの許可の取得が免除される区分。


改正前の「食品の冷凍又は冷蔵業」は、冷凍食品の製造にあたる部分は業種区分が変わり(現在の冷凍食品製造業など)、食品の冷蔵・冷蔵保管にあたる部分は許可から届出の対象に移りました(同資料)。どの許可が必要になるかは、作る品目、冷凍するかどうか、誰に販売するかによって変わります。設計の前に管轄の保健所へ事前相談しておきましょう。


そうざい製造業や冷凍食品製造業など業態に応じた営業許可を取得していれば、飲食店などで料理やお弁当として提供する以外にも、製造した食品を一般流通マーケットやEC(インターネット通販)で販売するなど、販路を広げることも可能になります。


HACCPに沿った衛生管理:2021年6月から原則すべての事業者に


2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。具体的には、①衛生管理計画を作成して従業員に周知する、②必要に応じて手順書を作成する、③実施状況を記録・保存する、④計画と手順書の効果を定期的に検証し見直す、の4つを行います(厚生労働省「HACCP(ハサップ)」)。


飲食店営業やそうざい製造業など食品を調理する営業者や、食品等の取扱いに従事する者が50人未満の事業場などは「小規模な営業者等」として、業界団体が作成し厚生労働省が確認した手引書に沿って対応できます(厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律の政省令等に関する資料」)。医療・福祉施設に食事を配送するセントラルキッチン向けには、前述の日本医療福祉セントラルキッチン協会の手引書が公開されています。HACCPの基本はHACCP(ハサップ)とはをご覧ください。


大量調理施設衛生管理マニュアルの主な基準


調理する食数や提供対象によっては、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」への対応も必要です。このマニュアルは同一メニューを1回300食以上または1日750食以上提供する調理施設に適用され、中小規模の施設にも趣旨を踏まえた衛生管理が求められています。セントラルキッチンの設計に関わる主な基準は次のとおりです(厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(最終改正:平成29年6月16日))。



  • 加熱:中心部が75℃で1分間以上(二枚貝などノロウイルス汚染のおそれのある食品は85〜90℃で90秒間以上)加熱されていることを確認し、記録する

  • 冷却:30分以内に中心温度を20℃付近(または60分以内に10℃付近)まで下げる。冷却開始・終了時刻を記録する

  • 保存・配送:調理後直ちに提供しない食品は10℃以下または65℃以上で管理し、配送時刻を記録する

  • 検食:原材料と調理済み食品を50g程度ずつ、-20℃以下で2週間以上保存する


なお、共同調理施設などで調理された食品を受け入れて提供する側の施設でも、温かい状態で提供する食品以外で提供まで30分以上かかる場合は10℃以下で保存することとされています。配送先の店舗・施設も含めて温度記録の仕組みを作ることが大切です。


冷凍を使った計画生産で何が変わるか



セントラルキッチンの仕組みの図

チルドや冷蔵のセントラルキッチンは、提供日から逆算して数日以内に作る必要があります。一方、クックフリーズでは保存期間に余裕があるため、「いつ作るか」と「いつ出すか」を切り離した計画生産ができるようになります。これが冷凍を使うセントラルキッチンの一番大きな違いです。


人の配置と働き方が変わる


一般的に、飲食店や給食会社がセントラルキッチンを設立する際には、料理人や調理師、栄養士が店舗や施設厨房で行っていた調理や献立作成などの機能をセントラルキッチンに集約します。そうすれば、現場では少人数のパートやアルバイト従業員でも運営ができるようになり、店舗における人件費を削減することができます。セントラルキッチンにおいても、熟練技能者や専門職が調理を効率的に実施することで、人件費に対して多くの食品を製造することが可能になります。


また、冷凍加工と冷凍輸送を活用すれば稼働時間帯の調節が可能であるため、食事提供の現場における早朝・深夜帯の勤務を減らすこともできます。労務環境を向上させることができれば、離職を防ぎ、採用を有利に進めることができるでしょう。長期的に見れば人材育成や採用コストを抑えることにもつながります。


仕入れとロスが変わる


セントラルキッチンでまとめて食材の仕入れを行うことで、大量購入による価格の削減を行うことができます。計画生産を行うため、原料の購入から調理品の完成までの管理をより正確に行うことができ、余剰となる分量の食材を購入するリスクも低減できます。調理してから配送するため、各店舗で発生していた使い切れない食材の廃棄を減らし、企業全体として食材のロス削減を行うこともできるでしょう。


加えて、セントラルキッチンで製造するメニューを長期的に計画し、必要な原料を洗い出すことで、原価の安い時期に購入し、冷凍保存をしたうえで調理に活用するなど、購買戦略も立てやすくなります。


店舗の形と販路が変わる


セントラルキッチンの調理に切り替えると、店舗ではほぼ調理をする必要がなくなるため、広い調理スペースが不要になります。出店する場合はごく小さな厨房があるのみでよく、提供スピードも速くできるため、たとえばカフェの居抜き店舗やコーヒースタンドのような極小店舗でも本格的な料理を提供することが可能になります。人件費や不動産賃料などの固定費を軽くして新規出店できるため、駅前などの好立地やポップアップ出店、ショッピングモールへの出店も検討しやすくなります。


さらに、適切な営業許可を取得して日持ちする形に加工できれば、一般流通やECでの販売、ほかの事業者からのOEM製造の受託も視野に入ります。比較的小規模で柔軟なセントラルキッチンなら多品種・小ロットのOEMに、大規模なセントラルキッチンなら継続的に大量の生産が必要な案件に対応しやすいでしょう。急速冷凍を活用したセントラルキッチンの立ち上げについては急速冷凍を活用したセントラルキッチンの立ち上げ・運営を徹底解説!で詳しく紹介しています。


セントラルキッチン導入の進め方と注意点


セントラルキッチン導入の進め方

セントラルキッチンの導入は、おおむね次の順で検討を進めます。



  1. 目的と食数を決める:コストダウン、出店拡大、外販など何のために作るのかを決め、事業計画をもとに1日あたり・1回あたりの生産食数を試算します。食数によって、適用される衛生管理基準や必要な設備の規模が変わります。

  2. 調理方式と温度帯を選ぶ:提供までの日数、配送距離、提供先の設備をもとに、クックサーブ・クックチル・クックフリーズ・真空調理をどう組み合わせるかを決めます。

  3. 保健所に事前相談する:作る品目と販路から必要な営業許可を確認し、施設基準を設計に反映します。

  4. 設計と設備を決める:加熱機器、急速冷却・急速冷凍機、真空包装機、温度帯別の保管庫など、方式に合わせた設備と動線を設計します。

  5. 衛生管理計画と手順書を作る:加熱・冷却・保存・配送の温度と時間を記録する仕組みを、提供先の店舗・施設も含めて整えます。

  6. 試作・試験運用をして見直す:再加熱後の品質や作業時間を確かめ、メニューや工程を調整してから本稼働します。


注意点として、一般流通やECで販売する場合は、飲食店や施設への配送を前提とした製造と違い、注文のたびに出荷できる在庫が必要です。欠品しない在庫量と、適した温度帯の保管庫(常温・冷蔵・冷凍)のスペースを計画に入れておきましょう。また、セントラルキッチンは「キッチン」という名前でも一般的な厨房とは設計の考え方が異なります。衛生管理設備の初期投資が見込まれる利益に見合うかどうかは、費用対効果を考えるうえで重要なポイントです。


株式会社えだまめでは、セントラルキッチンと冷凍技術を活用した飲食店のコストダウンと売上向上施策のサポートを実施しています。方式の選定から設計、運用までのご相談は冷凍を活用したセントラルキッチン導入支援をご覧ください。


まとめ



セントラルキッチンのまとめ


  • セントラルキッチンは、複数の店舗・施設の調理を1か所に集約し、提供先では再加熱や盛り付けだけで済むようにする仕組みです。

  • 仕組みの中心は温度と時間の管理です。クックチルは90分以内に0〜3℃まで冷却して保存、クックフリーズは-18℃以下で保存するのが目安で、2021年6月からは営業許可の再編とHACCPに沿った衛生管理への対応も必要です。

  • 冷凍を組み合わせると作り置きできる期間が延び、計画生産によって人の配置、仕入れとロス、出店や販路の選択肢が変わります。


セントラルキッチンは飲食店や学校・病院・福祉施設の調理工程を効率化してコスト削減を行うだけでなく、新規出店や新たな販路開拓を通じた売上向上にも有効な仕組みです。設立を検討する場合は、これらの特性を自社の事業にどう活用していくかを検討したうえで、コストを具体的に見積もり、総合的に判断するようにしましょう。


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もっと詳しくセントラルキッチンについて知りたい方は以下の記事を御覧ください。


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執筆・監修

おいしい冷凍研究所 編集部

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