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何が違う? 急速冷凍機と瞬間冷凍機とショックフリーザー

食品を急速冷凍する方法にはさまざまな名称がつけられています。その代表的なものが「急速冷凍」「瞬間冷凍」でしょう。急速冷凍機の名称も「急速冷凍機」「瞬間冷凍機」「急速凍結機」「ショックフリーザー」と多様ですが、実は、これらはすべて同じものを指しています。 本記事では、これらの名称がもつ背景について説明するとともに、各名称の使われ方を紹介します。

急速冷凍機と瞬間冷凍機とショックフリーザーは同じ

食品を優れた方法で冷凍したいと考えて急速冷凍機を探していると、さまざまな冷凍方法を見つけることができます。
その中で代表的なものが「急速冷凍」「瞬間冷凍」「急速凍結」「ショックフリーザー」でしょう。
 
各メーカーがその機能を持つ急速冷凍機の説明を商品紹介として詳しく掲載していますが、全体を比較してみるとすべて同じ現象を指しているものです。
 
その事象とは「低温の風や液体を食品に当てることにより、食品の温度を速く下げること」。それぞれの急速冷凍機に温度設定の違いなどはありますが、要は「急速冷凍(急速凍結)」を行うだけの機能を持っていることを強調しているのです。「瞬間」「ショック」は「急速」を言い換えて用いられた名称と考えられます。

 
 

急速冷凍(急速凍結)とは?

それでは、「急速冷凍(急速凍結)」とはどのような現象を指しているのでしょうか。
 
急速冷凍は、食品を冷凍する過程で「食品の品温が30分以内に最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃)を通過すること」です。
 
食品は一般的な冷凍庫(庫内温度マイナス20℃程度)で冷凍すると、ゆっくり品温が下がって冷凍されるため、品温は30分以内に最大氷結晶生成帯を通過せず、その温度帯に長く留まってしまいます。
この温度帯は、冷凍する過程でできた氷結晶が食品の中で大きくなる温度帯であるため、一般的な冷凍庫で冷凍すると、食品の中に大きな氷結晶ができてしまうのです。
 
一方で、急速冷凍ができる機械で冷凍すると、風や液体の流れを利用して急速に品温を下げる機能が備わっているため、品温は30分以内に最大氷結晶生成帯を通過し、氷結晶を小さく抑えることができるのです。
 
この「急速冷凍」は通称で、学術用語では「急速凍結」と呼ばれています。

 
 

急速冷凍機と瞬間冷凍機とショックフリーザーに機能の違いがあるのでは?

このように、氷結晶を小さくすることができる急速冷凍機ですが、メーカーの仕様によって細かな違いもあります。
 
これらの違いは、基本的には食品の品温を下げるスピードを速くするために工夫がなされた結果です。つまりは、急速冷凍のスピードをより速くして、より氷結晶を小さくするための機能の違いといえます。
 
食品の冷凍スピードを上げるためには、以下の3つの要素からのアプローチがあります。
この条件に合致していれば、その急速冷凍機の氷結晶はより小さくなっていると考えてよいでしょう。
 
①より広い表面積から別媒体へ熱を移動させること
②熱伝達係数を上げること
③温度差を大きくすること
 

①より広い表面積から別媒体へ熱を移動させること

このポイントを実現するためには、冷凍する食品の表面積を広げることが有効です。
つまりは食品の形状による要素のため、急速冷凍機の機能とはあまり関係がありません。
 
ほかの方法としては、液体を食品の表面に密着させるなどの方法があります。「ブライン冷凍機」という機種ならば液体に漬けこんで冷凍することができるので、表面すべてに液体を密着させることで冷凍のスピードを上げることができます。
【関連記事】ブライン冷凍機
 
しかし、液体を使わない機種もさまざまな要素で冷凍効率を上げているので、液体を使うだけでは冷凍のスピードはほかの機種と大きな差は発生しません。これに②「熱伝達係数」や③「温度差」が加えられているかを確認しましょう。
 

②熱伝達係数を上げること

熱伝達係数とは、二つの物質の間での熱の伝わりやすさを示す値のことです。伝達係数が上がれば上がるほど、食品から熱が速く移動し、短時間で冷凍できます。このポイントを実現するためには、風を起こしたり、流速をつけたり、熱伝達のよい媒体を密着させることが有効です。
空気で冷却するタイプの急速冷凍機ならば、風を食品に当てることで冷凍のスピードが上がります。
液体に漬け込むタイプであれば、液体に流れを発生させて食品に当てれば、冷凍のスピードが上がります。
熱伝達のよい金属を押し当てるタイプであれば、低温に冷却した金属を食品に押し当てることで、冷却のスピードを上げています。
【関連記事】コンタクト冷凍機
 

③温度差を大きくすること

このポイントを実現するためには、温度設定の低いエアブラスト冷凍機を使うことや、超低温の液化ガス冷凍機を使った冷凍が有効です。
液化ガス冷凍機を使う場合は、液体窒素(マイナス100~マイナス196 ℃)や液化炭酸ガス(マイナス56.6~マイナス78.5℃)を使って、常温と冷凍機内の温度差を大きくします。
【関連記事】エアブラスト冷凍機
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電気や磁場は氷結晶を小さくするのか

一部の急速冷凍機には、ここまで述べた要素以外で冷凍スピードを上げる方法が提唱されているものもあります。
 
たとえば、電気エネルギーや磁場を与えることによって食品内の氷結晶を小さくするという効果が謳われたものがありますが、実現可能なのでしょうか。
 
磁場については、国内外で実験検証が行われており、同じ条件の急速冷凍機で冷凍を行った場合、磁場のあるなしで氷結晶の大きさに差異が発生しないという結論が出されています(注1。

 
 

急速冷凍機の機能は名称ではなく仕様で確認しよう

このように、メーカーの製造する急速冷凍機は細かい仕様の違いはあるものの、何か定義に沿って「急速冷凍機」「瞬間冷凍機」「ショックフリーザー」という言葉が使い分けられていないことがわかります。
 
急速冷凍機の違いを見分けるためには、食品の凍結スピードについての基礎を踏まえたうえで、各急速冷凍機の仕様を判断するプロセスが欠かせません。
名称にまどわされず、それぞれの仕様から急速冷凍機の機能を確認し、自社の生産体制や商品に適した急速凍結機を選ぶようにしましょう。

 
注1)Laura Otero et al.,(2017)Electromagnetic freezing: Effects of weak oscillating magnetic fields on crab sticks, Journal of Food Engineering, vol.2

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