介護施設で注目の「ニュークックチル」とは？導入のポイントと効果を解説

高齢化が進む現代において、介護施設では入居者に対し、高品質で安全かつ費用対効果の高い食事を提供することがますます重要になっています。

しかし、食材費や人件費の高騰、慢性的な人手不足といった課題が、多くの介護施設の運営を圧迫している現状があります。このような状況下で、調理済み食品を急速冷却し、適切な温度で保管・管理することで、提供時に再加熱する「ニュークックチル」という新しい食品提供システムが注目を集めています。

介護施設におけるニュークックチルの重要性の高まり

高齢化が進む現代において、介護施設では入居者に対し、安全で栄養バランスの取れた、そして美味しい食事を提供することが不可欠です。

利用者が入居施設を選ぶ際の判断軸としては、

・食事の美味しさや安全性
・施設内の衛生管理体制
・スタッフの対応力や介護体制
・医療機関との連携体制

などが挙げられますが、一方で人手不足や衛生管理の徹底といった課題も存在します。

特に、食事の美味しさや安全性は、入居者本人の生活の質に直結する重要な要素です。そのため、調理工程において高い安全性と品質を両立できるニュークックチルへの関心が高まっています。

ニュークックチルとは？

ニュークックチルは、セントラルキッチンなどで調理された料理を急速に冷却し、チルド状態で保管します。この状態で介護施設に配送され、提供する直前に専用の再加熱カートやリヒート機器を用いて、食器に盛り付けられた状態で再加熱されます。

従来のクックチルでは、再加熱後に盛り付けが必要でしたが、ニュークックチルではその手間が省けるため、より効率的な食事提供が可能になります。また、チルド状態で盛り付けを行うため衛生手袋を使用でき、調理員の火傷のリスクも軽減されます。

介護施設でニュークックチルを導入するメリット

まずは、介護施設におけるニュークックチル導入の主なメリットを3つご紹介します。

①運営効率改善と人件費の削減

ニュークックチルを導入することで、調理済み食材を活用するため、施設内での調理作業が大幅に削減されます。

特に、盛り付け作業がチルド状態で行えるため、作業効率が向上し、提供時の人員も削減できます。ある事例では、ニュークックチルの導入により1日あたりの労働時間が大幅に削減されたと報告されています。これにより、人手不足が深刻な介護現場において、人員配置の最適化と人件費の削減が期待できます。

なお、調理は自社のセントラルキッチンで行う場合や、外部の企業に委託をする場合があります。詳しくは以下の記事も参考にしてください。

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②食品安全と衛生基準の向上

急速冷却とチルド保存により、細菌の繁殖を抑制し、食中毒のリスクを低減できます。また、ニュークックチルでは、再加熱後に人の手が食品に触れる機会が減るため、二次汚染のリスクも低くなります。

高齢者は免疫力が低下している場合が多いため、衛生管理の徹底は非常に重要であり、ニュークックチルはそのニーズに応えることができるでしょう。

③入居者への安定した品質と味の提供

クックチルを活用することで、調理担当者のスキルに左右されることなく、常に一定の品質の食事を入居者に提供できます。

また、再加熱カートを使用することで、温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たいまま提供できるため、食事の満足度向上につながります。

介護施設でニュークックチルを導入する際の注意点

ニュークックチルは多くのメリットがある一方で、導入・運用にあたってはいくつか注意すべき点も存在します。これらを事前に把握し、適切に対応することが、スムーズな導入と成果につながります。

スペースの確保と厨房レイアウトの調整

ニュークックチルを導入するには、再加熱カートや冷却機器など専用設備の設置が必要です。既存の厨房レイアウトによっては、動線確保や機器設置のために改修工事が必要になるケースもあります。

導入前に十分なスペースを確保し、作業効率を意識した厨房レイアウトを検討することが重要です。

運用には温度管理や衛生管理が必須

調理から冷却、保管、再加熱に至る各工程では、温度管理が必要不可欠です。温度逸脱は食中毒リスクを高めるため、日々の温度チェックと記録を徹底し、異常発生時の対応策もあらかじめ明確にしておく必要があります。

また、まな板や包丁などの器具を食材ごとに使い分けるなど、細菌がほかの食品に移るのを防ぐ工夫（交差汚染の防止）も重要です。

衛生管理に関する適切な研修体制の整備

ニュークックチルを安全に運用するためには、チルド食品の取り扱いや再加熱方法、温度管理、衛生管理に関するスタッフ研修が不可欠です。

作業手順やルールを全員が正しく理解し、常に守れるようにするため、初回研修に加えて、定期的なフォローアップ研修を実施し、衛生意識を高めることが求められます。

クックサーブ、クックフリーズとの相違点

クックチル・ニュークックチルと「クックサーブ」との違い

クックサーブは、調理後すぐに提供する従来のシステムです。一方、クックチル・ニュークックチルは、事前に調理し冷却・保存、提供前に再加熱するシステムです。

クックサーブは出来立てを提供できる反面、ピーク時の負担が大きいですが、クックチル・ニュークックチルは作業の平準化と安全性向上に貢献します。

クックチル・ニュークックチルと「クックフリーズ」との違い

クックフリーズとは加熱調理した料理を急速に凍結して保管し、提供前に解凍・再加熱するものです。

一方、ニュークックチルはチルド保存が基本であり、再加熱後の品質劣化を抑えられます。

また、ニュークックチルは再加熱カートなどの専用機器を使用することで、より均一で迅速な加熱を実現し、提供までの時間を短縮できる点が魅力のシステムです。

まとめ

高齢化が進む中、介護施設では安全で美味しく、費用対効果の高い食事提供が求められています。しかし人手不足や食材費の高騰といった課題も深刻です。

こうした課題の解決策として注目されるのが「ニュークックチル」です。調理済みの料理を急速冷却・チルド保存し、再加熱して提供するこの方式は、衛生管理の向上、作業効率化、人件費削減に貢献します。

当社えだまめでは、介護・福祉の現場で働く皆さまの負担を減らし、食事提供や業務全体をより効率的に進めるためのIT活用や仕組みづくりをお手伝いしています。

ニュークックチルの導入に向けては、事前の現地調査や試験運用、スタッフ向けの研修までしっかりサポート可能です。人手不足の解消や衛生管理の改善、食事の質向上に向けた取り組みに、ぜひお気軽にご相談ください。