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家庭用冷蔵庫で急速冷凍はできる?できない?

家庭用の冷蔵庫の冷凍室を使って急速冷凍をすることはできるのでしょうか。残念ながら結論は「できない」です。本記事では、家庭用冷蔵庫ではなぜ急速冷凍が難しいのかを、急速冷凍の定義、温度、道具などの面から解説します。また、そのうえで家庭の冷凍庫をどのように活用すべきかを提案します。

家庭用冷凍庫での急速冷凍は難しい

「急速凍結」が冷凍品の品質の高さをアピールするキャッチコピーとして使われることが増えてきました。
確かに、食品を急速凍結すると、食品内にできる氷結晶を小さくすることができ、冷凍によるダメージを少なく抑えることができます。
 
この急速冷凍は一般的には専用の冷凍機(急速冷凍機・急速凍結機)を使って行われていますが、家庭用の冷凍庫でも工夫次第で再現することはできるのでしょうか。
 
残念ながら、答えは「できない」です。
 
ここからは、なぜ家庭用冷凍庫では急速冷凍が行えないのかを説明していきます。

 
 

家庭用の冷凍庫では「30分以内に品温がマイナス5℃以下」にならない

まず、急速冷凍の定義について確認しましょう。
 
急速冷凍は、食品の品温が30分以内にマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯(最大氷結晶生成帯)を通過することを指します。
 
おおまかに判断するならば、30分以内で品温がマイナス5℃以下になることを目安に急速冷凍ができたか否かを判断するとよいでしょう。家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は一般的にマイナス20℃前後に設定されていますが、この温度では食品がマイナス5℃にするために数時間かかってしまいます。
 
この数時間を30分以内に縮めるのは少しの工夫では難しいため、家庭用冷蔵庫の温度帯では急速凍結をすることはまず難しいと考えたほうがよいでしょう。

 
 

金属板を敷いたり、アルミホイルで巻いたりしても難しい

食品を急速冷凍する方法として金属板を敷いたり、アルミホイルで食品を巻いたりする方法がメディアで紹介されることがありますが、効果は薄いと考えたほうがよいでしょう。
 
金属板は確かに熱の伝達性がよく、食品と金属板が触れ合うことで食品から熱を奪いやすくなります。しかし、鉄板を敷いた場合は、食品の下部にしか金属が触れていないため、食品の全体から多くの熱を奪うことができません。加えて、金属板自体を冷やす温度も冷凍庫内のマイナス20℃前後と高い温度ですので、冷却スピードもあまり速くありません。
 
急速冷凍に特化した金属を活用した冷凍機(コンタクト冷凍機)の場合は、金属板のなかにマイナス40℃からマイナス30℃の不凍液を流し、食品を押しつぶすことで冷凍します。
【関連記事】コンタクト冷凍機

 
密着性が低い、金属板の温度が高い、金属板の冷却力が弱いという3点の理由から、冷凍室の中に金属板を敷くだけでは「急速冷凍」は難しいことがわかります。
 
アルミホイルで巻くと、食品に金属が触れやすくなりますが、金属が薄いうえ、密着性も悪く、アルミホイルを冷却する周囲の温度も高いので、金属板を敷くことと同様に「急速冷凍」をすることは難しいでしょう。

 
 

急速冷凍にはマイナス30℃以下の低温とプラスアルファが必要

食品を急速冷凍するには、マイナス30℃以下の空気や液体の中に食品を入れ、風や液体の流れ、金属板との接触などプラスアルファの要素により、食品の熱伝達を上げることが必要です。
 
家庭用冷蔵庫に上記のような機能を搭載することは、理論的には可能ですが、低温にするために電気代がかさんだり、風や液体、金属板などの機能を加えることでスペースが制限されたり使いにくくなってしまったりと、現実的ではありません。
 
家庭用冷蔵庫はあくまで冷凍された食品の保存用だと考えるのが適当でしょう。
また、ホームフリージングを行う場合は、急速冷凍ができないことを前提として、ゆっくり凍らせる「緩慢冷凍」でも問題のない素材や冷凍方法を使って上手に冷凍を活用できるようにしましょう。

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