設備投資費や試作開発の費用の2分の1から3分の2、最大で1,000万円の補助が受けられるものづくり補助金。この補助の応募には、企業規模や業種、事業の内容などさまざまな要件があり、応募年度によっては要件が変わることもあります。本記事では、この要件について概要を示すとともに、自社の応募可能性についての考え方を説明します。
ものづくり補助金への応募を検討するうえでは、さまざまな要件について考慮する必要があります。応募を検討する際にはチェックをして自社の採択可能性について確認しておきましょう。
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要件1:応募者の企業規模
要件2:申請する企業の業種
要件3:申請できる事業内容
ものづくり補助金応募検討段階で注意すべき要件は?
審査項目の要件である「革新性」はどう判断する?
併せて押さえておきたい「加点項目」もある
ものづくり補助金の要件はどう考えればよい?
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要件1:応募者の企業規模

ものづくり補助金の事業目的は公募要領(令和元年度補8次公募)によると、以下のとおりです。
この内容のとおり、ものづくり補助金に応募できるのは中小企業です。基準は中小企業庁の定める「中小企業・小規模企業者の定義」に即していますが、条件によっては組合関連や特定非営利活動法人での応募も可能なため、詳しくは最新の公募要領を参照してください。
また、「みなし大企業」に該当する場合は、補助対象にはなりませんので、大企業と出資関係にある企業などはご注意ください。
確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者、小規模事業者も「過少資本企業」として補助対象にはなりません。
加えて、既に同様の内容でほかの国の補助金や委託費を受けている事業や、課題の解決を他社に外注・委託する事業、試作品の製造・開発などを他社に委託し企画だけを行う事業、公序良俗に反する事業などは、補助対象外となります。この点は、公募要領に「補助対象外となる申請及び事業計画」として記載されていますので、念のため確認しておきましょう。
要件2:申請する企業の業種

ものづくり補助金は、上記の「中小企業」に当てはまれば、基本的にどんな業種の企業でも応募することができます。個人事業主でも問題ありません。
ただし、応募の条件として設備投資を行ったうえで「革新的なサービス開発・生産プロセスの改善」を行う必要がありますので、なんらかの開発や製造を行うことが要件となります。
近年は歯科医院が申請し採用される事例が多くなっていますが、このように製造業以外の業種でも革新的なサービスを実施したり設備投資による生産プロセスの改善を行う場合は補助の対象となります。
要件3:申請できる事業内容

ものづくり補助金は事業の単位で応募します。企業は、生産性向上に寄与する「革新的サービス開発」や「生産プロセスの改善」についての事業計画を作成し、ものづくり補助金事務局の審査を受けます。
革新的サービスであれば、事業計画は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に示された方法で実施される必要があり、3~5年で付加価値額が年率3%を達成するものでなければなりません。
ものづくり技術で応募するのであれば、事業計画は「中小ものづくり高度化法」にもとづく特定ものづくり基盤技術を活用し、3~5か年計画で加価値額が年率3%を達成するものである必要があります。
要件4:従業員の賃金上昇など

2020年のものづくり補助金のから、新たに従業員の賃上げについての要件が新設されました。
給与支給総額年1.5%以上増加の要件、事業場内の最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上高いことの2点を達成する必要があります。
これらを満たさない場合は応募要件に達していないと見なされるうえ、採択後5年間の報告の際に不達成であれば、補助金を返還する義務があるとされています。
ものづくり補助金応募検討段階で注意すべき要件は?

これらのことから、ものづくり補助金への応募を検討している段階で、注意すべきは機械的に判断できる企業規模や業種というよりも、企業が準備している事業計画の内容だということがわかります。
機械的に応募することはできても、採択が得られなければ意味はありません。
ものづくり補助金においては、以下の点が審査項目・加点項目として挙げられているので、自社の計画は採択の要件を満たしているかについても応募前に確認する必要があるでしょう。
・交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月後の日まで)に発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了する事業であるか
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画であり、この内容を従業員に表明しているか
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする事業計画であり、この内容を従業員に表明しているか
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加する事業計画であり、この内容を従業員に表明しているか
・応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有しているか
技術面
・製品や技術、サービスは革新的な開発であるか
・既存技術の転用や隠れた価値の発掘の革新的な開発となっているか
・中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか
・開発における課題が明確で、達成度の考え方を明確に設定できるものか
・課題の解決方法が明確かつ妥当で、優位性が見込まれるか
・体制および技術的能力はあるか
事業化面
・事業を遂行する体制があり、財務状況に問題ないか。金融機関から資金調達はできるか
・市場ニーズがある計画か
・価格・性能が優位性・収益性があるもので、遂行方法や実施スケジュールは妥当か
・事業の費用対効果は高いか
政策面
・地域経済と雇用の支援につながることが期待できるか
・ニッチ分野において差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか
・バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発など、環境に配慮した持続可能性のある事業計画か
事業化面で挙げられた財務状況については、2期連続赤字の企業や債務超過の企業については、採択されるのが難しいと言われています。
このように、審査項目と照らし合わせるとものづくり補助金の応募に適していない場合もあります。
審査項目の要件である「革新性」はどう判断する?

前の項目で紹介したものづくり補助金の審査項目にある「製品や技術、サービスは革新的な開発」については、多くの応募企業が頭を悩ませるポイントです。
これは、応募にあたっての重要な要件の一つといえるでしょう。
ただ、この革新性については、これまで誰もやってこなかったようなすごいことを成し遂げる必要はありません。
中小企業庁の担当者インタビューによると、革新性は他社や業界との相対的な視点から示されるべきとされています。そのうえで、当社比での革新では、革新性があるとは認められませんが地域の先進事例や業種内の先進事例にあたれば問題ない旨が説明されています。
つまり、他地域や他業種で既に取り入れられている取り組みであっても、地域や業種内に導入されていない場合であれば、革新性と認められるということです。
自社の計画に「革新性」があるか否かについては、この観点から確認をしてみましょう。
併せて押さえておきたい「加点項目」もある

ここまでは自社の採択可能性があるか否かを判断するための要件として、公募要領の応募資格や審査項目の内容を説明してきました。
ものづくり補助金には審査項目に加えて「加点項目」があり、この要件を満たしていればさらに採択の可能性はあがります。
弊社がサポートさせていただくことが多い食品製造業は、商品単価が低いうえ、BtoC向けの計画となるとニーズの立証が難しいため、投資効率の面や収益性の面で採択されるか否かのボーダーライン上での戦いになりそうだと感じることも少なくありません。
そうした場合は、以下の要件を満たし、加点をできると採択のボーダーラインの争いから頭一つ出ることができるので採択に向けての大きな安心材料になります。
以下の点については、自社で実施ができないかを一度は検討してみるべきでしょう。
・事業継続力強化計画の認定を受けていること(申請中も可)
・創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)であること
・「総賃金年率2%賃上げ+事業場内最低賃金+60円の水準に達する計画を有し、従業員に表明」または「総賃金年率3%賃上げ+事業場内最低賃金+90円の水準に達する計画を有し、従業員に表明」していること
・被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合
ものづくり補助金の要件はどう考えればよい?

ここまで述べてきたことから、ものづくり補助金への公募を検討する際に確認すべき要件は非常に多岐にわたることが分かります。
採択率が50%を超えることもあり、幅広い業種の企業が応募できることから、人気の補助金ではありますが、要件を満たせば支給されるわけではありません。準備にもそれなりの労力を要することから、応募するか否かの判断は慎重に行うべきでしょう。
自社は応募すれば採択される可能性はあるか否かについては、よく事前に要件を理解したうえで整理し、そのうえでものづくり補助金に挑むべきでしょう。
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