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【ものづくり補助金】採択事例の入手方法・採択可能性の考え方

ものづくり補助金のご相談をうけていると「参考にしたいので、他社事例がほしい」という声をよく伺います。採択事例については、毎回、各都道府県の中小企業団体中央会が全国の採択結果をPDFで発表しています。本記事ではそのPDFはどうすれば手に入るのか、その結果をどう参考にするか、もっと詳細な情報が欲しい場合にはどうするべきかなど、採択事例に関するさまざまなトピックをご紹介していきます。

ものづくり補助金の採択事例は、さまざまな形態のものを入手することができます。
自身が参考としたい情報に合わせて、参照してみましょう。



1.網羅性が高い「採択案件一覧」


一番網羅性が高いものは、中小企業庁が発表する採択一覧でしょう。毎回、採択決定の際に公開され、多くの企業は事務局からの採択通知の連絡が来る前にこの一覧から自社の採択の可否を確認します。



リンク:平成30年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」採択案件一覧 (PDF形式)



PDFに全採択案件の内容がまとめられていますので、自身の申請に近い内容が採択されていないか見てみましょう。

まったく同じような案件が既に採択されていたとしても問題ありません。
ものづくり補助金で求められる革新性とは、地域や商圏の中で先進的な取り組みで、競合他社と差別化できる程度のものです。

たとえば、東京で既に普及している技術やサービスでも、事業を展開している地域に普及していないものであれば「革新的」だと判断されることもあります。



一方、この一覧のデメリットは申請者が書いた100字程度の事業の概要しか読めないところです。



概要からは、どのポイントが審査員に評価されているかを推し計ることはできません。そのため、この一覧に掲載されているテーマがそのまま「採択されやすい案件だ」と判断することは危険だといえます。



2.写真や詳しい内容を参照できる「もの補助成果事例検索」


ものづくり補助金の事務局を担う全国中小企業団体中央会は、都道府県地域事務局が収集した成果調査事例集を刊行しています。その過去データを検索できるのが「もの補助成果事例集」です。



リンク: 全国中小企業団体中央会「もの補助成果事例検索」



事例集では製造現場の写真や、詳しい背景や目的の文章、実施内容や成果、今後の展望について確認することができます。
採択案件一覧に比べテキスト量や写真があるので、採択される企業のイメージはつきやすいのが特徴です。



しかし、ものづくり補助金のポイントとなる「革新性」はどこか、どこが評価されたポイントなのかについての明示はありません。
こちらもあくまで、大まかな参考程度にすべきでしょう。



3. 役立つのは口頭で伝えられる事例


ここまで、公募事務局が発表している事例について紹介しましたが、これらの事例は公募するか否かの判断をしたり、自社の事業計画書や申請書の記入内容の参考にしたりするには情報が足りません。
※詳しい事業計画書の書き方については過去記事「【ものづくり補助金】事業計画書 書き方のポイント解説」をご覧ください



どうすれば有用な情報が手に入るのでしょうか。



詳しい他社事例については、守秘義務があるため情報を開示してもらえることは稀です。
そのため、有用な情報は、ものづくり補助金の公募説明会での質問時間や、商工会議所の相談窓口、認定支援機関や外部コンサルタントと相談しながら得ていくしかありません。



相談を受ける担当者は他社事例をよく知っていますので、自社の計画が採択される見込みがあるか、どういった記入内容が適切かを他社事例と比較したうえでアドバイスしてくれるでしょう。口頭でなら、他社がどんな状況だったかを伏せるべきところは避けて伝えてくれるかもしれません。



他社事例が欲しいと思った場合は、まとまった書類などを探すのではなく、できる限りさまざまな人に相談してみるほうがよいでしょう。



4.採択事業のうち急速冷凍機を導入した企業の事例はどれくらいある?


平成30年補正の一次公募結果から推測すると、採択事業7,468者のうち、44者がなんらかの冷凍機を購入したとみられる企業でした。



冷凍機を導入したとみられる案件

3D急速冷却冷凍装置導入による計画生産の実現と人員不足の解消
居酒屋メニューを「手軽・安全・美味しく」提供するための冷凍食品開発
安全安心とおいしさを、手から手へ伝える冷凍おむすびの開発
急速凍結システムを導入した解凍生シラウオ・ワカサギの通年販売
冷凍うどんの内製化で実現する生産性向上と深谷うどんブランド
急速冷凍・真空包装技術による冷凍ケーキの品質の維持向上と新商品分野への参入
急速冷凍技術の活用でサクサク天ぷら&新鮮マグロ寿司の会席料理を量産
魚の美味しさそのまま!常識を覆すドリップの出ない「冷凍刺身製品」開発
“ホワイトデーの主役”マカロンの欠品を打開!新設備導入による冷凍できるマカロンの高品質量産
高品質寿司提供に向けた仕込み時間削減を叶える急速凍結機の導入
脱塩機と急速冷凍技術を活用した高品質でヘルシーな和食料理の開発
急速冷凍技術を活用した冷凍パン提供による成長性・生産性向上策
魚の旨味・見た目を最大限に高める冷凍保存の安定提供体制の確立
急速冷凍機器導入による品質の向上および顧客ニーズ対応に向けた販路拡大計画
シフォンケーキにおける急速冷凍技術の確立による大量生産体制の構築
鱒と酢飯の絶妙な食味食感を実現した冷凍鱒ずしの商品化による新たな販路開拓
最新冷凍技術と独自解凍技術を活用した昔ながらのこだわりの棒鮨の製造
冷凍パンの製造における商品高付加価値化と生産性向上化事業
急速冷凍技術と能登の食材を用いたスイーツアイスパンの開発
連続焼成機及び瞬間冷凍機の導入によるHACCP対応の「元祖焼き鯖寿司」専用ラインの構築
急速冷凍を用いた安全な食材の生産体制を構築し、顧客満足度を高める
次世代急速凍結機と多品種小ロット製品包装機導入による経営力向上計画
急速冷凍による、のどぐろ等の地魚の高付加価値の製品開発と大都市への販売促進
急速冷凍技術を活かした高付加価値製品の製造
急速冷凍機導入によるナチュラルチーズの生産性向上
規格外のあなごを有効活用するための急速冷凍設備の導入
急速冷凍技術と唐戸仲卸の強みを活かした冷凍持ち帰り寿司の開発、販売
氷結晶を小さく抑えることによる冷凍食品の品質向上と生産性向上を目的とした冷凍能力の高い凍結設備の開発
食品の内部まで均一に0℃に維持する予備冷却技術を活用した、生食用冷凍魚介品の事業化
寒メジカを原料とした高品質「宗田節」の安定供給を目的とした冷凍設備導入
高級冷凍食品における冷凍工程の改善で生産効率アップへの体制構築
急速冷凍技術活用で、骨抜き加工後の魚の再凍結による品質劣化を防止
最新冷凍技術の導入による市場ニーズへの対応力強化と生産性向上
最新設備の機械化による冷凍惣菜製品を高品質化、生産能力向上の実現
冷凍いちごや加工品の新商品化による売上拡大
超低温凍結庫導入による平戸産魚の販路拡大
冷凍野菜の「カット~個包装」迄、一貫機械化を行ない収益拡大を図る
業務用冷蔵、冷凍設備を導入し廃鶏肉の加工及び販売の拡大と収益性の向上
高性能電気オーブン、急速凍結庫導入による健康志向の冷凍パンの技術確立と拡販
大分ブランドの椎茸のうまみをぎゅっと閉じ込めた利便性の高い冷凍椎茸の販売計画
セントラルキッチンの新凍結技術導入による品質向上プロジェクト
新設冷凍設備建設による物流の効率化
新機械導入による急速冷凍じゅーしぃおにぎりの増産体制構築
リキッド凍結技術の導入による食材・加工食品の海外・県外展開

「平成30年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 1次公募 採択案件一覧(7,468者)」より作成



食品の冷凍は、原材料や完成品の長期保管を可能にし、作業時間の調整に使えるため、業務の改善にアピールしやすい要素です。
上記事例にも「計画生産の実現と人員不足の解消」「仕込み時間削減」「成長性・生産性向上」などの記載が盛り込まれているものが多くあります。



自身の商圏となる地域や業界で、一般的ではない手法、つまり「革新的な方法」を考え、その達成のために急速冷凍機を活用できるのであれば、採択される可能性は高くなるでしょう。



5.既に似た事例がある場合は「革新性」が認められない?


自分が実行しようとしていた計画が、既に採択事例があった場合はどうでしょうか。他社の類似案件なので「革新性」がないと判断されてしまうのでしょうか。



上で述べたように、ものづくり補助金の「革新性」は自身の商圏となる地域や業界で一般的ではない手法を導入する場合でも認められます。これは、公募要領には書かれていませんが、中小企業庁の担当者インタビュー記事に記載されていた内容ですので、判断基準にしてよいと考えられます(参照:ミラサポ「注目 補助金申請のポイント!」)。



同様の取り組みが他県で実施されていたとしても、自身の競合他社で一般的でなく、その取り組みを取り入れることで競争力が上がるのであれば十分に革新的だと見なされる可能性があります。



その場合は、競合他社はどのような状況で、なぜその取り組みが一般的でないかを事業計画書で論理的に説明しましょう。機材を購入するだけで他社が差別化を解消できるような場合は革新性が不十分だとみなされる場合もありますので、他社が容易に模倣できないような技術や仕組みを合わせた計画とすればよりよいでしょう。



6.採択事例と同様の取り組みならば、ほぼ採択されるのか?


「採択された事例と同様の取り組みであれば自社も採択されるのか」とご質問をいただくこともありますが、一概にそうではありません。



ものづくり補助金の採択は、予算額がまずあり、そこから補助金審査や交付などのための経費が引かれ、そこから給付金額が定まり、その額に応じて採択件数が決まります。



そのため、予算の大小や応募総数によって採択の難易度が毎年・毎回変わります。



ここからは推測の域を出ませんが、審査が行われる地域によって採択される難易度に差があるという説もあります。一般的に考えても、都市部においては競合となる企業が多くありますので、革新性を証明することが難しいことは容易に想像がつきます。もし、自社の立地が都市部である場合は、それなり練った計画でないと採択が難しくなると考えるべきでしょう。



似た事例があるからといって、安易に採択されると考えるのは避け、審査員によりアピールできるような計画を立てていく必要があるのです。



7.まとめ:上手なものづくり補助金採択事例の使い方は?


ものづくり補助金の採択事例において、手に入る情報はさほど多くありません。多くの方が求める詳細な書き方や「革新性」のある取り組みの詳細については、公式の手段で手に入れることは難しいでしょう。

その代わり、情報が少ない採択事例から計画のレベル感や温度感をなんとなく推測することならできます。採択一覧を眺めて「自社でも応募できそうだな」と考えたならば、付き合いのある金融機関や商工会議所や会計事務所などにまず相談してみましょう。うまくいけば、担当者の知っている他社事例について、口頭で話が聞けるかもしれません。

詳しい事業計画書の書き方が知りたい場合は、有料で支援を行うコンサルタントがセミナーを行っていたり、都道府県によっては記入例を配布していたりすることもあります。このような情報を集めて、自分なりの答えを見つけてみましょう。



8.株式会社えだまめの申請書作成支援・セミナーのご案内

株式会社えだまめでは、食品関連企業の皆様の冷凍分野へのチャレンジを応援するために、ものづくり補助金申請書の作成支援を行っています。

冷凍技術に関する幅広い知識に基づいたビジネスコンサルティングの知見により、冷凍関連機材導入による生産性向上を実現するとともに、弊社自身がものづくり補助金に申請した際の採択事例や他社への支援実績にもとづいた具体的なアドバイスを実施いたします。

2020年2月に見込まれる1次公募に向け、個別相談・勉強会・セミナーを予定していますので、ご興味のある方はぜひお問合せください。

【無料個別相談をご希望の方はこちら】

株式会社えだまめのものづくり補助金サポートの詳細はこちら
記事リンク:生産者・食品事業者のための「ものづくり補助金」サポート2020

セミナーのご案内

2020年1月 無料セミナー開催!

<日程>
2020年1月8日(水) 13:00~15:00
2020年1月27日(月) 13:00~15:00

<会場>
株式会社えだまめ おいしい冷凍研究所
東京都目黒区原町1-3-23 メゾンフィールドU101
(東急目黒線 西小山駅から徒歩4分)

<料金>
無料

<セミナー概要(予定)>
・ものづくり補助金の概要
・申請のポイント
・急速冷凍の基礎
・急速冷凍実験(希望者)
・質疑応答

<講師>

中小企業診断士
白川淳一

合同会社はじまりビジネスパートナーズ共同代表。食品メーカー、広告代理店を経て現職。食品企業に対する営業・開発・製造コンサルティング、HACCPなどの生産管理に関する支援、マーケティングリサーチなどに効果的なデータ分析などを得意とする。


冷凍専門家
西川剛史

株式会社えだまめ執行役員。大手冷凍食品メーカーにて現場管理業務(工場)や生産管理業務(本社)を経て、冷凍食品宅配事業に転職。冷凍食品の商品開発に携わる。現職では冷凍技術コンサルティングを行っている。

弊社が申請した際の採択事例の詳細が知りたい、申請書類を見てみたい!という方は、ぜひ会場でお声がけください。


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当ページの見解は、あくまで当社の経験に基づいたもので審査等への影響を確約するものではありません。必ず公募要領など正式な情報をご参照ください。この情報に基づいて不利益を被った場合も、当社は責任を負いかねます。

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