おいしさは測定できる! 「官能評価」とは何か?
この記事のポイント
食品の品質はどのように測定すればよいでしょうか。
物理化学的調査を行うと、食品の栄養成分や衛生性、食品の変化の度合いを調べることができ、その食品の栄養価の表示や賞味期限を決める指標となります。
しかし、これらの物理化学的調査では、人間が食品を食べて「どう感じたか」、「好きか嫌いか」など、評価判断を含んだ指標は調査することができません。
人は、どういった場合に食品に対して「おいしい」「おいしくない」と感じるのでしょう。官能評価は、この、「おいしい」「おいしくない」や「好き」「嫌い」など、評価の要素を分解し、人が味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚の五感を使ってそれぞれの要素をどう評価しているかを調査し、結果を分析する手法です。
日本では、官能評価の用語は日本規格協会「JIS Z 8144:2004 官能評価分析-用語」、試験方法は日本規格協会「JIS Z 9080:2004 官能評価分析-方法」で規格化されています。JIS Z 8144は国際規格ISO 5492:1992を基礎に2004年に改正され、どちらも2024年6月20日に確認された有効な規格です。代表的な試験方法は食品の官能評価の種類で紹介しています。
一方で、官能評価は測定機器を利用した試験と比べ、誤差が生じる可能性が高い点にも注意が必要です。結果の再現性は、検査を行う人間の体調や検査を行う時間帯など、さまざまな要因によって影響を受けて変動しがちです。
このため、試験の実施に際しては、検査条件をコントロールし、適切な方法で実施し、統計学的手法を使った解析によって結果を導くことが求められます。消費者庁のガイドラインも、官能検査は「測定機器を利用した試験・検査と比べて、誤差が生じる可能性が高く」、再現性も「検査担当者の体調、検体の温度、検査の時間帯等」の影響を受ける一方、「測定機器よりも人間の方が感度が高い場合等に、有効利用され得る」としています(消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月))。
この官能評価は、冷凍食品を製造・販売するなかでどのように使われているのでしょうか。
官能評価が行われる目的はさまざまですが、その中でも多く実施されているのが、商品の開発や販売のための品質評価や消費者調査、賞味期限を設定するための調査でしょう。
また、一般社団法人日本冷凍食品協会では、冷凍食品の賞味期限を設定するために、衛生試験だけでなく官能試験を行う必要があることを、会員企業向けのガイドラインの中で示しています。協会が公開している「冷凍食品の期限表示の実施要領」では、−18℃や−23℃などで保存試験を行い、冷凍食品の基礎知識をもち訓練された試験員3名が色沢・香味・食感を5点で採点します。1点の項目がある、または平均点が3.0に達しない場合を不適格とし、3名中2名以上が不適格と判定した時点で品質の限界とみなします(日本冷凍食品協会「冷凍食品の期限表示の実施要領」)。
国のルールでも、賞味期限の設定に使う客観的な指標は「理化学試験、微生物試験、官能検査等において数値化することが可能な項目」とされ、官能検査であっても「適切にコントロールされた条件下で、適切な被験者により的確な手法によって評価された場合は、客観的な項目(指標)とすることが可能」と明記されています(前掲 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」)。冷凍食品の期限設定の考え方は冷凍食品の保存中の劣化と賞味期限の設定で解説しています。
官能評価はあくまで人の感覚を使った調査ですが、適切な調査と分析を行うことで、それまであいまいだった食品への評価に裏付けを与えることができます。
専門家や目利きの評価など、定性的で抽象的な意見が食品へ強い影響を及ぼす場合、これまでの言説に対し意見を出したいとき、一般消費者の嗜好を反映したい場合に客観的な根拠として使うこともできます。
この評価方法を適切に運用すれば、仮定の実証やプロジェクトの根拠づけにもなり、実験や企画推進の大きな原動力にもなるでしょう。冷凍食品の商品開発で官能評価を設計したい場合は、冷凍新規事業コンサルティングでご相談いただけます。
【参照】『新版 官能検査ハンドブック』日科技連官能検査委員会編(日科技連出版社、1973)
- 官能評価とは、人の五感を使って食品の「おいしい/おいしくない」「好き/嫌い」を要素に分けて評価し、統計的に分析する手法です。用語と方法はJIS Z 8144・JIS Z 9080で規格化されています。
- 冷凍食品業界では、商品開発・品質評価・消費者調査と、賞味期限の設定に使われます。
- 主観的な評価でも、条件をコントロールし適切な人と手法で行えば、期限設定の「客観的な指標」として扱えると消費者庁のガイドラインは示しています。
「官能評価」は人の感覚を使って対象を評価するもの
食品の品質はどのように測定すればよいでしょうか。
物理化学的調査を行うと、食品の栄養成分や衛生性、食品の変化の度合いを調べることができ、その食品の栄養価の表示や賞味期限を決める指標となります。
しかし、これらの物理化学的調査では、人間が食品を食べて「どう感じたか」、「好きか嫌いか」など、評価判断を含んだ指標は調査することができません。
人は、どういった場合に食品に対して「おいしい」「おいしくない」と感じるのでしょう。官能評価は、この、「おいしい」「おいしくない」や「好き」「嫌い」など、評価の要素を分解し、人が味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚の五感を使ってそれぞれの要素をどう評価しているかを調査し、結果を分析する手法です。
日本では、官能評価の用語は日本規格協会「JIS Z 8144:2004 官能評価分析-用語」、試験方法は日本規格協会「JIS Z 9080:2004 官能評価分析-方法」で規格化されています。JIS Z 8144は国際規格ISO 5492:1992を基礎に2004年に改正され、どちらも2024年6月20日に確認された有効な規格です。代表的な試験方法は食品の官能評価の種類で紹介しています。
一方で、官能評価は測定機器を利用した試験と比べ、誤差が生じる可能性が高い点にも注意が必要です。結果の再現性は、検査を行う人間の体調や検査を行う時間帯など、さまざまな要因によって影響を受けて変動しがちです。
このため、試験の実施に際しては、検査条件をコントロールし、適切な方法で実施し、統計学的手法を使った解析によって結果を導くことが求められます。消費者庁のガイドラインも、官能検査は「測定機器を利用した試験・検査と比べて、誤差が生じる可能性が高く」、再現性も「検査担当者の体調、検体の温度、検査の時間帯等」の影響を受ける一方、「測定機器よりも人間の方が感度が高い場合等に、有効利用され得る」としています(消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月))。
冷凍食品業界での官能評価の使われ方
この官能評価は、冷凍食品を製造・販売するなかでどのように使われているのでしょうか。
官能評価が行われる目的はさまざまですが、その中でも多く実施されているのが、商品の開発や販売のための品質評価や消費者調査、賞味期限を設定するための調査でしょう。
また、一般社団法人日本冷凍食品協会では、冷凍食品の賞味期限を設定するために、衛生試験だけでなく官能試験を行う必要があることを、会員企業向けのガイドラインの中で示しています。協会が公開している「冷凍食品の期限表示の実施要領」では、−18℃や−23℃などで保存試験を行い、冷凍食品の基礎知識をもち訓練された試験員3名が色沢・香味・食感を5点で採点します。1点の項目がある、または平均点が3.0に達しない場合を不適格とし、3名中2名以上が不適格と判定した時点で品質の限界とみなします(日本冷凍食品協会「冷凍食品の期限表示の実施要領」)。
国のルールでも、賞味期限の設定に使う客観的な指標は「理化学試験、微生物試験、官能検査等において数値化することが可能な項目」とされ、官能検査であっても「適切にコントロールされた条件下で、適切な被験者により的確な手法によって評価された場合は、客観的な項目(指標)とすることが可能」と明記されています(前掲 消費者庁「食品期限表示の設定のためのガイドライン」)。冷凍食品の期限設定の考え方は冷凍食品の保存中の劣化と賞味期限の設定で解説しています。
官能評価は食品への評価に裏付けを与えるもの
官能評価はあくまで人の感覚を使った調査ですが、適切な調査と分析を行うことで、それまであいまいだった食品への評価に裏付けを与えることができます。
専門家や目利きの評価など、定性的で抽象的な意見が食品へ強い影響を及ぼす場合、これまでの言説に対し意見を出したいとき、一般消費者の嗜好を反映したい場合に客観的な根拠として使うこともできます。
この評価方法を適切に運用すれば、仮定の実証やプロジェクトの根拠づけにもなり、実験や企画推進の大きな原動力にもなるでしょう。冷凍食品の商品開発で官能評価を設計したい場合は、冷凍新規事業コンサルティングでご相談いただけます。
まとめ
- 官能評価は、人の五感で食品の評価要素を分解して測り、統計的に分析する手法で、JIS Z 8144・JIS Z 9080で規格化されています。
- 機器分析より誤差が出やすいため、条件のコントロール・適切なパネル・統計解析が欠かせません。
- 条件を整えた官能検査は、賞味期限設定の客観的な指標としても使えます。
【参照】『新版 官能検査ハンドブック』日科技連官能検査委員会編(日科技連出版社、1973)