冷凍に最適|煮物・揚げ物・焼き魚の冷凍・解凍・保存方法
調理済みの惣菜は冷凍と相性が抜群
業務用や消費者への販売用に調理済の総菜を冷凍することは、比較的簡単です。
調理が全て終わっている惣菜は、食品の中の酵素反応が止まった状態になっているため、冷凍に適しています。
冷凍工程と解凍・調理工程で惣菜本来の特性が失われないよう、適切な方法で商品化しましょう。
揚げ物は揚げる前の冷凍が便利
えびフライ、から揚げ、天ぷら、とんかつなど、サクサクした食感が特徴の揚げ物は、解凍時にどこまで食感を再現できるかが重要です。
多くの業務用の冷凍食品では、パン粉や天ぷら粉を付けた、揚げる直前の状態で、冷凍を行っています。エアブラスト冷凍機で衣ごと冷凍し、包装により乾燥を防ぐことが一般的な冷凍方法です。揚げた後に冷凍することも可能ですが、揚げる前に冷凍したほうが揚げたての食感を楽しめるでしょう。揚げてから冷凍すると、衣が油を吸って柔らかくなってしまいがちです。
どちらも冷凍のまま油で揚げることで、食感を再現することができます。
厚みがあるものは、電子レンジ等で温めて中まで一度熱を通してから、オーブンで焼く、再度揚げるなどすれば、サクサクした食感が再現できます。
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オーブン・グリルものは焦げに注意
焼き魚は、レンジ加熱やパウチの湯せんだけでは元の美味しさを再現できません。
焼き魚のおいしさの一つは、外がパリパリ、中がジューシーな食感です。これらは調理時の外と内の水分量の違いにより発生するものです。
しかし、冷凍前に冷めてしまったり、解凍時に徐々に熱が加わったりすると、外と中の水分量が均一になりパリパリとした食感が失われてしまいます。食感を再現するには、火加減に注意しながら、冷凍状態のものをそのまま焼くことが求められます。
また、グラタンのように、焦げ目が美味しさの一要素である食品については、焦げやすい特殊調味料等で表面を覆うことでレンジ調理でも焦げ目を付ける工夫がされています。
このように、冷凍・解凍により品質の大幅な劣化がない惣菜でも、できたての食感を再現するには、目指す品質に向けて商品設計を工夫する必要があります。
煮物は水分の吸いすぎに注意
少量の汁気を含む煮物は、容器に載せてエアブラスト冷凍機で冷凍するか、平たいパウチに入れてブライン冷凍機で冷凍します。汁気が保護膜の役割を果たすため、レンジや湯せんでの加熱により、できたてを再現しすい惣菜です。
ただし、汁気が多い場合は、解凍の過程で中の食品が水分を吸いすぎてしまう場合があるので、注意が必要です。
執筆・監修
鈴木徹
冷凍科学技術
冷凍の研究者として圧倒的な実績と知見を持つ研究者。研究だけにとどまらず、企業向けのコンサルテイングや行政に対するアドバイザリーなど実績多数。