「おいしい冷凍研究所」は冷凍食品ビジネスに特化した
株式会社えだまめが運営するサービスサイトです

ブライン凍結とは?液体に漬けると急速冷凍できる仕組み

ブライン凍結とは?液体に漬けると急速冷凍できる仕組み

この記事のポイント

  • ブライン凍結は、低温の液体(ブライン)に食品を漬けて凍らせる方法です。液体が食品の表面全体に密着し、流れによって熱を奪う効率が上がるため急速冷凍ができます。

  • 使える温度は液体で決まり、食塩水は共晶点の約−21℃が下限、塩化カルシウム水溶液は濃度を最適にしたときの下限が約−51℃(共晶点)です。

  • 冷凍が遅いときは、食品の厚み・入れすぎ・重なりでブラインの流れが滞っていないかを確認します。


液体の密着性と熱伝達の良さを活かして急速冷凍


ブライン冷凍機が急速冷凍を行える理由は、液体ならではの特徴を活かして食品の熱を奪うことができるからです。

ここでいう「ブライン」とは、冷やしても凍りにくいように塩類やアルコールなどを溶かした液体(不凍液)のことです。急速冷凍の目安は、食品が凍り始める約−1℃からほぼ凍結する約−5℃までの温度帯を「ほぼ30分以内」に通過させることとされています(農林水産省 aff 2021年7月号「おいしさの秘密を探る!冷凍食品豆知識と製造工場レポート」)。

食品は、品温が下がる際にその表面から熱を放出します。そのため、広い表面積から熱を放出できたほうがより速く品温を下げることができます。液体に漬け込む場合は、食品の表面にまんべんなく熱伝達のよい液体が密着しているため、すべての表面から効率よく熱を奪うことができ、急速に冷凍を行うことができるのです。

また、多くのブライン冷凍機には液体を循環させる機能がついています。この機能で液体に流れを発生することができれば、より速く食品を冷凍させることができます。食品の表面から熱を奪う効率を上げるためには、熱伝達係数(熱の伝わりやすさ)を上げる必要があります。このために、空気を使う場合は風を起こしますが、液体の場合は流れを発生させることで熱伝達係数を上げます。

このように、ブライン冷凍機は液体の特性である密着性、液体自体の熱伝導のよさ、流れによる熱伝達係数の上昇という3つの特性を活用して急速冷凍を行っているのです。空気で冷やすエアブラスト方式との使い分けはエアブラストとブラインの違いで比較しています。

ブライン冷凍機に入れる液体の違いで何が変わる?


ブライン冷凍機には、冷凍する食品に合わせてさまざまなブライン溶液が使われています。その種類は塩水、アルコール、エチレングリコール、塩化カルシウムなどさまざまですが、使う液体によって大きく変わる点は、ブラインの温度です。

塩水は通常マイナス18℃くらいの温度設定になっています。塩水はマイナス21℃が共晶点であり、その温度に到達すると塩が液体中で固まってしまうため、マイナス20℃までしか温度を下げることができません。

国土交通省国土技術政策総合研究所の資料でも、塩化ナトリウム(食塩)水溶液の共融点(共晶点)は約−21℃(−21.1℃)、塩化カルシウム水溶液は約−51℃(−51.6℃)と示されています(国土技術政策総合研究所「凍結防止のメカニズム」)。塩化カルシウムのブラインが塩水より低い温度で使えるのはこのためです。

アルコールはその濃度によって下げられる温度が変わりますが、温度が低くなると溶液に粘性が出てしまうので、マイナス40℃からマイナス30℃程度の温度設定となっている場合がほとんどです。ブライン冷凍機のブライン溶液をマイナス40℃以下に設定するのは大変難しいため、大半の機種はマイナス40℃以上の温度設定になっています。

主なブラインの温度の目安を整理すると次のとおりです。

























ブラインの種類 凍らずに使える下限の目安 一般的な設定温度の目安
塩水(食塩水) 約−21℃(共晶点) −18℃くらい
塩化カルシウム水溶液 約−51℃(共晶点) —
アルコール 濃度により異なる(低温では粘性が出る) −40〜−30℃程度

比較として、日本冷凍食品協会は、冷凍食品の工場では家庭用の冷蔵庫ではできない−30〜−40℃の低温で急速に凍結していると説明しています(日本冷凍食品協会「意外と知らない?冷凍食品基礎知識!」)。機種ごとの構造はブライン冷凍機のページで紹介しています。

ブライン溶液の選択は食品の特性に合わせてさまざま


ブライン溶液にはさまざまな種類があるため、冷凍する食品の特性に合わせて溶液を選択するとよいでしょう。

漁船に搭載されている大型ブライン冷凍機には、獲った魚を包装なしでそのまま漬け込めるように塩水ブラインが用いられていることがほとんどです。

また、ブラインで食品を冷凍するため、万一パウチや包装が破損して液体がパッケージ内に入っても、食品を食べた人体に影響がないようにエタノールや塩化カルシウムを使用している場合もあるようです。

包装した食品を漬ける場合、包装材の選択も品質と衛生を左右します。食品衛生法にもとづく規格基準では、容器包装に入れた「冷凍食品」は「清潔で衛生的な合成樹脂、アルミニウム箔または耐水性の加工紙で包装して保存しなければならない」とされています(消費者庁「食品別の規格基準(冷凍食品)」)。

加えて、ブライン溶液はその種類によって価格もさまざまであることから、使用する量に適した価格のものを選択するとよいでしょう。

扱う食品と生産量に合うブラインの種類や機種の選定は、急速冷凍機販売のページからご相談いただけます。

ブライン冷凍機の急速凍結の仕組みを知って正しく使おう


ブライン冷凍機の特性を把握し、急速冷凍を行う仕組みを知ることで、食品を冷凍加工する際のトラブルに正しく対処することができます。

たとえば、食品が冷凍されるまでの時間が長くかかってしまう場合は、厚い食材を冷凍しようとして食品の表面積が小さくなっていないかを確認したり、冷凍機内のブラインの流れが食品の入れすぎや、食品の重なりにより滞っていないかを確認したりすれば、トラブルは正しく解消することができます。ほかの凍結方式も含めたよくある失敗は急速冷凍工程のよくある失敗にまとめています。

「なぜ急速冷凍ができるのか」を知ることは、冷凍機の特性を正しく把握し、適切に冷凍機を扱うことにつながります。冷凍機を正しく使うことで、品質のよい商品を効率よく生産できる体制を整えましょう。

まとめ



  • ブライン冷凍は、液体の密着性・熱伝導・流れの3つで食品の熱を奪い、約−1〜−5℃の温度帯を速く通過させます。

  • 到達できる温度はブラインの種類で決まり、食塩水は約−21℃、塩化カルシウム水溶液は濃度を最適にしたときに約−51℃が凍らずに使える下限です。

  • 凍結が遅いときは、食品の厚み・入れすぎ・重なりによるブラインの流れの滞りを確認しましょう。