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超低温・超急速だけど高コスト 液体窒素冷凍に適した食品

マイナス196℃の超低温で食品を冷凍することができる液体窒素。食品内にできる氷結晶を小さくすることができるなど、さまざまなメリットがありますが、そのぶんコストも高くなることが特徴です。本記事では液体窒素がどのような食品加工の場で使われているかを紹介していきます。

高コストに見合った食材の冷凍に活用される

マイナス196℃の液体窒素で食品を冷凍すると、食品の組織内にできる氷結晶をたいへん小さくできるほか、冷凍のための時間も短くすることができます。
 
ただし、そのぶんコストがかかるため、一般的には、高級品の冷凍や、季節商品で生産が一時期に極端に集中する食品の冷凍に使われます。
 
また、液体窒素冷凍は最終の冷凍だけではなく、食品の加工工程でも活用されています。表面を超低温で冷やした食品を液体に漬けることで食品表面に液体をコーティングしたり、超低温で冷凍すると物質がもろくなる特性を活かし、食品を粉砕したりするなど、食品の加工工程でも液体窒素冷凍は使われています。
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液体窒素が用いられる高級な食品

液体窒素による冷凍が行われる代表格は、高級な海産物です。高級品の代表格ともいえるカニやエビのなかでも、タラバガニやズワイガニ、イセエビなどのブランド品に使われることがほとんどです。
 
また、高級スイーツの冷凍にも液体窒素が活用されています。
たとえば、一般的なスポンジケーキであれば、スポンジにはたくさんの空孔が空いているので、大きめの氷結晶ができたとしても、そこまで影響はありません。
しかし、チーズケーキなど、サワークリームやムースの滑らかさがおいしさのポイントになるようなスイーツの場合は、氷結晶が小さくなるように冷凍したほうが口当たりを滑らかに保った状態で冷凍をすることができます。

 
 

季節もので生産が集中しやすい食品

季節商品で注文が集中しやすく、プレミアがつきやすい商品は液体窒素冷凍に適しています。
たとえば、宅配日が2~3日の間に集中するおせち料理や、お正月に向けて出荷量が増えるかまぼこやかずのこなどがその代表といえるでしょう。
 
対消費者向けに冷凍するだけでなく、工場の生産調整のためにも使われます。一時期に一気に出荷する大量の在庫品を急速冷凍しておき、再度解凍してチルド出荷するために、液体窒素冷凍が使われることもあります。

 
 

液体窒素の特性を活かした加工工程

また、液体窒素冷凍は完成した食品の冷凍に使われるだけでなく、食品加工の一工程として使われることもあります。
 
急速に冷凍できることを活かして、チョコレートなどをアイスクリームにコーティングする際に、チョコレートを固めるために使われたり、食品を超低温で冷凍すると粉砕しやすくなる性質を活かして食品を冷凍したままパウダー状にする目的で使われたりします。
 
たとえば、果物のレモンは超低温で冷凍して粉砕すると、レモン独特の香りを残したまま果汁を抽出しやすくなるので、液体窒素冷凍が加工方法として使われることもあります。
この手法は飲料メーカーの缶チューハイのレモンパウダーの製造方法としても有名です。

 
 

大量生産時の生産性向上に活用

液体窒素が安価な冷凍食品の生産に使われる場合もあります。トンネル型の急速冷凍機で特定の食品を短時間で大量に生産する場合は、冷凍のスピードが速い液体窒素を使えば、生産の効率が上がります。
冷凍スピードが上がれば、コンベアーの通るトンネルは短く済むので、トンネル型フリーザーを小型化することができ、急速冷凍機の設置スペースを小さく抑えることもできます。
 
また、液体窒素は大量に購入すると液体窒素の購入コストが下がるため、大規模工場の生産ラインに使えば、コストを抑えたうえで生産効率を格段に上げることができます。

 
 

液体窒素の特性を上手に活かそう

液体窒素を冷凍に使うと、コストは高くつきますが、食品内の氷結晶が小さく抑えられる、冷凍のスピードが速くなるなど、さまざまなメリットもあります。
 
食品を冷凍するにあたって、目指す品質や販売価格、生産スケジュールや生産量、食品加工工程などの条件が合えば液体窒素冷凍は大変効果的な冷凍技術です。
 
液体窒素冷凍機の導入を検討する際には、かかるコストよりも液体窒素冷凍によるメリットのほうが上回っているかを検証してみるとよいでしょう。

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