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メジャーな急速冷凍機・エアブラストとブライン、違いは?

冷凍の品質はどちらが良いとはいえない


エアブラスト冷凍機とブライン冷凍機にはそれぞれ食品から熱を奪う方法に違いはありますが、同じ条件で冷凍を行った場合に、どちらのほうが氷結晶を小さくできるかという点ではさほど違いがありません。

エアブラスト冷凍機は温度を下げた空気の流速で食品から熱を奪っており、ブライン冷凍機は低温の液体と流速で食品から熱を奪います。エアブラスト、ブラインともに食品から温度を奪う媒体と、熱伝達を上げる要素が備わっているため、両者にさほど差はないのです。

冷凍する食品の特性に合った急速冷凍機を選ぼう


気にかけるべきは、空気と液体、どちらが冷凍したい食品の特性に合っているかです。

空気を使った冷凍の場合は、庫内の風の吹き方が均一でないため、エアブラスト冷凍機のくせを上手くつかんで食品を配置しなければ、品温の下がり方にむらができてしまいます。

液体を使った冷凍の場合は、液体がまんべんなく食品に触れて温度を下げることができますが、空気と同様、食品に触れる流速にはむらがでてしまうことがあります。ただし、液体の熱伝導のよさのほうが流速による熱伝導よりも効果が大きいので、さほど冷凍効率に影響しません。また、パウチすることが必要であるため、食品がパウチで変形してしまう場合は使うことができません。

両方のメリットとデメリットをよく認識したうえで、適するほうを選びましょう。

冷凍する食品を具体的に想定したうえでどちらが良いかを考える


エアブラスト冷凍機とブライン冷凍機のどちらが凍結したい食品に向いているかを考える際には、製造したい商品を具体的に想定して考えるとよいでしょう。以下でシミュレーションしてみましょう。

Q.干物を急速冷凍し、通信販売を行いたい


A.干物を冷凍する場合は、冷凍した後の保存時の乾燥を防ぐためにパウチなどでぴったりと空隙がないように包装する必要があります。パウチした後はエアブラスト冷凍機とブライン冷凍機のどちらで冷凍してもかまいません。

Q.ケーキを急速冷凍したい


A.ケーキを冷凍前にパウチや包装で空隙がないようにぴったり包装すると、スポンジやクリームが潰れてしまうため、現実的ではありません。袋などに入れてエアブラスト冷凍機で急速凍結を行うか、ケーキだけを先に急速冷凍し、冷凍が完了した時点で包装をするとよいでしょう。

Q.食品を冷凍する際に商品の冷凍度合のむらの発生を防ぎたい


A.食品をパウチして冷凍する場合ならば、ブライン冷凍機を活用すると流速の違いによるむらの影響を少なく抑えることができます。熱伝導のよい液体が食品表面にまんべんなく接して熱を奪うことのほうが、流速があることよりも重要になるため、流速のむらによる影響がさほどありません。パウチ等の防水包装ができない場合は、ブライン冷凍機を使うことができないため、エアブラスト冷凍機を使い、商品ごとのむらについては位置を調整することによって解決をはかりましょう。

冷凍を行う環境に合った適切な急速冷凍機を選ぼう


ここまで説明してきたように、エアブラスト冷凍機とブライン冷凍機はそれぞれ特徴がありますが、冷凍効率上は大きな違いはありません。冷凍する食品の特性はもちろん、冷凍加工する食品の品数や、現場で冷凍機を扱う際の扱いやすさを総合して選択するべきです。

選択に迷った場合は、生産する際の工程をできる限り具体的に想定することで、冷凍機の特性との相性を検討し、どちらが自社の生産現場に合っているかを考えるようにしましょう。