過冷却
過冷却とは、液体が凝固点(水なら0℃)より低い温度まで冷えても凍らず、液体のまま保たれている不安定な状態のことです。氷のもとになる「氷の核」ができないと、凝固点を下回っても凍結が始まりません。
- 過冷却は不安定な状態で、振動などの刺激や氷の核ができたきっかけで一気に凍り始めます。
- 過冷却が解消する温度が低いほど、食品中にできる氷結晶は小さくなることが研究で示されています。
過冷却(かれいきゃく)とは、液体や食品を静かにゆっくり冷却することで氷の核の発生を妨げ、液体が固体になる温度である凝固点より低い温度になっても、その水分が凍らずに液体のままである現象を指します。
過冷却が起こる仕組み(なぜ凍らないのか)
液体が固体になるには、凝固点以下の温度となり、かつ、氷の核がなければなりません。
静かにゆっくり均一に冷却すると氷の核ができにくいため、凝固点以下になっても凍らずに液体のままになります。
しかし、この状態は非常に不安定な状態であり、振動などの刺激を与えると急速に凍結します。
公益社団法人日本冷凍空調学会の解説では、水だけで氷の核ができる(自発的に凍結する)温度はマイナス40℃とされ、それより高い温度では、水以外の物質の粒子や容器の壁などの助けを借りて氷の核ができます。反対に、すでに氷があると水は過冷却せず、0℃で凍り始めます(日本冷凍空調学会「過冷却水」)。
たとえば、水の凝固点は0℃ですが、静かにゆっくりと冷却することで、マイナス10℃の過冷却水を作ることもできます。自然界では、雲をつくる水滴がマイナス20℃程度でも過冷却していることが多いと説明されています(同上)。
食品における過冷却は、通常凝固点から数℃以内で解消されますが、溶液などでは10数℃の過冷却になることもあります。
【関連用語】凝固点
食品の冷凍と過冷却
食品に過冷却が起きている場合は、食品中の水分は凝固点になってもすぐに氷になりません。過冷却が解消すると、急速に氷結晶が発生し、小さな氷結晶が食品内に均一に生成されます。
過冷却解消温度は低いほど、氷結晶のサイズが小さくなることが明らかになっています。
東京海洋大学の小林りからの研究(本サイト監修の鈴木徹も共著)では、豆腐を意図的に過冷却させ、過冷却が解消する温度をマイナス2℃・マイナス4℃・マイナス6℃・マイナス8℃と変えて凍結しています。その結果、解消温度が低いほど氷結晶は微細になり、解凍後の復元性がよく、ドリップロス(解凍時に流れ出る水分の損失)も抑えられたと報告されています(日本冷凍空調学会論文集「食品凍結時の過冷却現象が氷結晶の形態およびドリップロスに及ぼす影響」)。
まれに、緩慢冷凍を行った際に氷結晶が小さくなり、食品のダメージが少なくなっている場合がありますが、その場合は過冷却が起こっている可能性があります。
【関連用語】緩慢凍結
まとめ
- 過冷却とは、凝固点以下でも氷の核ができず、液体のまま保たれている不安定な状態のこと。
- 水だけで自発的に凍る温度はマイナス40℃とされ、それより高い温度では不純物や容器の壁などが氷の核のきっかけになる。
- 食品では、過冷却が解消する温度が低いほど氷結晶が小さくなり、ドリップロスが抑えられたという研究報告がある。
【関連用語】
最大氷結晶生成帯/氷結晶/ドリップ
【参照】
小林りか・兼坂尚宏・渡辺学・鈴木徹(2014)「食品凍結時の過冷却現象が氷結晶の形態およびドリップロスに及ぼす影響」日本冷凍空調学会論文集31巻3号
公益社団法人日本冷凍空調学会「過冷却水」
執筆・監修
おいしい冷凍研究所 編集部
株式会社えだまめ