「冷凍食品」の作り方 4つの基準とその理由
株式会社えだまめでは「冷凍食品」の開発をサポートしています。
食品のパッケージに「冷凍食品」と表示するための条件については、一般社団法人日本冷凍食品協会が自主基準を定めています。
①前処理をし、可食部のみにすること
②急速凍結(急速冷凍)し、品質を保つこと
③適切に包装し、品質劣化を防ぐこと
④マイナス18℃以下での保存、流通すること
加熱・解凍をするだけで、すべて食べられます。
輸送の無駄を削減することもできます。
食材の品質を落とすことなく冷凍できます。
安全性の保証についても、決められた基準をクリアしているため、安心です。
食品に適した包装を行うことで、流通・保存時の品質の低下を防ぐことができます。
適切な温度で流通することで品質の低下を防ぐことができます。
冷凍食品の条件①は、食材の「前処理をする」ことです。
「前処理」とは、食べられない部分を除く、調理の第一段階です。野菜ならば洗ってカットし、魚ならばウロコをはがし、頭、内臓、ヒレを取って三枚にするなど、食べられない部分は除き、加熱調理前に通常行うような下処理を済ませます。
こうすることで、調理場や家庭の台所では廃棄する部位が無くなるため「生ゴミが出ない」というメリットも得られます。
ちなみに、カニやイカなどを丸ごと凍らせ、販売しているものは「冷凍食品」とは表示されません。
冷凍食品の条件②は食材を「急速冷凍する」ことです。
食品の品質を保つには、素材に合った速さで凍らせることが必要です。「急速冷凍」というと、「速く凍らせる」、「一瞬で凍らせる」という漠然としたイメージがあるかもしれませんが、さまざまな要件を押さえなければなりません。
まずは比較のために一般冷凍について簡単に説明します。食材はマイナス温度の環境に置いておけば凍結が起こります。
北海道や長野の高地など寒冷地で、真冬に自然と食材が凍ってしまうことと同じです。
ただ、そのような状態で凍ったものは「冷凍食品」とは表示できません。同様に、家庭の冷凍庫で凍らせたものも、「冷凍食品」とは言いません。一般的冷凍では、少し、時には大きく、風味や食感が落ちてしまいます。
この一般冷凍に比べ、急速冷凍を行うと、風味や食感が保ちやすくなります。それはなぜでしょうか。冷凍は、食材の中の水分を氷の粒にすることで成り立ちます。
ゆっくり凍らせた場合は、氷の粒がとても大きくなり、細胞や組織の空間を氷の粒が広げたり、傷つけてしまったりするため、味や食感が変わってしまいます。
一方、急速冷凍を行うと、食材の中にできる氷の粒が小さくなるため、食材に影響が少なくなります。どのくらい「急速」に凍らせる必要があるかというと、食品がマイナス5~マイナス1℃となる温度帯を30分以内に通過する速さが必要となります。
一般的にこの速さで食品を凍らせることを「急速冷凍」と呼びます。
ただし、あんこなど、食品によっては氷の粒が大きくなる温度帯がマイナス5〜マイナス1℃より低いものもあるので、注意が必要です。また、高野豆腐のように、ゆっくり凍らせて氷の粒を大きくし、食品の食感が変化した状態が好まれるものもあります。
冷凍食品の条件③は「適切な包装」をすることです。食品を急速凍結させて良い冷凍食品を作ったとしても、保存、流通の過程で品質の変化が起こってしまっては台無しです。
包装することによって乾燥による品質変化を防ぎ、衛生状態を保ちましょう。乾燥を防ぐためには、包装により密閉するだけでなく、食品に合った適切な包装を選ぶ必要があります。
また、品質を保つ以外にも、きちんと商品の情報を伝える「表示」をすることが重要です。品名や規格、原材料は何か、調理方法などを表示することが「冷凍食品」の条件です。衛生状態を保てる包装と表示、この2点を合わせて「消費者用包装」といいます。
冷凍食品の条件④は「マイナス18℃以下で保管、流通させること」です。
マイナス18℃は、国際的な自主基準とされていますが、その理由は何でしょうか。地球上の微生物はマイナス15℃以下では増殖しませんので、腐ることを防止できます。そのため、食品衛生法の基準では冷凍食品の保存温度は、「マイナス15℃以下」とされています。
しかし、マイナス15℃以下では腐りはしませんが、風味や味わいなどに変化が起こることがあります。そのため、業界自主基準はそれより3度低いマイナス18℃以下とされています。ちなみに、この「マイナス18℃」は米国で実施した調査研究※1が根拠とされており、世界先進国の基準はマイナス18℃以下となっています。
※1 1948年から1958年にかけて行われたアメリカ農務省西部利用研究所を主体とした広汎な食品のいわゆるTTT(Time-Temperature Tolerance)研究の成果をもとに取り入れられた
冷凍食品は、レストラン、料理店等の事業者や、家庭の厨房の調理を代行するものです。家庭で活用することで、メニュー品数を増やしたり、調理時間の短縮で家事担当者の時間のゆとりを提供したりすることができます。
レストラン、料理店等の調理に活用する場合は、短時間でメニューを提供でき、かつ、誰が調理をしても安定的な品質を保つことができます。逆に、冷凍食品を供給する食品加工業者にとっては、品質や価格を安定させ、供給できることが重要なメリットです。特に食材の冷凍食品は「旬」の時期に収穫して加工すれば、最もおいしく栄養価が高い時期の食材を、リーズナブルな価格で消費者や事業者に提供することもできます。
冷凍食品の賞味期限は約1年間とされていますので、1年を通して安定した価格で販売することが可能です。
冷凍食品の最も優れている特長は「腐らない」ことです。食材が「腐らない」ということは、「食品を無駄に廃棄せず、有効に使い切れる」可能性を持っているということです。食品ロス、廃棄物を減らすことができます。
エコ・フレンドリーという観点では、冷凍食品の「前処理」の段階で食べられない箇所は除いてありますので、調理の段階で「生ゴミが出ない」というメリットを家庭や商店に提供することができます。
冷凍食品の4条件
食品のパッケージに「冷凍食品」と表示するための条件については、一般社団法人日本冷凍食品協会が自主基準を定めています。
①前処理をし、可食部のみにすること
②急速凍結(急速冷凍)し、品質を保つこと
③適切に包装し、品質劣化を防ぐこと
④マイナス18℃以下での保存、流通すること
①のメリット
加熱・解凍をするだけで、すべて食べられます。
輸送の無駄を削減することもできます。
②のメリット
食材の品質を落とすことなく冷凍できます。
安全性の保証についても、決められた基準をクリアしているため、安心です。
③のメリット
食品に適した包装を行うことで、流通・保存時の品質の低下を防ぐことができます。
④のメリット
適切な温度で流通することで品質の低下を防ぐことができます。
冷凍食品を製造する方法
①前処理をし、可食部のみにする
冷凍食品の条件①は、食材の「前処理をする」ことです。
「前処理」とは、食べられない部分を除く、調理の第一段階です。野菜ならば洗ってカットし、魚ならばウロコをはがし、頭、内臓、ヒレを取って三枚にするなど、食べられない部分は除き、加熱調理前に通常行うような下処理を済ませます。
こうすることで、調理場や家庭の台所では廃棄する部位が無くなるため「生ゴミが出ない」というメリットも得られます。
ちなみに、カニやイカなどを丸ごと凍らせ、販売しているものは「冷凍食品」とは表示されません。
②急速冷凍する
冷凍食品の条件②は食材を「急速冷凍する」ことです。
食品の品質を保つには、素材に合った速さで凍らせることが必要です。「急速冷凍」というと、「速く凍らせる」、「一瞬で凍らせる」という漠然としたイメージがあるかもしれませんが、さまざまな要件を押さえなければなりません。
まずは比較のために一般冷凍について簡単に説明します。食材はマイナス温度の環境に置いておけば凍結が起こります。
北海道や長野の高地など寒冷地で、真冬に自然と食材が凍ってしまうことと同じです。
ただ、そのような状態で凍ったものは「冷凍食品」とは表示できません。同様に、家庭の冷凍庫で凍らせたものも、「冷凍食品」とは言いません。一般的冷凍では、少し、時には大きく、風味や食感が落ちてしまいます。
この一般冷凍に比べ、急速冷凍を行うと、風味や食感が保ちやすくなります。それはなぜでしょうか。冷凍は、食材の中の水分を氷の粒にすることで成り立ちます。
ゆっくり凍らせた場合は、氷の粒がとても大きくなり、細胞や組織の空間を氷の粒が広げたり、傷つけてしまったりするため、味や食感が変わってしまいます。
一方、急速冷凍を行うと、食材の中にできる氷の粒が小さくなるため、食材に影響が少なくなります。どのくらい「急速」に凍らせる必要があるかというと、食品がマイナス5~マイナス1℃となる温度帯を30分以内に通過する速さが必要となります。
一般的にこの速さで食品を凍らせることを「急速冷凍」と呼びます。
ただし、あんこなど、食品によっては氷の粒が大きくなる温度帯がマイナス5〜マイナス1℃より低いものもあるので、注意が必要です。また、高野豆腐のように、ゆっくり凍らせて氷の粒を大きくし、食品の食感が変化した状態が好まれるものもあります。
③適切に包装する
冷凍食品の条件③は「適切な包装」をすることです。食品を急速凍結させて良い冷凍食品を作ったとしても、保存、流通の過程で品質の変化が起こってしまっては台無しです。
包装することによって乾燥による品質変化を防ぎ、衛生状態を保ちましょう。乾燥を防ぐためには、包装により密閉するだけでなく、食品に合った適切な包装を選ぶ必要があります。
また、品質を保つ以外にも、きちんと商品の情報を伝える「表示」をすることが重要です。品名や規格、原材料は何か、調理方法などを表示することが「冷凍食品」の条件です。衛生状態を保てる包装と表示、この2点を合わせて「消費者用包装」といいます。
④マイナス18℃以下で保存、流通する
冷凍食品の条件④は「マイナス18℃以下で保管、流通させること」です。
マイナス18℃は、国際的な自主基準とされていますが、その理由は何でしょうか。地球上の微生物はマイナス15℃以下では増殖しませんので、腐ることを防止できます。そのため、食品衛生法の基準では冷凍食品の保存温度は、「マイナス15℃以下」とされています。
しかし、マイナス15℃以下では腐りはしませんが、風味や味わいなどに変化が起こることがあります。そのため、業界自主基準はそれより3度低いマイナス18℃以下とされています。ちなみに、この「マイナス18℃」は米国で実施した調査研究※1が根拠とされており、世界先進国の基準はマイナス18℃以下となっています。
※1 1948年から1958年にかけて行われたアメリカ農務省西部利用研究所を主体とした広汎な食品のいわゆるTTT(Time-Temperature Tolerance)研究の成果をもとに取り入れられた
冷凍食品で製造者・お店・家庭をハッピーに
冷凍食品は、レストラン、料理店等の事業者や、家庭の厨房の調理を代行するものです。家庭で活用することで、メニュー品数を増やしたり、調理時間の短縮で家事担当者の時間のゆとりを提供したりすることができます。
レストラン、料理店等の調理に活用する場合は、短時間でメニューを提供でき、かつ、誰が調理をしても安定的な品質を保つことができます。逆に、冷凍食品を供給する食品加工業者にとっては、品質や価格を安定させ、供給できることが重要なメリットです。特に食材の冷凍食品は「旬」の時期に収穫して加工すれば、最もおいしく栄養価が高い時期の食材を、リーズナブルな価格で消費者や事業者に提供することもできます。
冷凍食品の賞味期限は約1年間とされていますので、1年を通して安定した価格で販売することが可能です。
冷凍食品は地球にも優しい
冷凍食品の最も優れている特長は「腐らない」ことです。食材が「腐らない」ということは、「食品を無駄に廃棄せず、有効に使い切れる」可能性を持っているということです。食品ロス、廃棄物を減らすことができます。
エコ・フレンドリーという観点では、冷凍食品の「前処理」の段階で食べられない箇所は除いてありますので、調理の段階で「生ゴミが出ない」というメリットを家庭や商店に提供することができます。
執筆・監修
おいしい冷凍研究所 編集部
株式会社えだまめ