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冷凍食品、小売価格の相場観は上昇? それとも二極化加速か

150~200円周辺が定番といわれた冷凍食品の小売価格に、いま異変が起きようとしています。これまであった高級食材の冷凍通販の流れだけでなく、一般消費者向けの量販店にも価格が高めの商品が投入されてきました。冷凍食品売り場にいったい何が起きているのでしょうか。冷凍食品ジャーナリストの山本純子氏に解説していただきました。

2017年冬は高級冷凍食品が話題に

奥出雲和牛のプレミアムローストビーフ(モモ肉)、1ブロック300g、税抜1万円。同サーロイン550g(オリジナルソース、スパイス4種付き)、同2万円。‟冷凍食品レストラン“を標榜する「トーキョーブレジュハウス」(玉川高島屋S.C 7階)を運営するダノベータインターナショナル社が、2017年冬に打ち出した商品である。

 
いきなり極端な高額冷凍食品の事例だが、この牛肉が月に20頭のみ屠畜する希少な「奥出雲和牛」で、調理レシピはフランス料理の巨匠、ダニエル・マルタン氏(銀座マキシム・ド・パリの元総料理長、ル・コルドン・ブルー東京校初代校長兼教授)の監修レシピとなると、手を伸ばしたくなる贅沢になり、ギフト需要も生まれる。
主に通販で販売する「ブレジュ」ブランドの冷凍食品は、本社が島根のダノベータインターナショナル社が、地元の優れた食材を広く知ってほしいという思いを具体化する手段として発売された。
同社は工場を持たないブランドショップであるが、シェフの監修をはじめ開発スタッフを整えて、最高品質レベルの冷凍食品の品揃えを進めている。
 
本格上陸から1年を経過したフランスの冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」は、都内6店舗、プラス・ネット通販で順調だが、これも輸入品のため価格レベルは高めだが、品質レベルも高い冷凍食品として評価を得ている。
 
もちろんかねてより、ネットを含む通販市場では、「カニ」をはじめとした産直品、有名店ブランド食品など、数千円~1万円超ラインの商品が、「鮮度を保つ冷凍でお届け」されることに消費者は納得しており、小売店での冷凍食品の価格ラインとの格差が歴然とあった。

 
 

150~200円周辺が定番の量販店価格にも2015年から変化が!

量販店での冷凍食品の価格は、1パック150円周辺から200円周辺の価格帯が過半数。お弁当向けのものは総じて150円前後。食卓向けで一番人気の、味の素冷凍食品「ギョーザ」も198円で税込213円あたりが値ごろという売場である。
メーカーの提案が300円台を超えるとバイヤーが難色を示し、500円台にいたっては論外という状況が過去20年近く続いていた。かつて売場の一角を占めていた「高級冷凍食品」のジャンルが姿を消したのである。しかし、2015年後半から少しずつ状況が変わってきた。
 
その変化のきっかけとなった商品は、600gパックの味の素冷凍食品「ザ★チャーハン」であり、量販店各社のプレミアムラインのPBである。
炒飯戦争(過去記事:「『炒飯戦争』が業界にもたらしたもの」参照)を起こした「ザ★チャーハン」は、大容量で最安値300円台半ばから500円近くの店頭価格である。話題性があり男性のニーズを掘り起こしたことで、ボリュームと価格に賛同が得られたようだ。
また、夕食需要向けをテーマとする開発が進んで、ニチレイフーズ「匠御菜(たくみおかず)」シリーズをきっかけに、200円台半ば程度の商品も定着しはじめた。2017年は、から揚げを中心に400gレベルのボリュームパック品が登場して、これも価格帯を引き上げている。
量販のプレミアムPBでは、イオンの「ワールドダイニング」シリーズが本体398円、イトーヨーカドー「セブンプレミアム 夢を語ろう!」で2017冬新発売の、中目黒「ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ」シェフ監修のナポリピッツァ「マルゲリータ」に至っては500円台という価格である。

 
ようやく、品質のレベルが高めの商品を提案できるように量販の売場に変化が出てきたように思う。もちろん依然150円前後ラインを残しつつである。ショーケース内でも価格格差現象が起きつつある。
流れに乗ってプレミアムのラインをどんな商品で提案できるか、NBで可能か、PBでコラボするべきなのか、生産側にとっての悩みはつきない。

 
 
執筆日:2017年12月8日

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