「おいしい冷凍研究所」は急速冷凍の機械選び、コンサルティング、商品開発、マーケティングの情報発信メディアです。

冷凍食品宅配業のガリバー シュガーレディのビジネスモデル

化学合成添加物不使用の冷凍食品の宅配・通販などのサービスを展開するシュガーレディ。冷凍食品宅配業界で大きなシェアをもつ同企業のビジネスモデルはどんな形から始まり、どのように発展したのか。冷凍食品ジャーナリストの山本純子氏にその概要と歴史について解説していただきました。

安全で安心、しかもおいしい、さらに「健康」

安全で安心なのはあたりまえ、かつおいしければ「食事」の満足度は高い。
 
しかしながら、おいしいものは得てしてメタボの敵といわれる油脂、糖質、塩分の比率が高くなりがちだ。もちろん、それら栄養素を極端に排除しては、かえって健康を損なってしまう。適度に適量をというコントロールが重要だ。
 
食事と健康について熱く語りたいわけではない。
 
表題のシュガーレディが、上記の要素すべてを目指して冷凍食品を開発し販売していることを紹介したいのだ。そこには、冷凍食品だからできること、宅配システムだからこそ可能なことがたくさんある。
 
冷凍食品の宅配を行うシュガーレディが創業したのは1970年。大阪万博の年である。
 
主婦のコミュニティを活かした販売ネットワーク。つまり、無料試食会「シュガーパーティ」を自宅で開いて商品を説明し、注文を取って毎週届けるというシステムである。
 

シュガーパーティーの例

和風のシュガーパーティーメニュー

洋風のシュガーパーティーメニュー
 
タッパーウェア式※と言ってすんなり理解できる人の比率も少なくなってきたと思うが、専業主婦の井戸端会議コミュニティは、目新しい商品を普及させるには最大の効果を発揮する手法だった。
 
当時の国民1人当たりの冷凍食品年間消費量は、1.4kg。現在の21.1kg(2015年実績)の実に15分の1だった。お弁当に冷凍食品を入れるトレンドもまだ訪れていなかった時代であり、業界は冷凍食品そのものを知ってもらうところから取り組んでいた。
 
そんな時代なので、シュガーレディの同業も何社かあったのだが、90年代には同社のみが単独ガリバーとして存続するという業界構造となった。
 
※米国企業のタッパーウェア社が実施している、ホームパーティーを開催しパーティー参加者に容器購入の契約の勧誘をする商法。日本で販売を開始した1963年当時、主婦層のアメリカ風の生活へのあこがれや社交意欲のニーズにビジネスモデルが合致し、比較的高価であったにもかかわらず、同社商品はヒットした。

 

製造パートナーとのコラボによる開発力が強み

主婦販売員がご近所の担当エリアに宅配するという業種が、古臭いシステムにならず、なぜ、シュガーレディでは存続し、発展しているのか。
 
いろいろな理由があるが、第一は、冷凍食品だからこそできる良い商品を求め、さまざまな製造パートナーとのコラボレーションで独自の開発を進めてきたからだと言えるだろう。
 
シュガーレディは製造工場を持たず、製造委託を行うことで自社ブランドを企画・販売するファブレス企業である。小売店はアンテナショップ1軒のみだ。
 
1996年、同社は製造時に化学的合成添加物を使用しない「安全宅配宣言」をした。
 
さらに、2014年には、「安心・美味しさの『その先』へ」というスローガンを掲げ、安心でおいしいだけではなく、アンチエイジングをテーマに、積極的に健康に役立つ食品を提案・提供するという事業体へと転換を図った。
 
冷凍食品の品揃えを見ると、今話題のフランス生まれの冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」に通じるところがある。つまり、時代のニーズに合わせた開発を独自に行ってきたことで、顧客の信頼を得てきたということだ。
 
シュガーレディは1万数千人の販売員「シュガーレディ」、50万人の顧客ネットワークをもつ。
 
添加物を排除し安全に製造できる冷凍食品のメリットを活かしながら、顧客層を見極め、求められる品揃えを提供する企業グループは、今年は「美しい国から」を合言葉に、国内産地や食材、生産者を応援するプロジェクトを立ち上げる。
 
地方の希少な食材もまた、冷凍食品として活かすことができる。
 
今年はその事業をずっと追って取材していきたいと考えている。
 
執筆日:2017年2月8日

関連記事