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冷凍分野の商品開発とは?コンセプト決めから製造の検証まで

「商品開発」とひと口に言ってもその具体的なステップが何かイメージすることは難しいもの。本記事では冷凍生活アドバイザーであり冷凍食品開発のコンサルタントとして活躍するベフロティ株式会社代表の西川剛史氏に、コンセプト決め、ターゲット設定、商品設計をはじめとする冷凍分野の商品開発の具体的な方法とステップを解説していただきます。

人によってとらえ方がさまざまな「商品開発」の仕事

「冷凍関連の商品開発支援をしています」というと、「商品開発って具体的には何をするのですか?」とご質問をいただくことが多くあります。
 
人によって「商品開発」に抱くイメージはバラバラです。レシピ制作のことを指していたり、パッケージデザインのことを指していたり、PRを含めた大規模なものを指している場合もあります。
 
そのため、この記事では私が提供している「商品開発」サービスについて、一例としてご紹介していきます。

 
 

基本は7ステップ!「商品開発」はやりたいことを完成品に落とし込む作業

冷凍関連の商品開発は主に以下の7ステップで行われます。依頼主のご要望に応じて、このほかにも冷凍機選定のアドバイスを行うこともありますし、この一部だけを依頼されてお手伝いをすることもあります。

 

商品開発の7ステップ
①コンセプト決め
②ターゲット設定
③商品設計
④試作
⑤パッケージ検証
⑥調理方法検証
⑦製造検証

 

すべての原点になる「コンセプト決め」

商品開発においてまず整理すべきは、商品を製造するうえで「何を実現したいか」です。この点をきちんとイメージし、言語化しておく必要があります。
 
たとえば、地域の食材を冷凍することで「食材のロスをなくしたい」のか、「地域の食材を多くの人にPRしたい」のか、「ご当地ならではの料理を遠くの人にも届けたい」のかで、その後の選択肢が大きく変わってきます。
 
コンセプトを「これだ」と決断するのは難しく、後回しになりがちですが、この点は必ず最初に整理し、決定しておきましょう。
 
この点が変更されたりぶれたりすると、後の工程が無駄になったり遠回りになってしまい、商品開発の進行が遅くなったり頓挫する原因になってしまいます。

 
 

包装形態や食品の形状を決める大事な要素「ターゲット設定」

コンセプトが決まったら、今度はその商品を「誰に」「どんな場で」売りたいかを決める「ターゲット設定」を行います。
 
既に販売チャネルが決まっている場合は、その売り場に適した形状やデザイン、価格設定を行いましょう。
 
まだ販売チャネルが決まっていない場合は、売り込みたい場に適した形状やデザイン、価格設定を行って、効果的に小売店やバイヤーなどにPRができるようにするとよいでしょう。
 
たとえば、単身世帯の消費者に手軽に日常的に消費してほしい場合は、電子レンジ調理ができる包装を行ったうえで、現代的なデザインを行ったり、食欲に訴えるデザインを行ったりして、かつ低価格の設定にするとよいでしょう。
 
一方で、贈答品需要に応えるものであれば、その食材が最もおいしく仕上がる調理方法を指定し、それに適したパッケージを施し、高級感のあるデザインの包装を行い、価格帯も贈答品にふさわしい設定にする必要があります。

 
 

食材への理解と発想が試される「商品設計」

コンセプトとターゲットが決まったら、その2つに沿ってどんな商品内容にすべきかを考えます。
 
どんな素材や調理方法が適切か、どんな凍結方法が適切か、どういった印象を商品に持たせるかなど、さまざまな要素を考慮しながら、冷凍の「レシピ」を考えていきます。調理と冷凍の両方の知識が試される工程といえます。
 
また、この商品設計を終えてから「ターゲット設計」を行うこともあり、②と③の検証を繰り返しながら商品の全体像を作り上げることもあります。

 
 

「試作」を通じて、商品のおいしさと冷凍の影響を確認

「ターゲット設定」と「商品設計」が完了し、商品の概要が大まかに決まったら、実際に商品を調理し、凍結し、解凍・調理を行います。
 
ここで、実際に「おいしいか」を自分で確認したり、関係者に試食してもらったりすることを通じて、客観的な意見を集めます。
 
試食の際には、冷凍による影響がどの程度出ているか、その影響をどう感じるかもあわせてチェックするようにしましょう。

 
 

商品に最も適切な調理方法や包装方法は何かを模索する「パッケージ検証」

「試作」を行い、商品の大まかな仕様が固まってきたら、商品を保存するための「パッケージ検証」を行います。
 
一般的に冷凍加工を行う場合、冷凍前の調理加工の度合いが低く素材に近いほど、冷凍による影響が出やすいとされています。
 
そのため、惣菜類に比べれば、調理前の魚や肉、野菜そのものを冷凍する場合は、厳密に包装を設計し、適切な急速凍結機を選定し、より管理された低温下での保管が必要です。
 
冷凍による影響を抑えたうえで、食品の品質を高く長く維持するためにはどういったパッケージが必要なのか、また、パッケージされた商品をどう調理すべきかを整理して、包材メーカーとも相談していきましょう。
 
そのうえで、包材の価格は妥当か、必要量の調達が可能かどうかも確認しながら、最も妥当なものを探していきましょう。

 
 

商品はほぼ完成。想定どおりになるか確かめる「調理方法検証」

「包装」の詳細も決まり、ほぼ商品の設計が完了したら、最後は検証と調整を行いましょう。
想定していた調理方法を実際に完成した商品で試し、適切な調理方法か否かを判断すると共に、どれくらいの時間での解凍・加熱調理が必要かを確かめます。
 
よく冷凍食品の裏面に「湯せんで〇分」「500Wの電子レンジで〇分〇秒加熱」など、調理方法が記載されています。これらの加熱の分数や度合いは、この工程で検証され、決められているものです。
 
最近は、誰にでも調理可能なように調理方法を詳細に記載している商品が多くなってきています。可能であれば、細かく調理方法と調理時間を設定したほうが消費者には親切でしょう。

 
 

大量生産のラインにのるかを検証する「製造検証」

商品の内容や包装、調理方法が決まったら、今度はテストキッチンから工場に検証の場を移します。
 
テストキッチンと工場では1回の生産量が大きく変わるため、火の通り方や焼き目の付け方など、細かなところで想定と違う状況が起こります。もちろん、調理工程だけでなく、袋詰めやラインの流れ方などでも、商品の特性上うまくいかないこともあるでしょう。
 
その場合は、問題の原因を確認し、商品の設計や梱包方法を見直したり、ラインの組み方、調理方法を調整したりして、問題ない範囲に収めていきます。
 
製造検証は生産する商品そのものの品質を管理する最終チェック工程です。
細かいところも見逃さず、想定している仕上がりになっているかを厳密に見ていきましょう。

 
 

商品開発はコンセプトが実行されているかを検証・調整するプロセス

これまで説明してきたように、「商品開発」の一連の過程は、コンセプトを形にし、その形が適切に実現できているかを細かい工程に分けて検証・調整するプロセスの繰り返しです。
 
地味な作業に見えますが、この一連のプロセスなくして、適切な品質の商品を製造することができません。
 
消費者一人ひとりの口に商品が届いたときに、その魅力が十分に発揮されるよう、丁寧に工程を踏んでいくことが大切です。

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