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冷凍食品専門店オーナーが語る 売り場に置きやすい冷凍食品

冷凍食品の売り場で売れる商品とは何か。そもそも冷凍食品売り場にはどんな特性があるのか。スーパーやコンビニエンスストアなど、さまざまな小売店に必ずある冷凍食品売り場の仕組みと担当者に喜ばれる商品について、冷凍生活アドバイザーであり自身も冷凍食品専門店「ベフロティ」のオーナーとして冷凍食品売り場の管理経験が豊富な西川剛史氏に解説していただきました。

冷凍の売り場は常温やチルドとは違った苦労がある

私は冷凍食品業界で勤務したのちに、2015年、日本で初めて冷凍食品セレクトショップを開きました。
 
店を始める前にいろいろと調べてはいたものの、冷凍食品には常温やチルド商品とは違った特性が多々あり、いざ店舗を運営してみて苦労することも多くありました。
 
私は自身で店を運営したり、小売店への店舗のレイアウト改善のアドバイスをしたり、さまざまな冷凍食品売り場を見て回った経験があります。本記事ではこれらの経験も活かして、冷凍品の新商品を作るうえで、どんな形状や包装形態、商品設計が売り場担当者に喜ばれるかを考察していこうと思います。

 
 

内容がわかりやすい商品は売りやすい

店舗担当者として「安心して売りやすい」と感じる商品は、何といっても「内容がわかりやすい商品」であることに尽きます。
 
・パッケージが透明で中身が見えるようになっている
・商品の写真が入っている
 
上記のように、直感的に内容物が何か分かるパッケージになっており、商品の中身についての説明が目立っていると「わかりやすい」といえるでしょう。
 
また、消費者は食品を使うときのことを考えて、大きさや個数を気にしています。大きさや個数が視覚的に見えるようにするか、内容量についての表示を大きくするなどして、はっきり示すとよいでしょう。

 
 

解凍・調理方法は正しいものを必ず1つは記載しよう

冷凍食品の調理方法は、消費者が内容に次いで気にしているポイントです。電子レンジで気軽に調理できるのか、フライパンでの加熱や、お湯でのボイルが必要なのか、流水等で解凍することが必要なのか。
消費者が商品に求めている要素は「おいしさ」や「簡便さ」などさまざまです。
 
商品を選ぶ消費者に商品がどういった特徴があるのかをしっかりアピールするためにも、解凍・調理方法は正しい方法を必ず1つは記載しましょう。

 
 

目立つけれど置きづらさが難点に。特殊な形状の商品

売り場の担当者の目線から言うと、大きさや形状が特殊なものは置きづらく困る商品です。
 
冷凍食品を小売りする店舗では、さまざまな冷凍庫がありますが、大別すると、横置きして商品を上に積み上げていく平型ショーケースと、縦置きして商品を横に並べていくリーチイン型の2種に大別されます。
 
それぞれ、置ける商品の大きさには限界があるので、大きすぎたり、小さすぎたり、形が特殊だったりしてデットスペースがたくさんできるものは、置きにくいといえるでしょう。
 
液状だったり、流動性がある食品を冷凍する際には、平らにしてから凍結することが大切です。トレーに入れたり、ならしたりすることで、平型の形状を作ってから凍結します。こうすることで、店舗での陳列において、上にも横にもきれいに並べられるようになり、売り場での見栄えがよくなります。反対にいびつな形で凍結された商品は、きれいに陳列することが出来ず、売り場担当者を困らせてしまいます。
 
横に並べていく仕様のリーチインに比べ、平型ショーケースは大きさや形状にとらわれず商品を置きやすい仕様ですが、それでも限界があります。
 
売り場担当者が「置きやすい」と感じる商品は、いい場所に並べてもらいやすくなるでしょう。売り場でどう並べられるかまで考えて商品設計をし、生産工程を整えることは重要なポイントです。

 
 

霜が付きにくければ長く置きやすい。仕入れやすい商品に

売り場担当者が冷凍食品の販売の観点から気にしているのは「その商品をどれくらいの期間、在庫として持っておけるか」という点でしょう。
 
生鮮食品に比べ、長期間在庫として保持でき、ロスが少なくて済むことが冷凍食品の利点ですが、やはり在庫を処分しなければならない時期は来てしまいます。
その大きな基準となるのが、メーカーが設定した「賞味期限」ですが、もう1つ大きな指標があるのです。
 
それは、保管中の商品に徐々に付いていく「霜」。
商品のパッケージの中や周囲が霜だらけになってしまうと、見た目が悪く、かつ中身が乾燥してしまっているので品質が悪い状態になってしまっています。
 
品質管理をきちんとしている小売店であれば、霜だらけの商品は廃棄に回してしまうこともあるでしょう。
霜がついた状態でも販売している小売店でも、よい気持ちはしないはずです。
 
この霜を防ぐためには、食品とパッケージの間に空気が入らないように脱気したり、シュリンク包装したりするなどして、食品から水分が昇華することを防ぐ措置が必要です。
 
そうすれば、消費者に長期間にわたって品質の高い状態の商品を届けられるうえ、売り場担当者にとっても安心して販売できる商品になるでしょう。

 
 

賞味期限が長ければ、在庫にできる期間が増える

また、先ほども言ったように、冷凍食品の賞味期限は、小売店が在庫として保持できる期間の大きな指標になります。
 
冷凍食品はきちんと温度管理さえしておけば基本的に腐敗することがないので、長期間の保存ができることがメリットです。
 
しかし、冷凍食品の中には、賞味期限を数か月程度に設定しているものも目立ちます。これは、商品を管理するうえでの安全面に配慮したものと推測できますが、店舗担当者にとっては在庫として持てる期間が短くなってしまい、悩ましくもあります。
 
冷凍食品の賞味期限は、衛生上の工程を整え、適切に包装・冷凍すれば1年間ほど品質を変わらず保持することができます。製造した商品を保管し、1年後に細菌検査を行い、品質に問題ないことを証明すれば、賞味期限を1年後に設定することが可能です。
 
細菌検査は費用や手間がかかりますが、賞味期限を延ばすことができれば、売り場担当者や消費者に大きなメリットをもたらすことができ、商品の魅力を高めることができます。
 
賞味期限の設定はメーカーの責任と販売戦略の兼ね合いで決まるところもあり、いたずらに伸ばせないことも多いと思いますが、冷凍のよさを活かして、できるかぎり長い賞味期限を設定してほしいと思っています。

 
 

コストパフォーマンスか使いやすさか。お客さんの層に適切な内容量を

売り場担当者が気にしているもう1つのポイントが、「商品はお客さんに手に取りやすい量になっているか」です。
 
さまざまな内容量の商品がありますが、1人暮らしの人に向けた商品なのか、4人家族に向けた商品かなど、対象の消費者像をどう設定するかで、内容量を変えていくべきでしょう。
 
特に少しずつ必要な量だけ使っていく素材系商品であるほうれん草、さやいんげん、肉などと違い、冷凍食品そのものを1食分の食事とする加工品の場合は、1食ごとに使いきれる量が便利です。
 
1人あたりの1食分の目安は100g~200g。商品を小分けにして包装するとそのぶん生産コストはかさんでしまいますが、規格を小さくすると、そのぶん商品1つあたりの販売単価が下がり、冷凍食品売り場で消費者が手に取りやすい商品になります。

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