冷却温度帯

冷却温度帯(れいきゃくおんどたい)は、食品の品温を所定の温度に保つ流通の仕組みであるコールドチェーンにおいて設定されている温度帯のうちの一つです。
 
冷却温度帯は、10℃から水が凍りはじめる凍結点までの温度域のことで、食品は未凍結の状態です。野菜や果実、生鮮魚介類等の短期保存に適しています。
 
冷却温度帯において運ばれる食品の代表格は、コンビニエンスストアで取り扱われる、弁当やおにぎり、サラダなどの日配食品です。
また、10℃以下で保存が必要なチルド食品の流通も多くなっています。
 
ただし、冷却温度帯は微生物が増殖する可能性がある10℃以上の温度帯に近いので、調理や保存の際には、腐敗微生物による汚染のないクリーンな環境が必要となります。

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微生物

微生物(びせいぶつ)とは、菌類、細菌類、ウィルス類を総称です。
食品に付着したこれらの微生物が増殖することにより、微生物や微生物が生み出す毒性物質が原因で食中毒が起こります。また、食品中で微生物が増殖する際に食品の成分が分解されると腐敗が起こります。
 
微生物は、温度が下がるほど増殖しにくくなります。
そのため、業界の自主基準として、一般社団法人日本冷凍食品協会は品温がマイナス18℃以下となる環境での流通を定めています。国際的にも、マイナス18℃以下で流通・保管することが通常です。
 
食品衛生法では、冷凍食品の安全性の観点から、微生物が増殖できないとされる品温がマイナス15℃以下となる環境での流通を義務付けています。
 
冷凍食品については、食品衛生法により食品の安全の観点から微生物が増殖できないとされる品温がマイナス15℃以下となる環境での流通が義務付けられています。
 
ただし、温度を下げることで微生物の増殖は抑えられますが、死滅するわけではありません。冷凍された食品の温度が上がれば、微生物は再び増殖を開始します。食中毒や腐敗を予防するためには、冷凍前の食品は微生物増殖を抑えた状態で調理し、衛生的な環境で保存することが必要です。
 
 
【参照】
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定基準」
(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/standard/)

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食中毒

食中毒(しょくちゅうどく)とは、細菌やウイルス、化学物質、自然毒などに汚染された食品を体内に入れたことで起こる健康障害のことです。
食品衛生法58条では、「食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者」を食中毒患者等と定義しています。
 
厚生労働省によると、食中毒の原因は、下記のようなものがあります。
・細菌   …  腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、リステリア、黄色ブドウ球菌など
・ウイルス …  ノロウイルス、E型肝炎ウイルスなど
・自然毒  …  フグ、二枚貝、毒キノコ、アジサイなど
・化学物質 …  ヒスタミン、メタノール、ヒ素、鉛など
・寄生虫  …  アニサキス、クドアなど
 
食中毒予防の三大原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」だとされています。
「つけない」では、食材ごとの調理器具の使い分け、手の洗浄などが効果的です。
「増やさない」では、原因体の増殖を抑えるため、食材を冷蔵、冷凍することが必要です。
「やっつける」では、食材や調理器具の加熱処理によって、細菌やウイルスを死滅させることが効果的です。
 
上記の食中毒のうち、寄生虫のアニサキスはマイナス20℃以下で24時間以上(中心部まで)冷凍することで死滅させることができます。
ただし、食中毒の原因となる細菌については、マイナス18℃以下の低温で保存している間は活動が停止しますが、死滅するわけではありません。解凍とともに細菌は活動を開始します。
 
そもそも冷凍食品に細菌をつけないこと、解凍後は細菌がつかない、増えないうちに早めに消費することが大切です。
 
 
【参照】
厚生労働省 「食中毒」
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/)
 
政府広報オンライン「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」
(http://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/index.html)
 
一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品Q&A|冷凍食品の基礎知識」
(http://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/)
 
東京都福祉保健局「アニサキス(Anisakis) 線虫類」
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/01.html)

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賞味期限

賞味期限(しょうみきげん)は、スナック菓子、カップめん、チーズ、かんづめ、ペットボトル飲料など、品質の劣化が比較的遅い食品に対して、未開封のまま定められた保存方法をとった場合に、品質が変わらずおいしく食べられる期限を指したものです。
このため、冷凍食品に表示すべきは、消費期限ではなく「賞味期限」であることが分かります。
 
製造または加工した日から賞味期限までの期間が3か月以内のものについては、「年月日」での表示が義務づけられています。一方、製造日から賞味期限までの期間が3か月を超えるものについては、「年月」で表示してもよいことになっています。
 
消味期限の設定は、食品の特性、品質変化の要因、原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、容器包装の形態、保存状態等の諸要素を合わせて考え、科学的、合理的に決める必要があります。
 
一般社団法人日本冷凍食品協会は、冷凍食品は品質を本質的に保つことができる期間が長いことから、自主基準として「冷凍食品の期限表示実施要領」を定めており、保存試験、官能試験、衛生試験に加えて、必要に応じて、理化学試験を実施することとしています。
 
 
【参照】
消費者庁「品質表示基準一覧」
(http://www.caa.go.jp/foods/kijun_Itiran.html)
 
農林水産省 子どもの食育
(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html)
 
東京都福祉保健局「一般用加工食品(消費期限又は賞味期限)」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_expirydate.html)

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消費期限

消費期限(しょうひきげん)は、弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、食肉、生めん類など、品質が急速に劣化しやすい食品が保存された場合に、未開封の状態で腐敗・変敗などの劣化などによる衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限が表示されたものです。
そのため、消費期限を過ぎた食品は食べないようにする必要があります。
 
食品表示法に基づき、製造又は加工した日から消費期限又は賞味期限までの期間が3か月以内のものは「年月日」での期限表示が義務付けられているため、消費期限は「年月日」で表示されます。
 
消費期限の設定は、食品の特性、品質変化の要因、原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、容器包装の形態、保存状態等の諸要素を合わせて考え、科学的、合理的に決める必要があります。
このため、食品の製造業者、加工業者または販売業者か、食品の輸入業者が責任をもって期限を表示しなければなりません。
 
「消費期限」は劣化のスピードが早いものに示され、「賞味期限」は劣化が比較的遅いものに示されます。
冷凍保管をしていれば劣化のスピードが遅い冷凍食品には、「消費期限」は定められず、各々の製造業者や加工業者、販売業者、輸入業者が設定した「賞味期限」が設定されていることが一般的です。
 
 
【参照】
東京都福祉保健局「食品表示法の概要」
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_summary.html)
 
東京都福祉保健局「一般用加工食品(消費期限又は賞味期限)」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_expirydate.html)
 
一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品Q&A|冷凍食品の基礎知識」
(http://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/)
 
消費者庁「期限表示とは」
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/expiration_date/)

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最大氷結晶生成帯

最大氷結晶生成帯(さいだいひょうけっしょうせいせいたい)とは、食品を冷凍する過程で、氷結晶が大きくなりやすい温度帯のことです。通常、食品が凍り始めるマイナス1℃~マイナス5℃までの温度帯を指します。
 
この温度帯では、生成する氷の核の数は少なく、かつ、水分子の拡散速度が大きいため、数少ない氷の核に水分子が集まりやすく、大きな氷結晶を生成します。
そのため、食品の品温が最大氷結晶生成帯に留まる時間が長くなるほど、氷結晶は大きくなります。
 
生成される氷結晶が大きくなると、食品内部の組織が圧迫されて損傷してしまい、食品の組織にダメージを与えることがあります。
 
また、最大氷結晶生成帯に食品の品温が長時間滞留すると、氷結晶が大きくなる以外の影響も起きます。
冷凍によって濃縮が進むことで、pHや酵素の変化、溶質濃度の増加が起きて、化学反応が促進されてしまいます。
 
氷結晶をできるだけ小さくするため、また、凍結濃縮による化学反応の促進を避けるためには、最大氷結晶生成帯に留まる時間を短くする必要があります。
 
そのため、冷凍食品の品質維持のため、最大氷結晶生成帯を30分以下で通過する「急速凍結(急速冷凍)」が重要とされており、一般社団法人日本冷凍食品協会は「冷凍食品」の認定条件の一つを、この急速凍結を用いたものとしています。
ただし、同協会では、緩慢凍結(緩慢冷凍)でも食べる際の品質に影響がないもの、急速凍結によって品質に悪影響がでるものについては科学的根拠を示すことで、緩慢凍結でも可とされる場合があると定めています。
 
 
【参照】
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定基準 第2編 冷凍食品製造工場認定基準」
(http://wp.reishokukyo.or.jp/wp-content/uploads/instraction/03_kijun_06.pdf)

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