タンパク質

タンパク質とは、20種類存在するアミノ酸が多数結合してできた高分子化合物です。脂質や炭水化物とともに、三大栄養素の一つと呼ばれます。
筋肉や臓器、皮膚、毛髪、血液など身体の大部分は、タンパク質で構成されています。食品の解凍時に大きな影響を及ぼす酵素もタンパク質でできています。
 
食品に含まれるタンパク質は、体内で消化されてペプチドやアミノ酸に分解されます。アミノ酸は、肝臓で蓄えられたのち、身体の各組織に送られて、必要なタンパク質へと合成されます。ペプチドやアミノ酸はうまみの元になります。
 
タンパク質が多い食品としては、鶏や豚、牛などの肉類、鯵やあさりなどの魚介類、チーズなどの乳製品、大豆などの豆類などが挙げられます。
 
タンパク質は、熱や酸、圧力によって分子の立体構造が変化して、見た目や性質が変わります。これを変性と呼びます。
食品を冷凍する場合は、加熱や加圧を行った場合のような激しい化学反応は起きませんが、タンパク質に変化が起きることがあります。これを冷凍変性と呼びます。
 
魚肉や畜肉などタンパク質含量の多い食品では、冷凍変性によって、食品の骨格となるタンパク質が崩れると軟化やスポンジ化が起こります。
 
また、タンパク質は高い水和性を持ち、多量の水分を保持しています。冷凍・解凍過程で強い冷凍変性が起こると、タンパク質が崩れることにより水分が保持できなくなり、水分がドリップとして食品外に流出することがあります。
ドリップが出ることで、食品の口触りや歯ごたえが失われるだけでなく、栄養分やうまみ成分も流れ出てしまいます。
 
個々の食品によって冷凍変性を防止する方法は異なりますが、ショ糖やソルビトール等の糖類などの化学物質が冷凍変性を抑制することが知られています。
 
また、冷凍変性が起こりやすい生の魚介類には、急速凍結・氷水解凍を行って、凍結・解凍のスピードを速めることができれば、冷凍変性の影響を少なく抑えることができます。凍結のスピードが変性のスピードを上回れば、変性が起こりません。
 
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【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)
土屋隆英「魚肉タンパク質の冷凍変性機構」公益社団法人日本冷凍空調学会 (http://www.jsrae.or.jp/ron/summary/vol.6-1/6-1-1.html)
福田裕「魚肉タンパク質の凍結変性」中央水産研究所研究報告8号77~92頁(http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010541813.pdf)

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デンプン

デンプンとは、炭水化物の一つです。
 
植物が二酸化炭素と水を原料として光合成をすることで、デンプンは作られます。種子や根、地下茎などに貯蔵されます。
植物から取り出して精製されたデンプンは、白色の粉末です。その粉末を水に入れて加熱すると、デンプンは吸水して膨張し、やがて糊状になります。これを糊化と呼びます。
糊化したデンプンを冷却すると、白濁したり、ゲル化が起こったります。このうち、結晶化したものを老化、白濁等することを凝集と呼びます。
 
こうしたデンプンはその特徴を活かして、食品だけでなく、医薬品や製紙といった工業用途にも利用されています。製紙では内部添加剤や、表面のコーティングとして活用されます。
 
米やトウモロコシ等の穀類のデンプン粒は冷凍してもほとんど変化がありません。
 
加工食品ではデンプンが一度糊化するため、老化現象が起きやすくなります。
クリームコロッケやグラタン、うどん、米飯等の調理冷凍食品では、冷凍貯蔵中に急速にデンプンが老化することで、デンプン特有の滑らかな粘性が失われてしまい、食感が悪くなってしまいます。
 
デンプンの老化の要因としては、温度や水分、ph値ほか共存成分があります。
デンプンを老化させないためには、急速冷凍、急速解凍を行ったり、保水性の高いデンプンや糖類を利用したり、ph調整剤の利用したりすることなどが考えられます。
 
また、老化してしまったデンプンについては、水分を与えて再度加熱することによって再び糊化し、粘性を取り戻すことができます。
 
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【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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メトミオグロビン

メトミオグロビンとは、筋肉中に存在する色素たんぱく質であるミオグロビンが酸化したものです。
ミオグロビンは酸素と結合すると、オキシミオグロビンになり、食肉は鮮紅色となります。
温度が高い環境に長時間置くなどした場合、変性による酸化が進み、メトミオグロビンとなり、肉食は褐色となりくすんでしまいます。このことを「メト化」と呼びます。
 
冷凍保存する時間が経つに連れて、マグロやカツオなどの赤身魚の身が、鮮やかな赤色から次第に褐色に変化をするのは、メト化が原因です。
 
メト化の進行を防ぐには、2つのポイントがあります。
 
一つ目は、冷凍貯蔵温度を下げることです。
冷凍貯蔵温度が低いほど、メトミオグロビンの生成は抑制されます。マグロ肉では、マイナス60~マイナス50℃の超低温での冷凍保存が普及しています。
 
2つ目は、解凍速度を速めることです。
メト化の進行は0~マイナス10℃で著しく進行するため、この温度帯を速く通過する必要があります。
この場合、加熱や流水解凍、ぬるま湯解凍など高い温度帯の解凍方法を選択すると、組織が変性してしまうため、氷水解凍などで食品の温度帯を上げない状態で早く解凍することが必要です。
 
このように、メトミオグロビンによる「メト化」を防ぐには、適切な解凍方法を選ぶ必要があります。
 
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【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)
一般社団法人日本冷蔵倉庫協会「マグロを超低温(-50℃以下)で保管するのはなぜ?」
(http://www.jarw.or.jp/study/knowledge/1060)

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冷媒

冷媒(れいばい)とは、冷凍機や冷房などにおいて、熱を移動させるために用いられる物質です。
 
冷凍装置内を循環して、冷やす対象から熱を奪い、外部へその熱を放出させる役目を担っています。
冷媒に求められる性質としては、熱伝達効率が高さのほか、人体や環境に対し安全であること、経済性が良いことが挙げられます。
そのため、一般的にはフロン、アンモニアや炭化水素、二酸化炭素などが冷媒として用いられています。
 
急速冷凍機(急速凍結機)などは、冷媒を機体の中で何度も利用しながら冷却を行ないます。この原理を冷凍サイクルと呼びます。
 
冷凍サイクルでは、一般的に、冷媒液の蒸発、冷媒蒸気の圧縮、凝縮(液化)、減圧(膨張)、蒸発を繰り返します。
冷凍サイクルの結果、冷媒液を蒸発させる蒸発器は、気化熱によって常に低温を維持することが可能となります。
 
食品を冷凍する急速冷凍機には、こうした冷凍サイクルが組み込まれています。
 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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腐敗

腐敗(ふはい)とは、有機物が微生物の作用によって分解されて変質する現象のことです。
 
食品において「腐敗」は細菌類の作用によってタンパク質が分解され、人体に有害な物質が発生する現象のことを指します。
タンパク質が分解されると、各種のアミン、低級脂肪酸、硫化水素、アンモニアなど悪臭の原因となる物質が生成されます。
 
腐敗に関係する微生物は、常温、高湿度で繁殖しやすいため、夏季には食物が腐敗しやすくなります。
 
冷凍食品は、マイナス18℃以下の低温で流通・保管することが一般社団法人日本冷凍食品協会の自主基準で定められています。この温度下では細菌類は活動することができず、増殖することもできません。
しかし、細菌類は死滅するわけではありませんので、解凍とともに細菌類は活動を開始し、増殖も可能となります。
 
腐敗を防ぐには、加熱処理を十分に行って細菌類を死滅させたり、ヒトの手指を洗浄・消毒したりするなど、原因となる細菌類を食品に付着させないことが大切です。できるだけ新鮮なものを使うなど、腐敗が進んでいないものを使うことも安全上必要でしょう。
 
また、解凍後には早めに食べるようにしたり、加熱して細菌類を死滅させたり、細菌が活動・増殖しにくい0℃付近で解凍・保存したりする、といった対策が必要です。
 
 
【参照】
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定基準」
(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/standard/)
『新版 食品冷凍技術」(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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ブランチング

ブランチングとは、野菜を冷凍する前に、熱湯に漬けたり、蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことです。
 
ブランチングを行うことで、野菜が持つ酵素を不活性化させ、冷凍保存中の変質や変色を防ぎます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌も行うことができます。
 
多くの冷凍野菜は冷凍・解凍を経ると、条件によっては酵素反応によって変色したり臭いが出たりするため、ブランチングが行われます。酵素反応が弱いたまねぎやピーマンではブランチングしなくても解凍後の品質の変化が少なく、かえって熱により香気が失われるのでブランチングはあまり行われません。
 
また、果実類も加熱により香りが飛び、肉質が劣化してしまうのでブランチングは行われませんが、スライス上のものでは色の褐変防止のために行われることがあります。
 
ブランチングは加熱処理であるため、通常の加熱調理と同様に、野菜中のビタミンCが若干減少します。
 
しかし、同じ期間チルド保存した野菜よりも、ブランチングを行って保存した冷凍野菜の方が栄養価は高いこともあります。冷凍貯蔵中のビタミンCの減少量は非常に緩やかであり、保存期間が長くなるほど常温保存よりもビタミンCの残存量は多くなるからです。
 
冷凍野菜が旬のとれたてのような鮮やかな色をしているのは、新鮮な野菜をブランチング後に急速冷凍して保存するため、野菜本来の鮮やかな色が保たれているためです。着色料などを使って色をつけているわけではありません。
 

【関連記事】専門家に相談を|野菜の冷凍・解凍・保存方法
 

【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)
一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品Q&A|冷凍食品の基礎知識」
(http://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/)

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流水解凍

流水解凍(りゅうすいかいとう)とは、冷凍した食品を袋に入れて水道水などをためた容器に漬け込み、そこに流水を流し入れる解凍方法です。
 
空気と比べて液体は熱伝達が良く、さらに水の流れによって熱伝達係数が上がるため、早く熱を放出することができます。
 
自然解凍や冷蔵庫解凍に比べて格段に早く解凍することができ、食品内の氷結晶が粗大化しやすい最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃)を速く通過させることができるので、氷結晶による組織へのダメージを抑えることができます。
 
その一方で、食品に触れる水の温度が10~40℃と、食品の酵素反応が促進される温度帯であることがほとんどですので、食品表面のタンパク質が酵素反応により変性しやすく、変色したり臭いが出ることがあります。
 
冷凍前にブランチング等の加熱処理をして酵素を失活させた食品であれば、流水解凍で問題なく短時間で解凍できますので、流水解凍は適した解凍方法と言えます。
 
 
【関連記事】調理済食品の解凍に最適! 流水解凍の方法と特徴
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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官能検査

官能検査(かんのうけんさ)とは、人間の五感(目・耳・舌・鼻・皮膚)を用いて、食品や香料、工業製品などの品質を判定する検査のことです。
特に食品では、物理的、化学的検査だけではおいしさや風味、うまみなどを判定することはできませんので、官能検査が有効だとされています。
 
冷凍食品業界では、一般社団法人日本冷凍食品協会が冷凍食品認定制度を運営しています。
その中で、冷凍食品の各品目について、形態や色沢、香味などの品質基準が定められており、官能検査を用いて確認しなければなりません。
そうして確認された品質や、微生物試験、理化学試験をもとに、冷凍食品の賞味期限が設定されます。
 
 
【関連記事】味と食感が重要? 冷凍食品の「おいしさ」を考える
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【関連記事】適切な方法で分析しよう! 食品の官能評価の種類
【関連記事】官能評価の最重要ポイント! 評価シートの作り方
【関連記事】正しく評価できる環境を 食品の官能評価実施の注意点
 

【参照】
一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品の認定制度」
(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/)
一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品認定制度における 品質管理の手引き及び基準」3編第2章(https://www.reishokukyo.or.jp/wp-content/uploads/pdf/qc-handbook_01.pdf)
一般社団法人日本冷凍食品協会「期限表示」
(http://www.reishokukyo.or.jp/food-safety/indication/)
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定制度Q&A」
(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/q-and-a/)

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寄生虫

寄生虫(きせいちゅう)は、動物や植物の表面や体内に寄生して生命を維持する生物のことを指します。
食べても健康に問題のない寄生虫もいますが、寄生虫によっては食べることで食中毒の原因になるものが確認されています。
 
魚介類や肉類、野菜など生鮮食品を未加熱で食べ、一緒に寄生虫を摂取してしまうと、腹痛や下痢等を引き起こし、種類によっては症状が重篤になる場合があります。
例を挙げれば、サバ、サケ、スルメイカ、イワシなどに寄生するアニサキスや、アンコウ、タラ、イカなどに寄生するシュードテラノーバは激しい腹痛や吐き気、おう吐、じんましんなどを引き起こします。
 
寄生虫による食中毒は、対象となる食品の十分な洗浄や加熱処理で予防できます。
 
また、魚介類に寄生する寄生虫の多くはマイナス20℃で以下24時間以上冷凍すれば死滅すると言われています。ただし厳密には、死滅には諸条件が必要な場合もあるため、確認しましょう。一般的には、寄生虫による食中毒が多いサケ科の魚類は、冷凍することで安全に食べられると言われています。
 
 
【参照】
東京都福祉保健局「食品の寄生虫」
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/index.html)
東京都福祉保健局「アニサキス(Anisakis)線虫類」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/01.html)
東京都福祉保健局(シュードテラノーバ(Pseudoterranova) 線虫類)http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/02.html)
良永知義「寄生虫との付き合い方一魚介類の寄生虫と食品衛生一」中央水研ニュース19号(http://nrifs.fra.affrc.go.jp/news/news19/yosinaga.htm)

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