再結晶化

冷凍食品の氷結晶においては、再結晶化(さいけっしょうか)は避けるべき変化です。
 
急速冷凍によって食品内の氷結晶を小さく抑えたとしても、貯蔵温度が高くなり、食品内の氷結晶粒の一部が融解し、合一化・粗大化現象つまり再結晶化が起こると、氷結晶のサイズが大きくなってしまいます。
氷結晶のサイズが大きくなると食品組織にダメージが加わり、食感の変化や酵素反応促進される原因になります。
 
冷凍食品の再結晶化を防ぐには、貯蔵・輸送時の温度変化に注意する必要があります。
 
保存庫(冷凍庫)を開けている時間や開閉の頻度を減らすことで庫内の温度変化を最低限に抑えたり、あるいは冷凍した食品を断熱材で包んだりすることによって、食品の温度を一定にするといった対策を取ることで再結晶化を防ぐことができます。

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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コールドチェーン

コールドチェーンとは、生鮮食品や冷凍食品などを所定の温度に保ちながら、生産、輸送、消費に至るまで流通させる物流方式のことです。低温流通体系とも呼ばれます。
 
コールドチェーンの普及により、食品の流通範囲が広がり、長期間の保存が可能となりました。食品以外にも、コールドチェーンは医薬品や化学薬品、血液バッグなどにも利用されています。
 
コールドチェーンで利用される温度帯は、以下の3つがあります。
 

冷却温度帯

10℃から水が凍り始める凍結点までの温度帯で、野菜や果実、生鮮魚介類等の短期保存に優れています。
 

凍結温度帯

マイナス18℃以下の温度帯であり、国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)により国際的に推奨された保存温度帯でもあります。畜産物や魚介類、調理食品、野菜類などの冷凍品に用いられます。
【関連記事】冷凍食品の保存温度 「マイナス18℃」
 

チルド温度帯

マイナス5℃~5℃の温度帯で、凍らない程度の低温で貯蔵されたチルド食品の流通に利用されています。
 
冷凍食品の流通については、食品衛生法で品温がマイナス15℃以下で保存・流通させることが衛生上の観点により要件として定められています。
一般社団法人日本冷凍食品協会は、冷凍食品の高い品質を保持することを目的として、マイナス18℃以下での保存、流通を自主基準として定めています。

 
 
【参照】
国際連合食糧農業機関・世界保健機関「急速冷凍食品の加工及び取扱いに関する国際的実施規範(農林水産省訳)」 (http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/codex/standard_list/pdf/cac-rcp8.pdf)
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定基準」(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/standard/)
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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急速冷凍

急速冷凍(きゅうそくれいとう)とは、食材の中心温度が最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃)を30分以内に通過する冷凍のことです。急速凍結ともいいます。
 
最大氷結晶生成帯に食品が長く留まると、食品内の氷結晶が大きくなることが多く、食品組織がダメージを受けやすいので、品質に悪影響が及びがちです。
そのため、冷凍食品の製造においては、急速冷凍が推奨されています。
【関連記事】急速冷凍がポイント!おいしさをキープする冷凍方法
 
一般社団法人日本冷凍食品協会が認定する「冷凍食品」の定義の中では、急速凍結(急速冷凍)をすることが要件の一つになっています。
【関連記事】「冷凍食品」の作り方 4つの基準とその理由
 
食品を急速冷凍するための装置は、大きく分けて以下の4種類があります。
 

エアブラスト冷凍機

冷却した空気を吹き付けることで食品を冷凍します。さまざまな食品を冷凍することができます。
【関連記事】エアブラスト冷凍機
 

ブライン冷凍機

低温にしても凍らない液体であるブライン(塩溶液やアルコール等)に漬け込むことで食品を冷凍します。そのまま液体に漬けてもよい食材はそのまま、液体に触れてはならない食材はパウチするなど包装を行ったうえで、ブライン溶液に入る限りで食品の形状や大きさに関係なく冷凍できます。
【関連記事】ブライン冷凍機
 

液化ガス冷凍機

超低温で沸騰した液化ガスを食品に噴き付けることで冷凍します。超急速に冷凍できるので、食品組織の損傷を最小限に抑えられます。
【関連記事】液化ガス冷凍機
 

コンタクト冷凍機

金属板の内部にマイナス40~マイナス30℃の冷却物質を流し、その金属板で食品を挟むことで冷凍します。金属が直接触れるため、熱伝達が良い方法で、同時に成形することもできます。
【関連記事】コンタクト冷凍機

 

急速冷凍機の選び方

専門家が教える 急速冷凍機の正しい選び方ガイド

 
 
【参照】
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定基準」(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/standard/)
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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解凍曲線

解凍曲線(かいとうきょくせん)とは、冷凍品が解凍される時の温度変化の履歴をグラフで示したものです。
 
解凍曲線は、凍結曲線が反転したものだと思われがちですが、違うプロセスをたどります。
解凍にかかる時間は、冷凍にかかる時間よりも長くなるのです。これは、水の熱伝導が、氷の1/4程度であるためです。
 
また、解凍スピードが食品へ与える影響としては、最大氷結晶生成帯に長く留まる場合は、解凍時に大きな氷結晶ができる点が挙げられます。大きくなった氷結晶が食品の組織を破壊することで、タンパク質の変性などが促進されてしまいます。
 
解凍される温度が常温の10~40℃に達すると、酵素反応が促進されるため、色の変化やドリップの流出が起きて、品質が劣化しやすくなります。
そのため、劣化しやすい生ものについては、最大氷結晶生成帯を素早く通過し、常温よりも低い温度で留まる解凍曲線を描く氷水解凍が有効です。
 
加熱してよい食材であれば、冷凍状態から加熱調理し酵素を失活させることで、酵素反応による食品の変化を防いで解凍することができます。この場合、解凍曲線は一気に高温に変化し、高い温度に留まります。
 
解凍方法は、氷水解凍、加熱調理のほかにも、流水解凍、自然解凍、冷蔵庫解凍などがあり、それぞれ特徴をもった解凍曲線を描きます。
 
それぞれの解凍方法には、簡便さや品質保持といった点で違いがあります。
解凍する食品やその用途に応じて、適切な解凍方法を選ぶことが大切です。
 
【関連記事】ゆっくり解凍と速く解凍はどちらがいい? 急速解凍のすすめ
【関連記事】速さと温度に注目 おいしく食べるための解凍のメカニズム

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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TTT(time-temparature tolerance)

TTT(time-temparature tolerance,保存可能期間―保存温度と品質耐性)とは、一定の温度下で食品の鮮度がどれだけ保たれるのかを示したデータのことです。
 
TTTを求めるには、同じ食品を数種類の定まった温度に長期間保存して、品質の変化を実測します。
一定時間ごとに保存した食品を取り出し、脂質の酸化度や色の変化、乾燥状態を確認し、官能検査を行うなどさまざまな視点から食品の鮮度を測定します。すると、時間変化ごとの食品のTTT曲線が得られます。
 
このデータを元に、何%の食品劣化までをよしとするかを、各メーカーは基準をもってチェックし、賞味期限を設定しています。
 
ただし、食品のTTTは、同種の食品であっても同じ基準で計測することはできません。なぜなら、原料の熟度や、製造過程の温度管理、包装状態など製品・商品ごとに違いがあるからです。
 
食品そのもの(product)、製造過程(process)、包装(packaging)の3つの要素は、品質保持に影響を与えるものとして、合わせてPPPファクターと呼ばれています。PPPファクターのほか、解凍方法も品質に影響を与えるため、考慮する必要があります。
 
一般社団法人日本冷凍食品協会では、期限表示のガイドラインとして「冷凍食品の期限表示の実施要領」を定めています。
このガイドラインを元に、冷凍食品の製造者は保存試験を行って、品質を保持できる期間を確認し、賞味期限を設定します。

 
【関連記事】目安は? 冷凍食品の保存中の劣化と賞味期限の設定

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)
一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品の期限表示の実施要領」
(http://www.reishokukyo.or.jp/wp-content/uploads/pdf/indication.pdf)

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液体窒素冷凍

液体窒素冷凍(えきたいちっそれいとう)とは、冷凍食品を急速冷凍させる際の方法の一つで、超低温で沸騰した液体窒素を使った凍結法です。
 
液体窒素の沸点はマイナス196℃と非常に低いため、超低温で気体となります。気体となった液体窒素を食品に吹き付けると、食品を急速に冷凍させることができます。
 
他の冷凍法と比べて、非常に短時間で冷凍できるので、氷結晶を微細に抑えることができます。そのため、氷結晶による、食品組織へのダメージが少なくなります。
 
液体窒素の中に食品を直接浸す方法もありますが、そのまま浸しては食品の表面と内部の温度差が極端になって、割れが生じてしまいます。そのため、事前に低温ガスで予冷して、食品内部の温度を下げておくことが一般的です。
 
この冷凍法は液体窒素を消耗するため、ランニングコストは高くなります。
そのため、液状食品材のドロップ型冷凍、高級魚やエビ、カニなど高級食品に利用されることが多くなっています。

 
【関連記事】液化ガス冷凍機
【関連記事】液化ガス冷凍は危険⁉ 液化ガスを取り扱う際の注意点
【関連記事】超低温・超急速だけど高コスト 液体窒素冷凍に適した食品

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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液化ガス冷凍機

液化(えきか)ガス冷凍機は、食品を急速冷凍させる際の方法の一つで、超低温で沸騰した液化ガスを使った冷凍法です。
 
液体窒素や液化炭酸ガスといった液化ガスは、常圧では沸点が非常に低いため、超低温で気体となります。液体窒素ではマイナス196℃、液化炭酸ガスではマイナス78.5℃で気体となります。
 
気体となった液化ガスを食品に吹き付けることで急速に冷凍を行うことができます。
他の冷凍法と比べて、短時間で冷凍できるので、氷結晶を微細に抑えることができ、食品組織へのダメージが少なくなります。
 
1回ごとに液化ガスを消耗するため、ランニングコストは高くなります。
そのため、高級魚やエビ、カニなど高級食品に利用されることが多くなっています。
 
液化ガス冷凍は食品内にできる氷結晶を小さく留めることができますが、超低温であるため、食品に亀裂が入ることもあるので注意が必要です。
 
また、炭酸ガスは水に溶けやすいので、食品表面に水分が溶けてしまうことがあります。その水分は酸性となるため、変色の原因となる事もあります。

 
【関連記事】液化ガス冷凍機
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急速冷凍機の選び方

専門家が教える 急速冷凍機の正しい選び方ガイド

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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コンタクト冷凍機

コンタクト冷凍機とは、食品を急速冷凍させる方式の1つで、冷却した金属板を使った冷凍方法です。プレート式冷凍、接触冷凍とも呼ばれます。
 
金属板(フラットタンク)の中にマイナス40~マイナス30℃の冷却した液体を流し、冷却された金属板で食品を挟んで、圧力を加えることで冷凍します。
食品の表面に熱伝導の高い金属板が直接冷却されて触れるので、冷却効率が良い方法です。
 
コンタクト冷凍機では、金属板が十数枚上下に重ねて設置されています。その金属板の間に食品を差し込んで、油圧で上部から押し付けながら冷凍させます。
冷凍速度は、金属板内の液体の流速や食品の梱包の有無によって変化しますが、短時間で冷凍が完了します。
 
食品を挟みこんで圧をかけるため、冷凍しながら成形も行えるところも特徴です。
ブロック状の食品の冷凍に使うことができます。

 
【関連記事】コンタクト冷凍機
 

急速冷凍機の選び方

専門家が教える 急速冷凍機の正しい選び方ガイド

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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冷凍食品

冷凍食品とは、長期保存を目的として、冷凍状態で製造、流通、販売される食品です。
 
「冷凍食品」の製造、流通においては、一般社団法人日本冷凍食品協会が自主基準を設定しており、以下の4要件を満たすことが求められています。
・急速凍結(急速冷凍)した食品であること
・品温をマイナス18℃以下にした食品であること
・前処理を施した食品であること
・消費者用包装を施した食品であること
 
冷凍食品の特徴として、保存料を使用せずに長期保存が可能であることが挙げられます。
低温下で保管することにより、食品中の微生物の増殖や酵素による化学反応が抑制されるため、保存料を使用しなくても品質を保つことができるからです。
 
ただし、解凍して食品の温度が上がれば、微生物、酵素の反応が活発になりますので、解凍方法や解凍後の処理等に注意する必要があります。
 
また、家庭でホームフリージングした食品は「冷凍食品」とは呼ばない点にも注意が必要です。

 
【関連記事】「冷凍食品」の作り方 4つの基準とその理由
【関連記事】高品質で日持ちする、冷凍食品の温度管理・加工・包装方法
【関連記事】目安は? 冷凍食品の保存中の劣化と賞味期限の設定

 
 
【参照】
一般社団法人日本冷凍食品協会「認定基準」(http://www.reishokukyo.or.jp/certification/standard/)
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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フローズンチルド食品

フローズンチルド食品とは、保存・輸送段階では冷凍(フローズン)状態で取り扱い、販売直前に一度解凍を行った後、チルド食品と同じ10℃以下で保管する食品です。
 
冷凍状態で保存・輸送することで酵素の活性や有害微生物の発育を抑制でき、長期間保存していても、品質を保つことができます。特に輸送期間の長い輸入食品は、冷凍状態で輸入され、解凍後にスーパーなど消費者の前に並びます。
 
フローズンチルド食品は通常の冷凍食品と同じく、急速冷凍した後、マイナス18℃以下の環境で、製造・管理・輸送されます。
解凍後は、細菌の増殖や酵素の活性化によってチルド食品と同様に時間が経つにつれ品質が落ちてしまうので、温度管理や速やかな消費が必要です。
 
通常の食品に比べて、製造、保存、輸送、解凍、解凍後の保存と、衛生管理をしなければならない段階が多いため、HACCP方式を含めた適切な衛生管理を行うことが求められます。
【関連用語】HACCP
 
なお、フローズンチルド食品の期限表示は、冷凍状態とチルド状態で保存条件が変わるので、それぞれ別途に設定されます。
特にチルド状態での期限は、解凍方法や環境によって大きく変わる可能性があり、はじめからチルド食品として製造された食品の期限とは異なるので、注意が必要です。

 
 
【参照】
『新版 食品冷凍技術』(社団法人日本冷凍空調学会、2009)

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