速さと温度に注目 おいしく食べるための解凍のメカニズム

冷凍品を調理するときに起こりがちなのが解凍の失敗。色が悪くなったり、ドリップが出たり、臭いがしたり、食べてみるとあまりおいしくなかったり。そんな失敗が起こるときに食材には何が起こっているのでしょうか。温度と食材の変化という視点から科学的に解説します。また、自然解凍、流水解凍、冷蔵庫解凍、氷水解凍、加熱調理・電子レンジ加熱などの解凍法の上手な使い分け方についても説明します。

解凍の失敗はなぜ起こる?

せっかく買ってきた冷凍食品や冷凍品の解凍に失敗してしまったという経験はないでしょうか。
ドリップが出てしまったり、食材の歯ごたえが悪くなってしまったり、味が悪くなったように感じたり、と解凍に失敗するとさまざまな悪影響が及びます。
解凍の際にどんなことをしてしまうと食材に悪影響が及んでしまうのか、一つひとつ考えていきましょう。

 
 

マイナス5℃〜マイナス1℃と約10℃~40℃の温度帯に要注意

まずは、解凍の際に食材が<マイナス5℃〜マイナス1℃>、<約10℃~40℃>の温度に長くさらされていないか確認してみましょう。
 
凍った食材が冷蔵庫などでマイナス5℃からマイナス1℃の環境下に長時間さらされると、食材の内部にできた氷結晶が大きくなってしまいます。
生魚や野菜、フルーツなど、組織が繊細な食材は、冷蔵庫内で解凍すると大きくなった氷結晶が組織を傷つけて、食感が悪くなったりドリップが出てしまったりします。舌触りを重視する組織が繊細な食材を解凍するときは、冷蔵庫解凍は避けるようにしましょう。
ケーキなどの生菓子は、氷結晶が食材に与える影響が少なく、解凍中の腐敗を避ける必要があるため、冷蔵庫解凍で問題ありません。
 
また、凍った食材を約10℃~40℃の常温の環境に置くと、食材の酵素反応が活発になってしまいます。
生魚や生肉、生野菜、加熱調理をしていない惣菜など、食材が酵素によって変化しやすいものは、常温での解凍は避けましょう。
加熱調理を済ませた肉や魚、野菜、惣菜は加熱により食材内の酵素が失活しているので、常温での解凍を行っても問題ありません。
 
加えて、食品がさらされている温度を気にする際には、食品の温度が表面と中心部では違うことにも注意する必要があります。食品の温度はその表面から外気や冷媒の温度に合わせて変化し、中心部は遅れてその温度に近づきます。
表面と中心では別々の温度でそれぞれの変化が起こっていることを考慮しながら、食品のなかで問題ない温度変化が起こっているかを気にするようにしましょう。

 
 

温度帯を通り抜ける速度を利用して上手に解凍しよう

ここまでで説明したマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯を最大氷結晶生成帯、約10℃~40℃を常温と呼びます。
食材をおいしく解凍するには、食材がこの2つの温度帯に適さないかを見分け、適さない場合はこの温度帯を避けるか、すばやく通過する必要があります。
 
ここでは、5つの解凍法を紹介し、それぞれの特徴と解凍スピード、長く留まる温度帯について紹介していきます。

 

解凍方法と解凍時の品温の推移

 

①自然解凍

常温の環境に凍った食材を置いて解凍をする方法です。
食材の温度はゆっくりと常温に近づいて変化します。食材の中心部はなかなか解凍されず、表面から先にどんどん周囲の温度に近づいて上がっていき、遅れて中心部の温度も上がっていきます。
解凍が完了するまでに約10℃~40℃の常温にさらされる時間が長くなってしまう表面部分は、酵素反応が活発になり、色が悪くなったり臭いが出やすくなったりしてしまいます。
 
この解凍方法は、一度加熱をして食品の酵素を失活させている食材にのみ、適した解凍法といえます。
【関連記事】常温保存可の調理品の解凍に! 自然解凍の方法と特徴

 

②流水解凍

食材を流水にさらして解凍する方法です。
食材を水に漬けると、食材の表面に熱伝導の高い水がまんべんなく接するため、食材に熱が伝わりやすく、解凍スピードが速くなります。
また、水を流し続けると、流速が加わることでさらに熱の伝達が早くなるため、貯めた水に漬け置くよりも解凍スピードが上がります。
 
この方法で解凍すると、食材の温度は流水の温度に速く近づくため、マイナス温度帯から約10℃~40℃の温度帯へと早いスピードで変化します。
そのため、氷結晶が大きくなる温度帯のマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯には長く留まりません。
 
一度加熱をしていて酵素が失活しており、氷結晶による組織へのダメージが気にかかる食材には適した解凍方法といえます。また、解凍スピードも速いので、急いでいるときには便利な解凍方法でしょう。
加熱前の食材については、表面部分に酵素反応が起こってしまうため、おすすめできません。特に夏場は水道水の水温が高くなるため、避けたほうがよいでしょう。
【関連記事】調理済食品の解凍に最適!流水解凍の方法と特徴

 

③冷蔵庫解凍

冷蔵庫内に食材を置いて解凍する方法です。
食材の温度は表面から順に冷凍のマイナス温度帯から、冷蔵庫内の温度である約マイナス1℃〜6℃の温度帯に向かってゆっくり変化します。
この場合、食材の中心部はマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯に長く留まりながら解凍されるため、氷結晶が大きくなることによって食材組織にダメージが発生してしまいやすくなります。
 
組織の粗いスポンジケーキなど、氷結晶が食品内で大きくなっても問題ない食品や、未加熱の食材の解凍には適した方法といえます。
【関連記事】解凍後の冷蔵が必要な冷凍品に! 冷蔵庫解凍の方法と特徴

 

④氷水解凍

食材を氷水に漬けこんで解凍する方法です。
食材を氷水に漬けると、食材の表面に液体がまんべんなく接するため、食材に熱が伝わりやすく、解凍スピードが速くなります。
また、氷水に漬け込むことで、食材の温度上昇を0℃前後にとどめ、酵素反応による食材の変化を防ぐことができます。
 
この方法で解凍すると、食材の温度は表面から順にマイナス温度帯から0℃前後に向かって速いスピードで変化します。その後、0℃に温度が到達すると、その温度に長く留まります。
 
このため、氷結晶が大きくなるマイナス5℃からマイナス1℃の温度帯を速く通過することができ、酵素反応が活発な約10℃~40℃の温度帯には到達しないため、食材の変化を最小限にとどめることができます。
 
生食する食材など食感が重視されるもので、組織へのダメージを避けたほうがよい食材の解凍に適した方法といえます。
【関連記事】生食用の冷凍品の解凍に最適! 氷水解凍の方法と特徴

 

⑤加熱調理・電子レンジ加熱

食材に高温の熱を与えて、解凍と調理を一度にしてしまう方法です。
高温で加熱するため、解凍スピードが速く、マイナス5℃~マイナス1℃、約10℃~40℃の温度帯を速いスピード通過するため、食材の変化が起こりにくいのが特徴です。
加熱をしても問題ない食材であれば、解凍を経ず、いきなり加熱を行うと食材の変化の影響を少なく抑えられるでしょう。
 
ただし、冷凍した食材が固まって塊になってしまっていたり、厚さがあって中心部に熱が伝わりづらかったりする場合は注意が必要です。
周囲ばかり加熱されてしまって焦げやすくなったり、中心部に熱が伝わらず生焼けになったり、中心部がゆっくりと温度変化したりすることで食材にダメージが発生しやすくなります。
 
その場合は、一度解凍を経るか、凍ったまま細かく刻むなどしてから、加熱調理を行いましょう。
 
また、電子レンジによる加熱も加熱調理と同様の効果が得られますが、モードの選択と加熱の方法に注意が必要です。
電子レンジを使う際には、解凍モードを使って一度解凍してから加熱するのではなく、一気に加熱モードで温めるようにしましょう。
 
電子レンジはマイクロ波で水分子を振動させてエネルギーを生成し、食材を溶かす仕組みになっています。凍っている水分子よりも液体になった水分子に振動が吸収されやすい性質があるため、先に溶けた箇所にマイクロ波が集中してしまい、解凍むらが発生しやすくなっています。
 
このことから、電子レンジで生の状態に解凍することは大変難しいことが分かります。
電子レンジで解凍は行わず、あくまで加熱用に使うようにしましょう。
【関連記事】加熱モードを使おう! 電子レンジ解凍の方法と特徴
【関連記事】冷凍食品を解凍しない⁈ 加熱調理で本格的な味を楽しもう!

 
 

食材に合った解凍方法を選ぼう

このように、解凍にはさまざまな方法があり、それぞれにメリットデメリットがあります。
食材をおいしく便利に食べるには、それぞれの解凍方法の特性と食材の性質を把握したうえで、適切な方法を選ぶ必要があります。
 
食材に適した解凍方法をよく理解したうえで、希望の調理法に最も合った解凍方法を選び、食材を便利においしく使えるようになりましょう。

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加熱するものは解凍せずにそのまま熱を通そう

冷凍した食品は、解凍せずに凍ったまま加熱すると解凍によるダメージを抑えた状態で調理できます。
加熱調理を行うと、食品の温度は高温の温度帯まで一気に上がるので、氷結晶が大きくなる最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃)や、食品の酵素反応が促進される常温温度帯(10~25℃)を速く通過させることができます。
 
加熱調理に使う食材などは、そのまま焼いたり煮たりすると上手く調理できます。
大きな冷凍素材を使う場合で、そのままでは火が通らないものについては半解凍を行って、細かく切り分けて調理に使うとよいでしょう。

 
 

バラ凍結されたものは加熱調理に便利

市販されている冷凍食品の中には、専用のIQF冷凍機を使って、食材を塊ではなくバラバラに冷凍したもの(バラ凍結品)が販売されています。
チャーハンやひき肉、ブロッコリー、いんげんなどさまざまなものがありますが、これらは気軽に必要なぶんだけ取り出し、炒めたり煮たりしやすいところが特徴です。
これらの冷凍食材を上手に活用して、調理の助けにしましょう。
 
ただし、バラ凍結された食品は袋の中に空間が多いので、乾燥と酸化に注意が必要です。バラ凍結されたものを購入した場合は、食品に霜がついてしまわないように適切な方法で保存するようにしましょう。
【関連記事】乾燥しているサイン!冷凍食品の霜・冷凍焼けを防ぐ方法
 
 

炭水化物の食品は加熱調理にぴったり

また、冷凍したものを加熱調理すると、できたての食感が再現され、おいしく食べられる食品もあります。
米、麺など炭水化物の食品は、長期保存をするために冷蔵庫などで低温保存をしていると、デンプンが老化し、食感がパサパサになってしまいます。そんな場合は、早めに冷凍庫に入れて保存すると、冷蔵庫保管よりもはるかに保存期間が伸びるうえ、再度加熱調理をすることで、デンプンが糊化し、まるでできたてのような食感が味わえます。
 
この特性を活かして、炭水化物の冷凍食品が数多く開発されて販売されており、人気を博しています。
加熱解凍が容易なうえ、本格的な味わいが再現しやすいため、今後も炭水化物の加熱用冷凍食品は増え続けていくでしょう。

 
 

ステーキ肉は凍ったまま焼こう!

厚さのあるステーキ肉などは、凍ったまま油を敷いたフライパンにのせ、蓋をして蒸し焼きにしましょう。
例えば、1.5cmの厚さのステーキの場合は、片面ずつ中火~強火で2.5分ほど焼いたあと、火を止めて2.5分ほど蒸らせば、中心部がミディアムレアの状態でうまく仕上げることができます。
 
鶏肉など身が厚すぎて表面が焦げることが心配であれば、味付けをしているものは流水解凍で、味付けをしていないものは氷水解凍で半解凍にしてから焼くと、食品へのダメージを抑えながら全体をうまく焼くことができます。

 
 

鍋物用の具材は凍ったまま鍋へ

鍋もの用の具材は凍ったまま鍋へ入れ、そのまま煮込めば解凍ダメージを受けることなく加熱できます。肉と肉が固まってダマになることが気になる場合は、加熱しやすいように平たく伸ばして冷凍するか、味がついているものは流水解凍で、味がついていないものは氷水解凍で半解凍し、バラバラにして入れるとよいでしょう。
野菜類の冷凍品は注意が必要です。冷凍前に加熱処理をしていないものは必ず凍ったまま使いましょう。鍋に入れる前に解凍してはなりません。大きすぎるものは半解凍した状態で切り分け、冷凍したまま煮込むようにしましょう。

 
 

加熱調理で解凍のダメージを抑え、簡単においしく冷凍品を楽しもう

加熱調理は、解凍時の酵素反応や氷結晶の粗大化を気にすることなく解凍ができる便利な調理法です。
解凍時に失敗が少ないため、餃子や麺類、肉、パンなど、多くの冷凍食品や冷凍品の通販では加熱調理が指定されています。
調理の際に一度解凍して素材に調理を加えたい場合は、流水解凍、氷水解凍、冷蔵庫解凍、自然解凍、電子レンジ解凍など、他の解凍方法と組み合わせることで、最もあった方法を模索してみましょう。
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また、加熱調理はホームフリージングした食材を解凍する際に最も失敗しづらい解凍方法でもあります。
余った食材や料理を加熱調理するだけの状態にして冷凍しておけば、食材をロスすることなく便利に活用できるようになるでしょう。

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加熱モードを使おう! 電子レンジ解凍の方法と特徴

電子レンジ解凍は、冷凍食品などを手軽に加熱して解凍できる方法です。方法は簡単ですが、電子レンジの特性から解凍むらができるなど、解凍時に注意すべきポイントがあります。この記事では、電子レンジ解凍の基本的な方法を解説すると共に、注意すべき点や、電子レンジ解凍に適している食材について説明していきます。

一気に加熱調理する「加熱モード」を使おう

電子レンジの加熱機能を使って、食品に熱を与えて解凍する電子レンジ解凍は、手軽に冷凍した食品を温められる便利な解凍法です。
一気に食品を加熱することができるため、最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃)の温度帯で氷結晶が大きくなることや、常温温度帯に食品が留まることによる衛生面での腐敗や食中毒リスク、酵素反応による食品の色や食感、臭いの発生を心配する必要はありません。
 
ここで重要なのが、電子レンジ解凍をする場合には「加熱モード」を使うことです。
電子レンジは水分子を振動させて熱エネルギーを生成する仕組みになっています。
水分があるところに振動が集中しやすい特性を持っているため、どうしても溶けた部分に振動が集中しやすく、解凍むらができやすくなってしまいます。
そのため、いったん生の状態に解凍するために「解凍モード」を使うと、解凍むらができた状態になってしまいます。
 
これを避けるためには、食品全体を強く加熱する用途に電子レンジを使うことで、食品全体に強い熱を与えて、加熱調理完了までを一気に行うとよいでしょう。

 
 

電子レンジ解凍の手順

凍った食品を電子レンジ解凍する際の手順は以下のとおりです。
解凍時間は食品の大きさや特性によって違います。既成の商品の場合は、商品に記載された出力と加熱時間に従って加熱しましょう。
 

①電子レンジに冷凍品を入れて加熱する

電子レンジに食品を入れて加熱します。
既成の商品ではない場合は、生の食品を加熱調理する際の1.5倍から2倍の時間でまずは加熱してみましょう。
 

②加熱状況を確認し、問題なければ解凍完了

電子レンジから取り出して、加熱状況を確認します。
まだ冷たい部分が残っている場合は、再加熱を行いましょう。
全体に熱が通っていれば解凍完了です。

 
 

手軽に加熱調理をしたい食品にぴったり

電子レンジ解凍は、手軽な加熱調理方法として人気の解凍方法です。
加熱して食べる食品であれば、基本的には電子レンジ加熱して問題ありませんが、卵など、冷凍していない状態で電子レンジ加熱を避けたほうがよいものは同様に避けましょう。

 
 

ほかの加熱方法も選択肢に入れつつ、上手に活用しよう

電子レンジは簡単で手軽に加熱を行える方法ですが、食品によってはおいしく食べるために、電子レンジ以外の加熱方法を行ったほうが良いものがあります。
冷凍食品のチャーハンや、グリルものの野菜や肉、冷凍パン、蒸し物などは、電子レンジ以外の調理方法が指定されていた場合は、フライパンやオーブン、蒸し器で加熱したほうがより本格的な味を楽しめるはずです。
 
求める調理水準に従って、どの加熱方法が適しているかを判断したうえで、電子レンジ解凍を上手に活用するようにしましょう。

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常温保存可の調理品の解凍に! 自然解凍の方法と特徴

自然解凍は、冷凍された食品を常温の環境に置いて解凍する方法です。最近ではお弁当のおかずとして自然解凍を推奨した冷凍食品も売られています。大変簡単で手軽な方法ですが、自然解凍をする際には、食品の調理状況や衛生面に気を付ける必要があります。この記事では、自然解凍の基本的な方法を解説すると共に、注意すべき点や、自然解凍に適している食材の状態について説明していきます。

常温の中でゆっくり解凍

常温の中でゆっくり解凍される自然解凍を行うと、食品の温度は常温の温度帯に向かってゆっくり変化していきます。
最初に溶ける食品の表面は、解凍中ずっと常温にさらされた状態になるため、自然解凍を行う食材は、常温保存が可能なものを選びましょう。

 
 

自然解凍の手順

凍った食品を自然解凍する際の手順は以下のとおりです。
解凍時間は食品の大きさや厚さにもよりますが、おおむね3~4時間程度はかかると見積もっておきましょう。
 

①凍った食品を常温に置く

凍った食品を常温の場所に出しておきます。
食品がむき出しの場合は、空気中の菌が付着したり、乾燥したりするおそれがあるため、ラップ等で周囲を覆うとよいでしょう。
 

②解凍状況を確認し、問題なければ解凍完了

3~4時間程度経ったら、解凍状況を確認します。
食品の中心部まで柔らかくなっていたら、解凍完了です。

 
 

適しているのは、加熱調理と衛生管理が行われた食品

自然解凍は常温の環境で解凍するため、解凍過程で食品の酵素が反応し、変色や臭いの変化、ドリップの発生が起こりやすくなっています。
そのため、一度加熱調理を行って酵素を失活させているか、調味液による味付けが行われて酵素反応が抑えられている食品が自然解凍に適しているといえます。
 
ただし、加熱済みのものでも、こんにゃく、豆腐、かまぼこ、寒天、ゼラチンなどのゲル状の食品は避けた方がよいでしょう。
自然解凍では、食品の温度が最大氷結晶生成帯(マイナス5〜マイナス1℃)に長くとどまるため、解凍過程で食品内の氷結晶が大きくなってしまいます。そのため食品に「す」が入ってスポンジ化しやすく、食感が悪くなってしまうことがあります。

 
 

生ものと衛生管理が不十分な食品は要注意

加えて、加熱をしていない生ものは、常温では腐敗してしまう可能性があります。腐敗したり菌が増殖したりした食品を食べると、食中毒が起こる可能性もあるので、加熱していない冷凍品を自然解凍することは避けましょう。
 
同様に、加熱をしていても冷凍するまでの衛生管理がずさんな場合は、自然解凍後にそのまま食べてしまうと危険です。冷凍をすると、食品内の微生物や菌は活動を止めるため長期保存ができるようになりますが、常温に戻すと再び活動を始めます。
常温解凍の最中に菌や微生物が増殖することで、食品が傷むこともありますので、衛生管理に自信がない場合は、解凍後に必ず加熱して食べるようにしましょう。

 
 

解凍だけでなく衛生管理が必要な自然解凍

お弁当のおかずや、調理の際に活用すれば便利な方法である自然解凍は、解凍工程だけでなく、衛生管理にも気を配る必要があります。
 
市販の自然解凍可の冷凍食品は、製造時に微生物が付着しないように徹底した衛生管理の下で生産が行われています。
家庭で調理した食品を冷凍する場合は、市販のものと比較するとどうしても微生物がつきやすく、自然解凍を行うと、加熱調理が済んだ食品といえども解凍後に傷みやすくなっている点には注意しましょう。
衛生面が不安な食品を自然解凍した場合は、後で加熱を行うなど食中毒の予防を常に意識して使う必要があります。
 
衛生面のリスクと手軽さのメリットをうまく調整して、日常生活に上手く自然解凍を取り入れられるようにしましょう。

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解凍後の冷蔵が必要な冷凍品に! 冷蔵庫解凍の方法と特徴

冷蔵庫解凍は、冷凍された食品を冷蔵庫に入れ、ゆっくり時間をかけて解凍する方法です。生スイーツやおせち料理など、冷蔵品の解凍によく使われます。ただし、ゆっくり解凍することによって解凍中に食品内の氷結晶が大きくなってしまうため、刺身など生食用の食品や、こんにゃくなど氷結晶が大きくなると食感が極端に落ちる食品の解凍には向きません。この記事では、冷蔵庫解凍の基本的な方法を解説すると共に、注意すべき点や、冷蔵庫解凍に適している食材の状態について説明していきます。

5〜10℃の温度帯に向かってゆっくり解凍

低温の環境でゆっくり解凍する冷蔵庫解凍では、食品の温度は5~10℃の温度帯に向かって徐々に変化します。
解凍に時間はかかりますが冷蔵庫に入れるだけで簡単に解凍でき、酵素反応により色の変化や臭いが出てしまう食品や、常温にさらすことで傷んでしまう食品を解凍するのに便利です。
水に漬けられない食品や加熱できない食品の解凍にも適しています。

 
 

冷蔵庫解凍の手順

凍った食品を冷蔵庫解凍する際の手順は以下のとおりです。
解凍時間は食品の大きさや厚さにもよりますが、おおむね半日から1日程度はかかると見積もっておきましょう。
 

①凍った食品を冷蔵庫に入れる

凍った食品を冷蔵庫に入れます。
食品はできるだけ重ねずに、バラバラに置くと解凍時間が短くなります。
 

②解凍状況を確認し、取り出す

薄いものであれば半日、厚いものであれば1日が経過したら、解凍状況を確認します。
食品の中心まで柔らかくなっていれば、解凍完了です。

 
 

ぴったりなのは常温保存できない材料が含まれた食品

簡単ですが解凍に時間がかかる冷蔵庫解凍に向いているのは、生クリームの塗られたケーキや、加熱していない食品が含まれているお弁当など、常温保存できない食品です。
 
解凍された後も、チルド温度帯で保存されているので、変色や傷みが起こりにくくなっています。

 
 

冷蔵庫解凍を避けるべき食品

冷蔵庫解凍はさまざまな食品を解凍することができますが、一部避けるべき食品もあります。
 
炭水化物が含まれた食品は、冷蔵庫解凍を行うとデンプンが老化し、パサパサになってしまうことがあります。
加熱してもよい具が入ったおにぎりや、いなり寿司、麺類、和菓子などの冷凍品は、解凍の際に加熱をするとデンプンが再度水分を吸収し、食感が良くなります。
ただし、商品によっては老化防止剤等の添加によって冷蔵庫で解凍してもパサパサにならないものもあります。解凍の際は、メーカー推奨の解凍方法を参考にするようにしましょう。
 
また、冷蔵庫解凍を行うと、食品の温度は最大氷結晶生成帯(マイナス5〜マイナス1℃)に長くとどまります。
この温度帯では、食品内にできた氷結晶が大きくなってしまうため、大きくなった氷結晶が食品の組織にダメージを与えたり、食品によっては氷結晶でできた穴がそのまま残ったりしてしまいます。
刺身など生食をする食品や、こんにゃく、豆腐、かまぼこ、寒天、ゼラチンなどのゲル状の食品は冷蔵庫解凍をすると、食感が悪くなることもあるので、避けたほうがいいでしょう。
(ゲル状の食品は含まれている成分により、冷蔵庫解凍でも問題ないものもあります)

 
 

冷蔵庫解凍とほかの解凍法をうまく使い分けよう

冷蔵庫解凍は大半の冷凍品を状態良く解凍できるため、多くの食品の解凍方法として指定されています。
多くの食材が詰められているおせちやお弁当の場合は、すべての食材を一度に、ベストではありませんが平均的に解凍できるので便利な方法といえるでしょう。
 
ただ、時間がかかってしまったり、一部の食材には適さない解凍法だったりとデメリットもあります。
解凍・調理の状況に沿ってほかの解凍方法とうまく使い分けることができると、デメリットを最小限に抑え、より便利に冷凍品が扱えるようになります。
冷蔵庫解凍が適切な食品は何かを見分けられるようにしましょう。

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生食用の冷凍品の解凍に最適! 氷水解凍の方法と特徴

氷水解凍は刺身用の魚介類や、馬刺し用の肉、店頭販売用の生肉・生魚などに適した解凍法です。本記事では、冷凍された食材を高い品質を保ったまま解凍できる氷水解凍の基本的な方法と解凍のポイントを説明していきます。

0℃近くの水で品質を保ちながらスピード解凍

氷水解凍は0℃近くの水で食品へのダメージを抑えながら、高い熱伝導がある水の力を活用して、冷蔵庫解凍よりも速く、食品を冷たい状態のまま溶かす方法です。
氷水解凍は特に生食用の食材を解凍する際に効果を発揮します。
その正しい方法と特性を知ることで、生食用の冷凍食材を適切においしく扱えるようになりましょう。

 
 

氷水解凍の手順

凍った食品を氷水解凍する際の手順は以下のとおりです。
解凍時間は食品の大きさや厚さにもよりますが、おおむね2~3時間を見積もっておきましょう。
 

①凍った食品を漬け込める大きさの容器に水を張り、氷を入れる

氷水解凍を行うには、食品にまんべんなく水をあてることが必要です。食品表面がすべて水に沈む程度の大きさの容器を用意しましょう。
水は氷を入れることで0℃前後の温度を保つようにします。
氷の量は水が冷たくなる程度で構いません。途中で氷が溶けてなくなりそうな場合は、足してください。
 

②冷凍状態の食品を氷水の中に沈める

食品を氷水の中に沈めます。食品の表面に袋の外から0℃近くの水が接することで、食品から熱を移動させ、解凍します。
こうすることで、0℃の空気中と比べて10倍以上の速さで解凍することができます。
 

③食品が浮いてくる場合は、皿などでおさえて沈むようにする

食品が氷水の上に浮かぶ場合は、皿などを食品の上に置いて必ず食品のすべての面が氷水に触れるようにしましょう。こうすることで解凍スピードが上がります。
また、袋に空気が入っていると浮いてきてしまうので、空気を抜くようにしましょう。
 

④食品の解凍具合を確かめ、氷水から取り出す

食品に少し芯が残る程度まで解凍できたら、氷水から取り出して調理します。
また、氷が水の中に残っている場合は、氷水の温度が0℃近辺で保たれているため、解凍してすぐ取り出すことができなかったとしても食品が変化してしまう心配はありません。

 
 

刺身用の魚など生食用食品に最適な解凍法

0℃近くの水で食品を解凍する氷水解凍は、鮮度や状態がおいしさに直結する生食用の食品に最適な解凍法です。
0℃近くの水が袋の外から食品に触れる状態で解凍をするため、解凍中の食品温度も0℃付近に留まります。また、熱伝導のよい水が食品にまんべんなく触れることで、食品の品温を早いスピードで0℃に近づけることができます。
 
氷水解凍を行うことで、食品の組織に発生している氷結晶が粗大化する最大氷結晶生成帯(マイナス5~マイナス1℃の温度帯)に留まる時間が短くて済み、食品表面の酵素反応が活発になる常温温度帯(約10~40℃)には達することなく解凍することができます。
 
繊細な舌触りが重視され、ドリップの発生を抑えなければならない生食用の食品において、解凍時の氷結晶の粗大化を抑えられる解凍法はぴったりといえるでしょう。
また、酵素反応を抑えることで、変色や臭いの発生を抑えることができるため、鮮度の良い生と変わらない状態に解凍することができます。

 
 

パウチされていない食品は、袋に入れ空気を抜いて氷水解凍を

冷凍された生食用の素材を解凍する際には、パウチされた食品であれば、そのまま氷水に漬けて解凍します。
 
また、刺身用のさくや塊肉などパウチをされていない商品については、冷凍のまま必要な量を切り分けて袋に入れ、空気を抜いて氷水に漬け込んで解凍しましょう。
 
魚や貝類が丸のまま冷凍されている場合は、そのまま袋などには入れず氷水に漬け込んでも構いません。
ただし、冷凍保存用に包丁が入れられ、内臓が取り除かれている場合などは、内臓部分に水が入り込み素材がふやけてしまうおそれがあるので、一度袋に入れて空気を抜いたうえで解凍しましょう。

 
 

パウチされた生食用の食品は、解凍にも保管にも適した冷凍品

パウチされた生食用の食品は、簡単に氷水解凍ができるため大変便利だといえるでしょう。
また、パウチ加工がされていることで、冷凍保存中の食品の乾燥を防ぐことができるため、食品の冷凍焼けを防ぎ、食品の品質を良い状態で保てます。
 
刺身用のさくや生肉の塊は、切り分ける際の扱いやすさのため、むき出しの状態で販売されてることが大半です。購入した後は冷凍用の袋に入れて空気を抜いて保存すると、乾燥による品質の劣化を防ぐことができるうえ、解凍の際に便利です。
 
消費者用にパッケージされた生食用の商品を販売する場合は、パウチ加工をしたうえで氷水解凍をするよう説明書きを添えれば、製造した時の品質を保ったままで食卓にのぼりやすくなるでしょう。

 
 

氷水解凍を活用して廃棄ロスを抑え、おいしく生食用の冷凍品を食べよう

氷水解凍は、繊細な生食用の素材を冷凍前と変わらない品質で解凍することができる方法です。この解凍方法を使うことができれば、足の速い生食用の食材のロスを抑え、長くおいしく楽しむことができます。
氷水解凍を活用することで、生食用の食材を便利に活用できるようにしましょう。

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風味や栄養価がそのまま残る!フリーズドライの仕組みと特徴

フリーズドライは食品を冷凍したうえで真空状態に置くことで、食品の水分を昇華させる加工方法です。水分が昇華するぶん長期保存ができ、水やお湯を加えると元の状態に戻りやすく、栄養や香りが残ることも特徴です。本記事では、フリーズドライの基本的な仕組みを説明するとともに、急速冷凍工程が必要なのか、冷凍とどんな違いがあるのかについても紹介していきます。

乾燥で食品の香りや栄養をそのまま残す製法

フリーズドライは、冷凍した食品を真空状態に置くことで、水分を昇華させて乾燥させます。
食品を軽量にして長期間保存できるうえ、水やお湯で簡単に復元できるので、粥、スープ、即席麺などさまざまな食品にフリーズドライの製法が使われています。
 
フリーズドライの特徴は、乾燥させるときに加熱をしないため、味や栄養素、香りをそのまま食品に残せることです。
そのため、加熱をすると香りが損なわれてしまうコーヒーや紅茶、緑茶などのインスタント製品の製造に適しています。
また、食品の水分を昇華させると、食品内の酵素や微生物の働きを抑制することができるため、添加物を加えることなく長期保存が可能となる点もメリットでしょう。
ただし、フリーズドライ加工を行って乾燥した場合でも、食品の酸化は進むため、空気への接触を抑えるための包装は行う必要があります。

 
 

フリーズドライ加工では急速冷凍をしてはいけない

フリーズドライ加工をするために、食品を真空機械の中に入れると、食品の周囲の気圧が下がり、低い温度でも水分が沸騰して気化します。
この際に、食品をあらかじめ凍らせておかなければ、食品の形が崩れてしまったり、液体の場合は飛び散ったりしてしまいます。そのため、食品を凍らせてから真空加工を行うのです。中に水分の塊である氷結晶を作った状態で真空加工を行います。
 
凍らせた食品を真空加工すると、最初に食品内にできた氷結晶の水分が昇華し、その後、食品内に残った氷結晶と氷結晶の間の水分が昇華していきます。そうすると、食品の成分に熱風をあてるなど、加熱することなく乾燥が行えるのです。
 
このような仕組みで食品の水分を昇華させるため、凍らせた食品内の氷結晶は大きければ大きいほど、水分が空気中に昇華しやすくなり、乾燥をスムーズに行うことができます。
そのため、食品を凍らせる際には緩慢冷凍を行うべきで、急速冷凍を行うべきではありません。
 
ただし、フリーズドライを行う対象の食品によっては、復元性を重視する場合に急速冷凍を行うことがあります。この場合はフリーズドライ加工段階で水分が昇華しづらく、乾燥が難しくなってしまう点に注意が必要です。

 
 

どんなものでもフリーズドライにできる

フリーズドライ食品は、食品を冷凍し、真空機械に入れて水分を昇華させれば作ることができるため、基本的にはどんな食品にも応用することができます。
 
たとえば、ウニをフリーズドライした場合は、水を加えれば、味の復元性がよく形もほぼ元に戻るため、ふりかけやお茶漬けの素の材料に用いられています。
ほかにもスイカなどの野菜やフルーツを丸のままフリーズドライにすると、元の形を保ったまま乾燥させることができます。ただし、この場合は水を加えても元の状態には戻りません。

 
 

フリーズドライは日常のさまざまな場面に応用されている

これまでに述べたように、フリーズドライにはさまざまなメリットがあることから、食品のフリーズドライ加工は日常生活に広く普及しています。
 

フリーズドライ製品のメリット

①冷凍し乾燥を行うことで、食品の形状の変化を少なく抑えることができる
②栄養成分や味の変化が少ない状態で保存できる
③氷結晶の水分が昇華した穴が残っており、水や熱湯が浸入しやすく復元しやすい
④水分がほとんど含まれていないため、軽く、輸送性がよい
⑤乾燥しているため、酵素や微生物の働きが抑えられ、長期保存ができる
 
長期保存ができる点を活かし、保存食として活用される点はもちろん、軽量で栄養素が豊富なうえ、手軽に元の状態に近づけることができる点から、宇宙食にも用いられています。
 
栄養価がそのまま維持でき、食感や風味を復元できることから、素材を裏ごししたうえでフリーズドライ加工した離乳食も多く発売されています。
 
食品以外では、血液の長距離輸送や生物の精子の保管等に関する研究にもフリーズドライの技術が活用されることがあります。
フリーズドライ加工を行うと、冷凍の場合に必要な低温保管施設が必要ないため、災害時など非常時にも保管できる技術として期待をされているのです。
 
このように、フリーズドライ加工は冷凍保存に比べて保存をする設備を必要としないため、保存性に優れた加工方法といえるでしょう。
 
「生」の状態をそのまま保存できる冷凍保存と、乾燥することで保存性を高めるフリーズドライは同じ冷凍工程を経る加工方法ですが、特徴が大きく違います。
 
長期保存を行う商品を製造する際にはその両者の特性をよく知ったうえで、適切な商品設計を行えるようにしましょう。

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高い?安い?急速冷凍機のランニングコストの目安

急速冷凍機を購入する際に気にすべきは、実際に生産を始めてからのランニングコストです。急速冷凍機は大量の電力を使うので、稼働してからどれほどのコストが発生するかを必ず確認するようにしましょう。本記事では、エアブラスト、ブライン、液体窒素冷凍機のランニングコストについて考えるうえでの、基本的な着眼点を紹介します。

エアブラストとブライン、どちらのランニングコストが安い?

エアブラスト冷凍機とブライン冷凍機のランニングコストを比べることは難しいことです。
なぜなら、メーカーの制作仕様によって用いている機材が違うため、電気出力等に違いが出てしまうため、一概に「こちらの方がランニングコストが安い」と言うことができないのです。
基本的には使用環境に沿ったランニングコストの目安について、メーカーの担当者から説明を受けることが必要でしょう。
 
その前提はありますが、ここでは、エアブラストとブラインの大まかな仕組みをもとに、ランニングコストの考え方を示し、比較していきます。

 
 

機種の違いよりも、冷やす食材の量や温度、速度が重要

実は、同じ温度設定で同程度の容量を冷凍できるエアブラスト冷凍機とブライン冷凍機では、電気使用量はさほど変わりません。
 
食品を冷凍する際の電力に影響するのは、食品から熱を奪う工程です。急速冷凍機に入れられる食品の量や温度がどれくらいか、その食品をどれくらいの速さで冷やすのかによって、庫内を冷やす力が変わり、それに応じて電力が消費されます。
 
エアブラスト冷凍機はブロアー(送風機)で風を送ることで庫内空気の循環を多く行わなければなりません。これには、ブライン液をゆっくり循環させるブライン冷凍機と比較して、電気を多く使用します。
ただし、ブライン冷凍機はブライン液を冷却する時間の電気が余分に必要になったり、アルコールを入れ替えたりするなどメンテナンスに必要な費用があります。エアブラストの電気代はそれと相殺される程度です。
 
ブライン冷凍機は連続使用しない場合、その度ごとにブライン液を冷却しなければならないため、電気を多く使用します。凍結と凍結のあいだに時間をおいて使用することを想定している場合は電気代に注意しましょう。

 
 

温度調節が可能な機種には注意

電気代の面で注意すべき点があるとすれば、温度調節が可能な冷凍機についてです。
エアブラスト冷凍機にはある程度温度設定を変えられるものがありますが、通常使う温度帯よりも低い温度設定があるものを購入する場合は注意が必要です。
エアブラスト冷凍機は、特定の温度帯の条件で冷凍サイクルの効率が最もよくなるように設計されています。そのため、その温度設定以外で使用すると機械に負荷がかかり、電気を多く使用してしまいます。
 
一般的に、温度調節機能がついている急速冷凍機は、さまざまな食品の冷凍テストなどに用いられるために製造されており、生産用としては使うことは想定されていません。
生産する商品の種類や品質が既に決まっている場合は、温度設定が一つのものを選ぶとよいでしょう。
 
ただし、機種によっては上記とは違う方法で温度調節を行っている場合があるので、温度調節機能付きの急速冷凍機を購入したい場合は、メーカーに詳細を確認してみることをおすすめします。

 
 

エアブラスト、ブライン冷凍機以外の急速冷凍機のコストは?

液体窒素冷凍機を食品の冷凍に使用する場合は、冷凍に使用する液体窒素のコストが、エアブラスト冷凍機やブライン冷凍機と比較して高価である点に注意が必要です。
 
バッチ式冷凍機を使った少量生産を行うと、コストが高くなりがちです。よほど品質にこだわる高級品でなければ、液体窒素を使った少量生産については、ランニングコストの面からはおすすめできません。
 
一方、トンネルフリーザー等を使って大量生産をするとコストが抑えられる傾向にあります。
液体窒素の価格のうち、大きな割合を占めるのが輸送費です。
そのため、大量に液体窒素を購入するとスケールメリットが働いて、購入コストを下げられる場合があるのです。

 
 

コストの基礎を知ったうえで、必要な事項をメーカーに確認しよう

急速冷凍機のランニングコストについては、上記のような基礎的な考え方で大まかに想像はできるものの、実際は急速冷凍機それぞれの仕様によりさまざまです。
 
購入を検討する際には、本記事で説明したような基本的な考え方を知ったうえで、電力消費やコストについて各メーカーがどのような対処を冷凍機に行っているかを確認していくべきでしょう。
 
ランニングコストが想定よりも発生すると、商品の原価が上がってしまい、せっかく購入した急速冷凍機が無駄になってしまうこともあります。
事前に確認をすることで、生産が始まってからの想定外のコストの発生を防止するようにしましょう。

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アルミホイルを使えば、家庭用冷蔵庫でも急速冷凍できる?

「アルミホイルを使うと家庭用冷蔵庫で急速冷凍ができる」とメディア等で発信されていることがありますが、本当でしょうか。答えは「できない」です。本記事では、アルミホイルを使っても急速冷凍ができない理由を説明するとともに、急速冷凍を行わなくても家庭用冷蔵庫で食材をおいしく冷凍・解凍できる方法を紹介します。

なぜアルミホイルを使った冷凍が推奨されているのか

近年、インターネットメディアを中心に、アルミホイルを使って冷凍すると急速冷凍ができると発信されています。
これは本当なのでしょうか。また、なぜ「アルミホイルを使うと急速冷凍できる」という主張がなされているのでしょうか。
  
さまざまな記事の内容を確認してみると、「アルミホイルは冷気が伝わりやすい、熱伝導率が高い」という理由から、急速冷凍ができると思われているようです。
 
確かに、金属は熱伝導がよい物質ではありますが、その点だけで急速冷凍ができるのでしょうか。
以下で検証していきます。

 
 

アルミホイルを巻くだけではかえって冷気が伝わらなくなる

アルミは金属なので熱伝導がよい物質ではありますが、冷凍庫内の冷気を食品に伝える助けになるのでしょうか。答えは「いいえ」です。
 
冷凍庫の冷気で食品から熱を奪うためには、直接冷気が食品に触れたほうが効果的です。
アルミホイルを巻いてしまうと、冷気と食品の接触の間にアルミホイルが入ることになってしまいます。いくら熱伝導のよい物質とはいえ、せっかくの冷気や風を妨げてしまうため、冷凍効率がかえって悪くなってしまいます。
 
金属が食品に触れて冷凍効率がよくなるのは、金属板の中にマイナス30℃程度の低温の不凍液を流し、金属の温度を下げたうえで食品に押しつけるなど、極端に金属を冷却した場合です。
この仕組みは、コンタクト冷凍機として業務用に開発されていますが、家庭で再現するのは難しいでしょう。
 
これらのことから、アルミホイルを使った急速冷凍は「できない」ことが分かります。

 
 

急速冷凍にこだわらなくても食品はおいしく冷凍できる

それでは、家庭用冷蔵庫では急速冷凍を行うことができず、食品をおいしく冷凍することはできないのでしょうか。
 
確かに、急速冷凍を行うと食品内にできる氷結晶を小さくすることができ、食品へのダメージを少なくすることができます。
しかし、氷結晶を小さくすることが重要な食品はさほど多くありません。
 
氷結晶による組織ダメージで「す」が入ってしまう豆腐やこんにゃく、寒天などの食材を除けば、急速冷凍をしなくても十分おいしく食べることができます。
 
むしろ、家庭で食材を冷凍する際に注意すべきは、食品を凍らせる速さではなく、食材の保存や解凍過程で失敗してしまうことです。
 
冷凍して保存している最中に、食材が乾燥してしまうと、冷凍焼けが起こったり、食感が悪くなってしまったりします。それを避けるためには、ラップ等で空気が入らないように密閉して冷凍しましょう。
これに加えて、塩や砂糖・調味液などで味を付けたり、液体に浸した状態で冷凍すると、乾燥による食品の変化を防ぐことができます。
【関連記事】乾燥しているサイン!冷凍食品の霜・冷凍焼けを防ぐ方法
 
また、食材を解凍する際には、自然解凍、冷蔵庫解凍、流水解凍、氷水解凍、加熱調理のなかから食材の性質や調理に合った解凍方法を選択し、解凍による食材の変化を抑えましょう。
【関連記事】速さと温度に注目 おいしく食べるための解凍のメカニズム
 
この2つの点に注意すれば、家庭用冷蔵庫で冷凍した食品についても、風味や食感をさほど損なうことなく、おいしく冷凍・解凍できるはずです。

 
アルミホイルなどを使った「急速冷凍」にこだわりすぎず、正しく冷凍を行うことで上手に食材を活用しましょう。

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調理済食品の解凍に最適!流水解凍の方法と特徴

流水解凍は解凍スピードが速く、便利な方法です。ただし、流水解凍によっておいしさが損なわれてしまう食品もあるため注意が必要です。 この記事では、流水解凍の基本的な方法を解説すると共に、注意すべき点や、流水解凍に適している食材の状態について説明していきます。

水とその流れの力でスピード解凍

食品を水とその流れの力で解凍する流水解凍は、簡単でスピーディーに食材を解凍できる方法です。
流水解凍の正しい方法と特性を知り、冷凍食材を便利においしく活用しましょう。

 
 

流水解凍の手順

凍った食品を流水解凍する際の手順は以下のとおりです。
食品の大きさや厚さにもよりますが、おおむね20~30分以内で解凍が完了します。
 

①凍った食品を漬け込める大きさの容器に水を張る

流水解凍の際には流れる水に食品をあてるだけでなく、容器に張った水に食品をすべて沈めることが必要です。
食品がすべて水に沈む程度の深さと広さのある容器を用意しましょう。
 

②食品を水の中に沈め、容器には水を流し込む

食品を水の中に沈めたうえで、その上から水を流し込むようにしましょう。流し込んだ水が容器の中の水を動かすことにより、熱伝達係数が上がり、解凍効率が上がります。
 

③食品が浮いてくる場合は、皿などでおさえて沈むようにする

食品が水の上に浮かぶ場合は、皿などを食品の上に置いて必ず食品のすべての面が水に触れるようにしましょう。こうすることで解凍スピードが上がります。
 

④食品の解凍具合を確かめ、水から取り出す

食品が包丁で切れる程度に半解凍出来たら、水を流すのをやめ、容器から取り出して調理します。完全に解凍が完了してから調理する必要はありません。
解凍が完了してからは、食材は常温の環境でどんどん変化していきます。状態がよいうちに早めに調理しましょう。

 
 

ぴったりなのは調理済み食品

簡単で早く解凍できる流水解凍に適しているのは、一度火通しや味付けがしてある調理済食品です。
 
流水解凍は常温温度帯(約10~40℃)の水に食品をさらして解凍するため、食品の酵素反応が活発になりやすい状態で解凍することになります。
水の温度が高いぶん解凍は早くなりますが、酵素反応により、水に触れている表面の部分から徐々に食品の色や食感が変わったり、臭いが生じたりするおそれがあります。
 
加熱をしていたり、塩分や糖分で味付けがされている食品であれば、食品内の酵素が加熱により失活していたり、味付けにより酵素反応が抑えられているため、酵素反応の心配がなく解凍することができます。
 
加熱済みの惣菜や、下味がついている半調理品、下茹でがされている冷凍野菜などは流水解凍をすることで、早くおいしく食べることができます。

 
 

パウチされていない食品は、袋に入れ空気を抜いて流水解凍を

冷凍された食品を流水解凍する際に、確認したいのが食品のパッケージの形状です。
パウチをされている食品は、パッケージと食品の間に空気が入っておらず、水に沈めれば熱伝導のよい水と食品が密着することで効率よく解凍できます。
 
一方、食品が空隙のある袋に入っていたり、水がパッケージ内に入り込んだりするような商品はそのままでは流水解凍には適していません。
空隙がある状態では食品と水が接しないため、熱の伝わる効率が悪くなります。また、パッケージに水が入るような状態では、水と食品が直接接してしまって食品がふやけるおそれがあります。
これらを流水解凍するためには、一度元のパッケージから取り出し、袋に入れて中の空気を抜き、封をしたうえで水の中に漬け込みましょう。
 
また、下茹でをされている野菜の冷凍品などは、水に触れて問題ないものであれば、袋に入れずそのまま水の中に漬けて解凍しても問題ありません。

 
 

パウチされている冷凍調理品は使い勝手がよい商品

現在ではさまざまな冷凍品が通販などで販売されていますが、その中でもパウチ加工して流通しているものは、乾燥を防ぐことができ保存中の品質を高く保ちやすく、解凍も早くできるため、便利な商品といえるでしょう。
 
冷凍品を購入する際には、その食品を使う際に便利な形状をしているかチェックをするとよいでしょう。
また、冷凍した商品を設計する際には、消費者や顧客の解凍・調理時の便利さも考慮に入れてパッケージを考えると利便性が高まります。

 
 

流水解凍を活用して便利においしく冷凍品を食べよう

流水解凍は、解凍する食品に注意すれば速く解凍することができる便利な方法です。お取り寄せの食品など、調理加工がされている食品はほぼこの方法で解凍をすることができます。
上手く活用して日々の暮らしにぜひ冷凍品を取り入れましょう。

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