家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫、急速冷凍機はどう違う?

家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫(ストッカー)、急速冷凍機(フリーザー)は食品の冷凍に欠かせない存在ですが、それぞれどんな違いがあり、どんなことができるのでしょうか?一般的には、家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫は「保存」のため、急速冷凍機は冷凍品の「製造」のために使います。本記事ではホームフリージング、長期間の冷凍保存、品質の高い冷凍品になる急速冷凍の観点からそれぞれの特性と違い、正しい使い方について紹介していきます。

家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫(ストッカー)は冷凍品の保存に使うもの

家庭用冷凍庫、業務用冷凍庫、急速冷凍機のうち、家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫は冷凍品を保存するために使います。
 
家庭用冷凍庫は約マイナス18℃の環境で、食品を保存するために使われます。あくまでも家庭での日常使いのために作られたものなので、容量は小さく、温度設定を調整できるものは限られています。
 
業務用冷凍庫(ストッカー)はマイナス20℃のものからマイナス80℃のもの、もっと低い温度に設定ができるものなど、さまざまです。容量も厨房やキッチンの隅に置ける省スペースのものから、倉庫全体が冷凍庫になっているものまで多様です。
冷凍品を扱う企業は、保存する食品の特性と物量に合わせて温度設定や容量を選択し、食品の保存庫として活用しています。

 
 

冷凍庫では「冷凍」できても「急速冷凍」はできない

冷凍庫内に食品を入れておけば、冷凍された状態になりますが、冷たい空気のなかでじっくり食品が冷やされて凍っていくため、凍るスピードは大変ゆっくりです。この状態で食品が冷凍されることを「緩慢冷凍(緩慢凍結)」と呼びます。
 
緩慢冷凍になった食品の内部では水分がゆっくり凍るため、食品内にできる氷結晶が大きくなってしまい、食品の組織はダメージを受けてしまいます。そのため、高品質な冷凍品を製造するためには不向きといえるでしょう。
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一般社団法人日本冷凍食品協会は、「冷凍食品」の要件の一つとして、食品の品温が30分以内にマイナス5~マイナス1℃の温度帯を通過する「急速凍結」、つまり「急速冷凍」をすることを定めています。
この基準から考えれば、家庭用冷凍庫や業務用冷凍庫で冷凍した食品は「冷凍食品」に当てはまりません。
薄い食品に限って、この基準に当てはまることがありますが、食品の形状が限定されます。

 
 

業務用の超低温冷凍庫は、品質を高く保存するために使われる

それでは、マイナス30〜80℃など、超低温の業務用冷凍庫は、「急速凍結」のためではないのならば、何の目的で使われるのでしょうか。
 
超低温冷凍庫は、主に特定の食品の品質を高く保ったまま保存するために使われています。
冷凍した食品は、食品の温度が下がることによって微生物の増殖と化学変化が抑えられた状態になるので、腐ることはありません。
しかし、家庭用冷凍庫など高い温度で長期間保管を行うと、色や匂い、味が変化してしまうことがあります。
業務用の超低温冷凍庫は低温で保管することで、この食品の変化を防いでいるのです。
 
食品を保管する温度が低温になればなるほど、食品のあらゆる変化が止まり、乾燥、食品の色の変化、酸化などさまざまな食品の劣化を防ぐことができます。
また、低温で保存すれば、冷凍庫の扉の開け閉めなどによる冷凍庫内の温度変化を抑えることができるため、品質に注意が必要で長期間の保存が必要な食品には、低温の業務用冷凍庫が使われます。
 
例えば、マグロはマイナス40℃以上の環境で保存すると、その組織内のミオグロビンが酸化して身が黒っぽくなってしまいます(これを「メト化」と呼びます)。このため、マイナス40℃以下の業務用冷凍庫で保存する必要があります。
一般的に、マグロはメト化防止と保存中の品質保持のためにマイナス50℃以下の環境で保存されます。この環境では、長期間保存したとしてもマグロの品質にほとんど変化がなくなります。このため、低温下で保存されるマグロは1年以上の保存期間を見込んで冷凍庫に入れられ、必要に応じて順次出荷されることが一般的です。

 
 

急速冷凍は急速冷凍機でしか行えない

食品の品質を高く保って冷凍する「急速冷凍」を行うには、「緩慢凍結」しかできない家庭用冷凍庫や業務用冷凍庫では不十分です。
 
食品の品温を速く下げるには、冷凍庫内の空気を冷却するだけでなく、食品の熱を外部に移すための熱伝達係数を上げる必要があります。
熱伝達係数を上げる方法として代表的なものは、風を吹き付けること、液体の流れを発生させること、金属へ接触させることなどです。
 
急速冷凍機は、冷凍庫内の温度を下げるだけでなく、熱伝達係数を上げることができる風や液体の流れ、金属への接触などの機能を併せ持つことで、急速に食品から熱を奪うことができる仕組みになっています。

 
 

正しく活用することで品質を高く保とう

家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫、急速冷凍機はこのように、それぞれ用途に合わせた機能を持っています。
それぞれの特性を把握したうえで、正しく活用することで冷凍した食品を品質が高い状態で使えるようにしましょう。
 
家庭用冷凍庫を保存庫として使う場合は、長期間の保存は避け、1か月程度で食品を使い切るようにしましょう。ホームフリージングを行う場合は、急速冷凍ができないことを前提として、冷凍ダメージに強い食品に対して適切な処理をしたうえで冷凍を行いましょう。
 
業務用冷凍庫を保存庫として使う場合は、短期間の保存に使う場合は高めの温度の冷凍庫でも問題ありませんが、長期間の保存に使う場合は低めの温度の冷凍庫を選ぶべきです。
冷凍庫からの食品の出し入れが多い場合は、冷凍庫内の温度が上がりやすいため、目安より低い温度設定の冷凍庫を使ったほうがよいでしょう。
また、マグロのように一定の温度以下でなければ保存中に食品の価値が大幅に下がってしまう変化が起こる食品については、温度設定に気を配る必要があります。
 
急速冷凍機は、食品の温度を速く下げるために特化した機械です。食品を冷凍するために冷凍庫よりも大きな電力を必要とするため、常時保管のために使うことには不適切です。あくまで食品を冷凍するためだけに使い、急速冷凍が完了したら、適切な温度設定の冷凍庫に食品を移して保存しましょう。

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家庭用冷凍庫での急速冷凍は難しい

「急速凍結」が冷凍品の品質の高さをアピールするキャッチコピーとして使われることが増えてきました。
確かに、食品を急速凍結すると、食品内にできる氷結晶を小さくすることができ、冷凍によるダメージを少なく抑えることができます。
 
この急速冷凍は一般的には専用の冷凍機(急速冷凍機・急速凍結機)を使って行われていますが、家庭用の冷凍庫でも工夫次第で再現することはできるのでしょうか。
 
残念ながら、答えは「できない」です。
 
ここからは、なぜ家庭用冷凍庫では急速冷凍が行えないのかを説明していきます。

 
 

家庭用の冷凍庫では「30分以内に品温がマイナス5℃以下」にならない

まず、急速冷凍の定義について確認しましょう。
 
急速冷凍は、食品の品温が30分以内にマイナス5℃~マイナス1℃の温度帯(最大氷結晶生成帯)を通過することを指します。
 
おおまかに判断するならば、30分以内で品温がマイナス5℃以下になることを目安に急速冷凍ができたか否かを判断するとよいでしょう。家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は一般的にマイナス20℃前後に設定されていますが、この温度では食品がマイナス5℃にするために数時間かかってしまいます。
 
この数時間を30分以内に縮めるのは少しの工夫では難しいため、家庭用冷蔵庫の温度帯では急速凍結をすることはまず難しいと考えたほうがよいでしょう。

 
 

金属板を敷いたり、アルミホイルで巻いたりしても難しい

食品を急速冷凍する方法として金属板を敷いたり、アルミホイルで食品を巻いたりする方法がメディアで紹介されることがありますが、効果は薄いと考えたほうがよいでしょう。
 
金属板は確かに熱の伝達性がよく、食品と金属板が触れ合うことで食品から熱を奪いやすくなります。しかし、鉄板を敷いた場合は、食品の下部にしか金属が触れていないため、食品の全体から多くの熱を奪うことができません。加えて、金属板自体を冷やす温度も冷凍庫内のマイナス20℃前後と高い温度ですので、冷却スピードもあまり速くありません。
 
急速冷凍に特化した金属を活用した冷凍機(コンタクト冷凍機)の場合は、金属板のなかにマイナス40℃からマイナス30℃の不凍液を流し、食品を押しつぶすことで冷凍します。
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密着性が低い、金属板の温度が高い、金属板の冷却力が弱いという3点の理由から、冷凍室の中に金属板を敷くだけでは「急速冷凍」は難しいことがわかります。
 
アルミホイルで巻くと、食品に金属が触れやすくなりますが、金属が薄いうえ、密着性も悪く、アルミホイルを冷却する周囲の温度も高いので、金属板を敷くことと同様に「急速冷凍」をすることは難しいでしょう。

 
 

急速冷凍にはマイナス30℃以下の低温とプラスアルファが必要

食品を急速冷凍するには、マイナス30℃以下の空気や液体の中に食品を入れ、風や液体の流れ、金属板との接触などプラスアルファの要素により、食品の熱伝達を上げることが必要です。
 
家庭用冷蔵庫に上記のような機能を搭載することは、理論的には可能ですが、低温にするために電気代がかさんだり、風や液体、金属板などの機能を加えることでスペースが制限されたり使いにくくなってしまったりと、現実的ではありません。
 
家庭用冷蔵庫はあくまで冷凍された食品の保存用だと考えるのが適当でしょう。
また、ホームフリージングを行う場合は、急速冷凍ができないことを前提として、ゆっくり凍らせる「緩慢冷凍」でも問題のない素材や冷凍方法を使って上手に冷凍を活用できるようにしましょう。

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冷凍庫内の空気を冷やすストッカー

冷凍ストッカーは冷凍庫内の空気を冷やす機能を持っています。空気全体の温度を下げることで、庫内の食品の温度を下げた状態に保つための機械です。
 
冷凍ストッカーの中に食品を入れると、冷たい空気に合わせて食品の温度も下がり、最終的に冷凍状態になりますが、その冷凍スピードは遅く、急速冷凍はできません。
 
冷凍ストッカーは機種ごとに温度設定がなされており、多くのものは家庭用冷凍庫と同じマイナス20℃前後に設定されています。
低い温度設定のものは、マイナス80℃からマイナス30℃までさまざまで、一つの冷凍ストッカーで温度を変えられるものもあります。
 
冷凍品は、それぞれの特性や維持すべき品質によって冷凍保管の最適温度が違います。マイナス20℃以下の冷凍ストッカーはその目的に合わせて温度を選択し、使い分けられているのです。

 
 

風や液体で食品の熱を奪う冷凍機

冷凍機は冷凍庫内に入った食品に超低温の風や液体、金属をあてることで、食品から熱を奪う機能を持っています。食品の熱を奪いやすい冷気や液体を食品にあてることで、速く食品から熱を奪い、品温を下げる機能に特化した機械です。
 
エアブラスト冷凍機と呼ばれる機種は、低温の冷風を食品に吹き付けることで熱を奪います。ブライン冷凍機と呼ばれる機種は、ブライン水槽内の液体に食品を漬けることで熱を奪います。
コンタクト冷凍機と呼ばれる機種は、食品に冷やした金属板を押し付けることで熱を奪います。液化ガス冷凍機と呼ばれる機種は、超低温の液体窒素や液化炭酸ガスを食品に吹きかけることで熱を奪います。
 
それぞれ、低温の環境を作るだけでなく、風、液体と流速、金属など、熱伝導率のよいものを食品に接触させ、急速に食品から熱を奪って凍結するための工夫がなされています。
 
そのぶん、機械を起動するために大きな電力を必要とするため、常時起動させて冷凍保管をすることには向いていません。あくまで食品を急速冷凍するために使います。

 
 

正しい使い方は、冷凍機で急速冷凍してから冷凍ストッカーで保存

ここまで説明してきたように、冷凍ストッカーと冷凍機は、それぞれ使う場面が違います。
それぞれの機能に応じて使い分けましょう。
 
食品を急速冷凍したうえで冷凍保管したい場合は、冷凍機で急速冷凍したうえで、冷凍ストッカーに移し替え、冷凍保管するというのが正しい順序です。
冷凍機と冷凍ストッカーは冷凍方法や温度設定によってさまざまな機種がありますが、食品の特性に合ったものを選びましょう。
 
たとえば、舌触りがなめらかな高級アイスクリームを製造する場合は、アイスクリーム内にできる氷結晶を小さくする必要があるため、超低温のエアブラスト冷凍機もしくは液化ガス冷凍機を使って急速冷凍を行います。
また、冷凍時に小さくした氷結晶は高い温度で保管すると保管中に大きくなってしまうため、マイナス25℃以下の冷凍ストッカーで保管されます。冷凍ストッカーは開け閉めなどにより温度が上がってしまうことが多いため、基準より低い温度設定のものを選ぶのが通常です。

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液化ガス冷凍機

超低温の気体を吹き付けて食品を冷凍

液化窒素や液化炭酸ガスなど、超低温で沸騰し気体となった液化ガスを食品に吹きつけ、冷凍する冷凍機です。
液化窒素の場合はマイナス196℃、液化炭酸ガスの場合はマイナス78.5 ℃、液化窒素の場合はマイナス196℃の気体を食品に吹き付けることで、食品を超急速で冷凍することができ、冷凍した食品の組織内に発生する氷結晶を微細にすることで、食品へのダメージを最小限に抑えることができます。

 
 

冷媒が必要なく、構造が簡単

液化ガスを使った冷凍機は、空気を冷やすための冷媒や熱交換器が必要なく、シンプルな構造をしているものが大半です。そのため、故障が少なく、コンパクトな設計にすることができ、洗浄も簡単にできる点がメリットです。
 
一方で、液化窒素や液化炭酸ガスを扱う際に事故が起こらないように気を配る必要があります。液体を補充する際に人体に触れて凍傷が起こらないように注意したり、窒素ガスによる酸欠を防いだり、爆発につながらないように取り扱いルールを定めなければなりません。

 
 

品質は高く保てるものの、ランニングコストには注意を

超低温で冷凍できる液化ガスを使用すると、食品への組織ダメージを最小限にとどめ、品質の高い冷凍品が生産できる点は大きな魅力といえます。また、超急速で冷凍できるので、短時間で大量生産できる点もメリットといえるでしょう。
 
しかし、液化ガス冷凍は、エアブラスト冷凍機やブライン冷凍機と比較してランニングコストがかかります。そのため、液化ガス冷凍は高級食品の冷凍や、大規模生産工場で大量の食品をスピーディーに冷凍する必要がある場合、季節ものなど生産負荷にばらつきがあり、短期間で大量の食品を冷凍する必要がある場合に用いられることが一般的です。
 
商品の最終価格や生産性の向上にランニングコストが見合うかを試算したうえで、導入を検討する必要があります。

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コンタクト冷凍機

金属の冷却板で食品を挟み込んで急速冷凍するコンタクト冷凍機の仕組みと特性について紹介します。金属板で食品を挟む込むメリットとデメリット、向いている食材、向いていない食材について説明。

食品を金属で挟みこむタイプの冷凍機

金属製の冷却板(フラットタンク)の内部にマイナス40~マイナス30℃の冷却物質を流し、その金属板で食品を挟み込んで冷凍する方法です。
 
食品を挟み込む際には冷却板による食品の加圧が行われます。これは食品と冷却板との密着性を高めて熱伝達を上げるためと、食品の成形を行うためです。
そのため、ある程度食品を押しつぶしても問題ない食肉やすり身の冷凍に用いられます。

 
 

加圧しても問題ない食品にのみ使える冷凍機

コンタクト冷凍機は熱伝導率の高い金属性の冷却板で挟み込むうえ、加圧で食品と冷却版がぴったり密着するので、効率よく冷凍が行えます。
 
しかし、加圧を行うという特性から、食材が限定されてしまいます。
コンタクト冷凍機を導入する際には、製造する食品の製造ラインや製造量がコンタクト冷凍機に適しているかを検討しましょう。
 
スライスした食肉やすり身を大量に冷凍し商品を製造する場合などは、冷凍と成形が同時にできるため、便利な冷凍機といえます。

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ブライン冷凍機

アルコールや塩水などの液体に食品を漬け込むことで急速冷凍するブライン冷凍機の仕組みと特性について説明します。ブライン冷凍機に向いている食材、向いていない食材、ブライン冷凍を行うために必要な資材などについても解説しています。

液体で効率よく熱を奪う冷凍機

ブライン水槽内でアルコールや塩水などの不凍液(凍らない液体)を冷却し、そのなかに食品を漬け込んで冷凍する凍結機です。液体冷却とも呼ばれます。
不凍液をマイナス30℃程度まで冷却して使用することが多く、食品の周囲に液体が密着するため冷凍効率がよい点が特徴です。
 
食品を漬け込む際には、パウチ等で液体が直接食品に触れないように加工することが一般的ですが、食品に液体が直接触れてもいい場合はパウチ等をしない状態で漬け込むこともあります。
カツオ漁船などでは、搭載されている大型のブライン冷凍機に生きたままのカツオを入れて急速凍結することもあります。

 
 

冷凍する食品がパウチできるかどうかで判断を

ブライン冷凍機が適しているかどうかを判断するうえで基準となるのが、冷凍したい食品がパウチ加工できるかどうかです。
袋に詰めて密閉しただけでは、食品とパッケージの間に空気が入ってしまい、冷凍効率が悪くなってしまうため、ブライン冷凍機を使う場合には、必ずパウチによる脱気処理を行うことが必要です。
パウチによって形状が変わったり潰れてしまったりするおそれがある生ケーキなどはブライン冷凍機による凍結に向いていません。
また、形状が複雑でパウチした際に袋の中に空気が残ってしまいやすいもの、袋が破れてしまうもの、パウチにより食感が悪くなったりするおそれのあるものも適さないといえるでしょう。

 
 

同時にアルコールやパウチ機の購入が必要

ブライン冷凍機を使うにあたって必要なのがアルコールや塩水などの不凍液とパウチ機・パウチ資材の購入です。
不凍液は食材の出し入れや蒸発により少しずつ減っていきますので、定期的に補充することが必要です。
また、食材を直接ブラインに触れさせないためのパウチ機も冷凍を行う際には必要なので、食材の大きさにあったパウチ機とパウチ資材を購入し、準備しておくようにしましょう。

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エアブラスト冷凍機

最もポピュラーな急速冷凍機といえるエアブラスト冷凍機の仕組みと特性、種類について紹介します。バッチ式、トンネル、スパイラル、IQFなど各種のエアブラスト冷凍機の冷凍方法やメリットデメリットを作業効率や生産量、清掃・管理の手間などから比較しました。

最もポピュラーな冷凍機

冷たい空気を冷凍庫内に送風し、食品を凍らせる冷凍機です。気体冷却とも呼ばれ、冷凍機のなかでは最もポピュラーです。
冷凍庫内の空気はマイナス40~マイナス20℃の温度帯に設定されていることが大半です。冷やした空気をあてるだけでさまざまな食品を冷凍できるため、万能フリーザーとも呼ばれます。

 

用途に合わせた4種から選択

エブラスト冷凍機は生産規模や用途に沿った4種が存在します。食品の生産量や設備を設置できるスペース、凍結する食材を考慮したうえで適切なものを選びましょう。

 

バッチ式フリーザー

冷凍庫や冷凍室に冷たい空気を送り込み、風と冷気により食品の温度を下げるタイプです。
食品を並べたパン(トレー)をあらかじめ設置されたラックに入れたり、食品を積んだカートを冷凍室内に運び込んだりして、そこに冷気を吹き付けます。

構造がシンプルで扱いやすく、小型のものから大型のものまで商品化されています。

一方で、商品を冷凍する工程で出し入れ作業が必要になるため、連続生産や大量生産にはやや不向きです。出し入れの際に時間や手間がかかることや、出し入れする際の待ち時間のあいだに食品の乾燥が起こりやすいことなどには注意が必要です。製造や商品管理の面で問題が発生しないか、導入前に検証しましょう。

 

トンネルフリーザー

トンネル状の冷凍庫内に風と冷気を送り込み、ベルトコンベアーで庫内を通る食品の温度を下げるタイプです。
ベルトコンベアー全体に冷風を吹き付けるものや、ベルトコンベアーで運ばれてくる食品に直接強い冷気を吹き付けられるようにノズルがついたものなど送風方法はさまざまです。

ベルトコンベアーを使用するため、扱いや洗浄がやや煩雑で、大きなスペースが必要ですが、そのぶん人的労力をさほどかけずに大量に食品を冷凍することが可能です。

ベルトコンベアーはスチール板のものとメッシュのものがあり、生産する食品の特性にあわせて選択します。

メーカーによってさまざまな商品が開発されていますが、その多くは実際の工場の寸法に合わせて調整をする半オーダーメイド製品です。

 

スパイラルフリーザー

大型の冷凍庫内にコンベアーをらせん状に設置することで、設置面積を小さくしたうえで連続して冷凍品を生産するタイプのエアブラスト冷凍機です。冷凍庫内全体に風と冷気を送り込み、コンベアーに乗った食品の温度を下げます。

少ないスペースで大量の商品を製造できる点が魅力ですが、ベルトコンベアーのラインが複雑になっているため、メンテナンスや洗浄に手間がかかる点には留意が必要です。メンテナンスのしやすさや衛生面の確保については、メーカーが工夫をこらしている点でもあるので、それぞれの特徴を比較しましょう。

また、トンネルフリーザーに比べ価格が高いものがほとんどですので、限られたスペースで大量生産の需要に応えなければならない大工場に設置されることが多い機種です。

 

IQFフリーザー

カットされた野菜や果物、エビや貝類などの細かな魚介類、ミンチ肉などに、下から冷風を噴き上げたりすることで、食品を躍らせ、バラバラにした状態で食品の温度を下げるエアブラスト冷凍機です。
コンベアーを振動させて食品を躍らせて冷凍するタイプや、下からの冷風とコンベアーの振動の両方を活用するタイプもあります。

IQFフリーザーはコンベアーを使うため、その多くがトンネルフリーザーです。

 
 
 

メーカー別急速冷凍機 (エアブラスト冷凍機)

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冷凍技術についての相談前に準備してほしいこと

冷凍技術を活かして新しい事業を始めたいと思ったとき。自社の商品を冷凍して新しい販路を開拓したり、商品の付加価値を上げたりしたいとき。何を事前に準備したうえで専門家に相談するべきでしょうか。本記事では冷凍食品メーカーや生産者から日々相談を受けている冷凍学のエキスパート、東京海洋大学教授・鈴木徹氏に、専門家から効果的なアドバイスを受けるための情報収集や依頼内容の整理方法について伺いました。

結果がでる依頼、途中で断ち消えになってしまう依頼

食品の生産者や食品メーカーの皆さんの冷凍技術への期待は大きく、私のもとには日々さまざまな依頼が寄せられます。
その依頼のなかには、少しのアドバイスであっという間に結論にたどり着き、大きな成果が得られるものと、何度打ち合わせをしても次の段階が見えず、途中で断念したり、数年かかっても結果がでなかったりするものがあります。
 
あくまで所感ではありますが、本記事では専門家に相談をしたいと思っている方が早く成果を得るために、相談の前にやっておくとよい作業について紹介していきます。

 
 

思いついたアイデアの類似商品を探す

私に相談をされる方の多くは、普段の業務で得た発見やアイデアをもとに「これは冷凍できますか?」とおっしゃる方が大半です。
 
しかし、お話を伺ってみるとすでに類似商品がたくさんあったり、類似商品はあるものの普及していなかったりして、開発の手前の段階で何かしらの問題を抱えるアイデアも少なくありません。
 
こうなってしまうと、一度案件をお返しし、一度調査をしてアイデアや企画の実現性を再度検討していただくことになります。一部のご相談はこの段階で断ち消えになることもあり、せっかく足を運んでいただいたことが申し訳なく感じることもあります。
 
ぜひアイデアを思いつかれたら、インターネットなどで類似商品がないか探してみましょう。また、スーパー等に商品がない場合も、業務用の商品であれば豊富に揃っていることもあります。業務用のものしかない商品は何らかの理由であまり市販されていないことが多いので、その理由を検証してみると、商品開発後の展望も立てやすくなります。

 
 

設備があれば試作してみる

本格的な生産設備をお持ちであれば、一度試作してみるとよいでしょう。その中でうまくいった点、うまくいかなかった点を整理していただき、どうしたいかを伝えていただければ、答えを出すのは比較的簡単になります。
 
違う冷凍機を購入すれば対応できるのか、もしくは新たに冷凍機を開発することが必要なのかをお伝えしたうえで、冷凍機購入や開発のための予算繰りが可能かどうかを検討していただく段階に入ることができます。
 
また、試作品を作る設備をお持ちでない場合は、急速冷凍機など本格的な設備を備えたテストキッチンを提供しているサービスもありますので、そこを借りて試作してみてもよいでしょう。

 
 

技術上の課題が明確であればあるほど対応しやすい

私の専門分野は冷凍における技術上の課題の解決です。そのため、問題が個別的・具体的に絞り込まれたものであればあるほどゴールは近くなります。
 
たとえば、すでに生産している商品の乾燥を防止する方法についてのご相談や、生産した商品の品質の変化を防止する方法についてのご相談、製造中に起こった問題についての原因究明や分析であれば、具体的な問題点が目の前にあるので非常に対応しやすいといえます。
 
これらの場合は、解決に時間と手間がかかるものであれば共同研究を行ったり、すぐに答えがでる簡単なものであればその場で対応したりするなど、その後のプロセスも明確です。
 
もちろん、生産者や食品メーカーの皆さんの悩みはすべて具体的なものばかりではないでしょう。
「まずは何をすればよいかわからない」「現状の整理についても何を基準にすればよいかわからない」という場合は、今起こっている問題についてできるだけ詳細にメモをしてきてください。
情報が多ければ多いほど、アドバイスへの糸口が見つかりやすくなります。
 
専門家の持つ知恵と現場での情報をもとに、できる限り早く具体的な解決策を見出し、結果を得られるようにしましょう。

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新しい加工で商品価値をアップ! 半割冷凍マンゴーの開発事例

ある食材の冷凍・解凍がうまくいかなかった場合には、チルドや常温での加工とは発想を変えた加工を行うとうまくいく場合があります。本記事では、東京海洋大学教授・鈴木徹氏に開発に携わった半割冷凍マンゴーの事例をご紹介いただきながら、冷凍に適した新しい加工方法を考えるプロセスを解説していただきます。

冷凍技術を使って付加価値の高い商品をつくる

「ある食材の加工食品をより高い価値で販売したい」。この願いは生産者・食品加工業者の皆さんに共通するものでしょう。実際に私の元にも、「冷凍を通じて付加価値を高められないか」というご相談が多く寄せられます。
 
この記事では、私が携わった半割冷凍マンゴーの開発事例を通じて、冷凍技術を活用した商品の付加価値を開発するプロセスを紹介していきたいと思います。

 
 

どこがゴール?まずは目的を整理する

まずは、なぜマンゴーの商品開発を手掛けたかについて説明しましょう。
 
国産マンゴーは贈答品として比較的高い価格で取引されており、完全に熟するまで収穫を待って出荷する「完熟マンゴー」にすることで、さらに価値が上がるフルーツです。
しかし、完熟状態になってからは日持ちがしないというデメリットがあるため、冷凍技術を活かして完熟マンゴーの流通を促進したり、廃棄ロスをなくしたりすることが求められていました。
 
しかし、完熟状態のマンゴーをまるごと冷凍するだけではうまくいきません。販売や消費の現場で解凍するときに、実の食感がかなり柔らかくなってしまい、色も悪くなってしまいます。

 
 

カットマンゴーではダメ?既存商品の問題点を確認する

一方でカットした状態のマンゴーの冷凍品であれば色や食感は問題なく、既に実用化され普及しています。この技術を完熟マンゴーに応用することはできないのでしょうか。
 
カットマンゴーの冷凍品は、自然解凍してもある程度食感を維持でき、おいしく食べられるものの、安価に見えてしまいます。
また、解凍して盛り付けた際にも、丸のままの状態に比べてフレッシュな印象が薄れてしまいます。
 
冷凍カットマンゴーの生産・保存工程にも問題がありました。カットマンゴーを冷凍して袋詰めしたり、保管している最中にマンゴーとマンゴーがぶつかりあったり、容器にぶつかったりして角が削れてしまい、見た目が悪くなってしまうのです。
 
これらの課題を改善するには、できる限り丸のままに近い状態でマンゴーを加工し冷凍する必要がありそうです。

 
 

マンゴーを冷凍する際に必要な工程は?

まずは、品質を落とさず冷凍するために必要な加工は何かを検討します。
 
丸のまま冷凍した際の問題点の一つは、実が柔らかくなり食感が落ちてしまうことでした。これを防ぐには、冷凍時に発生しマンゴーの組織にダメージを与えてしまう氷結晶をできるだけ小さくすることが求められます。
 
氷結晶を小さくするためには、いくつか方法があります。
まずは速いスピードで冷凍すること。そのためには急速冷凍を行うほか、マンゴーの厚さをできる限り薄い状態にすることが求められます。
加えて、効果的な方法が脱水処理です。食品の水分を減らすことで氷結晶に集まってくる水分を少なくすることができます。
 
もう一つの問題点であるマンゴーの色の変化を防ぐためには、解凍時の酵素反応を抑える必要があります。
これについても、氷結晶を小さくしておけば、マンゴーの組織ダメージによる酵素反応の促進を抑えることができるため、変色が少ない状態で解凍することが可能になります。

 
 

果物としての価値を落とさず凍結の効果を上げるには

これまで述べてきたように、脱水処理を行うことができ、かつマンゴーを薄い状態にして、商品価値を落とさない形状で冷凍する方法はないでしょうか。
 
そこで考えついたのが、マンゴーを半割にしたうえで切れ目を入れて凍結する方法です。
 
この方法であれば、マンゴーを薄く半割にしてあるので、丸のままの状態よりも速く凍結できます。
また、果実が露出した状態で切れ目を入れているので、冷凍前の脱水も容易に行うことができます。
 
そして何より重要な点は、皮がついたままの加工前の雰囲気を残して冷凍できることです。
この形で一度冷凍・解凍した半割マンゴーは、氷結晶を小さく抑えたことで、食感も失われておらず、色の変化も少なくなっています。
また、バラ凍結を行っていないため角が削れておらず、見た目の美しさも損なわれていません。
 
この形状であれば、冷凍した状態のものを贈答品として活用しやすいでしょう。
 
また、店舗などで解凍して提供する場合は、常温で解凍してもさほど品質に劣化はありません。
食べごろのものを長期保管しておけるうえに、あらかじめ切れ目が入っているため、「花咲カット」にするために包丁を使う必要もありません。食べごろの生のマンゴーと変わらない価値を手軽に提供できるのです。

 
 

冷凍商品の価値を上げるには、現状と要件の整理が必要

冷凍商品の価値を高めるための開発には、現状と冷凍技術に基づいた要件を整理し、適切な方法を探っていくことが欠かせません。
 
冷凍技術はまだ万能ではなく、食品の特性や形状は多岐にわたるため、一つひとつの食品について詳細な検証する必要があります。
 
最近では、同様の考え方を通じて、これまでむき身で冷凍され、安価で流通していた牡蠣を、殻付きの状態で冷凍し、価格の高い商品として開発することを実現しました。
 
現状を冷凍技術で打開したいと感じている方は、まずは何を達成すれば目標に到達できるかを整理し、答えを探っていくとよいでしょう。

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職人の握りたてを冷凍・解凍で再現! 冷凍握り鮨の開発事例

カウンターで職人が握ったようなおいしさを再現した冷凍握り鮨。さまざまなメディアからの取材を受け、注目を集めたこの商品はどのような試行錯誤の結果として開発されたのか。本記事では同商品を開発した東京海洋大学教授・鈴木徹氏に冷凍握り鮨の開発過程を通じて、冷凍食品開発に必要なプロセスや着想について解説をしていただきます。

カウンター鮨のおいしさを冷凍・解凍技術に落とし込む

現在、私は職人が握った鮨を冷凍保存し、電子レンジを応用した解凍装置で解凍することで握りたてのおいしさを復元するプロジェクトに取り組んでいます。
 
開発した解凍装置で解凍した鮨は口に入れると「ネタはひんやり、シャリは人肌」になっています。
シャリの温度については、著名な鮨店であるすきやばし次郎が「シャリは人肌に限る」として握り鮨で最も重要視している要素です。
この点を実現してこそ、出前や持ち帰り鮨にはない、鮨職人が握った「カウンターの高級な鮨」のおいしさを味わうことができるのだといえます。
 
この記事では、冷凍握り鮨の開発工程をふり返りながら、冷凍技術を活用しこれまでにない商品を開発するプロセスや発想を解説します。

 
 

たまたま発見した「おいしい鮨」の解凍方法

冷凍握り鮨の開発を始めるきっかけは、日常のほんのささいな出来事でした。
仕事帰りに夕飯として鮨やその他の食べ物を買って帰ったところ、買いすぎたせいで鮨が余ってしまったのです。
職業柄なんでも冷凍してしまう私は、「鮨はレンジ解凍するとネタが煮えてしまうし、自然解凍するとシャリが老化してしまうのでだめだろうな」と思いつつ、もったいないという思いから1貫1貫をラップで包んで冷凍しました。
 
後日、食事をとりたくなって冷凍庫から鮨を取り出し、ものは試しと1貫につき数秒ずつレンジ加熱し、ちょうどよい状態に解凍ができるかやってみました。
一度加熱しては指で温度を確認し、数回繰り返してみると、なにやらよい状態のものができてしまいました。慎重に解凍したせいか、ネタも煮えずに済んでいます。
それを口に入れたところ、驚きました。普段買っている持ち帰りの鮨よりもずいぶんおいしく仕上がったのです。

 
 

「おいしさ」の背景を定量化する

「いける」と感じた私は、大学で学生たちにも協力してもらい、この事象を検証することにしました。
わたしがレンジ解凍の鮨を「おいしい」と感じたのは、口に入れた鮨がほんのり温かく、大変口当たりがよかったことです。しかし、「ほんのり温かい」という印象だけではおいしさを正確に再現することができません。
 
そこで、学生たちにはシャリとネタの温度をそれぞれに調整し組み合わせた鮨のバリエーションを食べてもらい、シャリ、ネタそれぞれの温度が何度のときに「おいしい」と感じる人が最も多いかを調査しました。
 
その結果、「おいしい」と感じられるネタの最適温度は約19~25℃、シャリの最適温度は約30~45℃という結論がでました。
これは一般的に鮨の常識といわれている「シャリは人肌」というセオリーにも合致します。
また、シャリとネタは同じ温度ではなく、シャリは温かくてもネタは冷たい状態であるほうがおいしいと感じられるということです。

 
 

電子レンジがおいしい鮨を再現できた理由を考える

ではなぜ、シャリとネタが一つになった状態でレンジ加熱をした冷凍鮨が「おいしい状態」、つまりシャリは人肌でネタは冷たい状態になったのでしょうか。
 
この点は電子レンジの加熱の仕組みを考えれば、大まかには推測することができました。
 
電子レンジは水分子を振動させて熱エネルギーを生成し、食品を溶かしています。そのため、一部が溶けて水分ができると、その箇所に熱が集中し加熱むらができやすい仕組みになっています。
冷凍した鮨を加熱した際に、その加熱むらがうまく働いたうえ、電子レンジのマイクロ波の方向がうまくシャリを加熱するように向いていたのだろうと考えました。
 
さらに後日、詳細に鮨の成分を調査したところ、新たな発見もありました。シャリにはネタよりも多くの不凍液が含まれていたため、冷凍状態の水分が多く熱が集中しやすい組成になっていたのです。

 
 

発見した要素を開発・実用化に落とし込む

このような推測や発見をもとに、電子レンジの原理を応用した結果、1貫ずつであればボタン一つでうまく解凍ができる電子レンジを開発することに成功しました。
しかし、1貫ずつしか解凍できないのでは、スピードが遅くお店で提供することはできません。
 
現在の目標は、数貫を同時に正確に解凍できる専用のレンジを開発することです。
このレンジが完成すれば、日本の職人が握った鮨を冷凍して海外に運び、現地で本格的な鮨を提供することも可能になります。空前の鮨ブームによる職人不足を解決する光明になるかもしれません。
 
一方、ネタのなかには冷凍・解凍に向いているものと向いていないものがあります。種類豊かな鮨を冷凍・解凍するには、一つひとつのネタについて適切な冷凍・解凍方法を見つけ出す努力も続けていかなければなりません。
 
実用化までにはまだ課題はありますが、これらを丁寧に検証していくことで、冷凍技術を応用した新しい商品は生まれていくのです。

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